山形県
山形県に被害を及ぼす地震は、主に日本海東縁部で発生する地震と、陸域の浅い場所で発生する地震です。
山形県とその周辺の主な被害地震 (図をクリックすると拡大表示)
日本海東縁部では、1833年に庄内沖の地震(M7 1/2)、1964年に「新潟地震」(M7.5)が発生し、津波や地震の揺れ、地盤の液状化現象などで県西部を中心に大きな被害が生じました。また、同じく日本海東縁部で発生した「昭和58年(1983年)日本海中部地震」(M7.7)によっても県西部では津波などによる被害が生じました。
日本海東縁部は太平洋側沖合に比べて地震の活動度は低いのですが、この数十年間に限れば、北海道から新潟県の沖合にかけて、大きい地震がほぼ南北方向に列をなして次々と発生しました。現在では、日本海東縁部は、太平洋側のように、海溝からプレートが沈み込むのではなく、プレート境界が幅広い帯状の地域となっており、南北走向の東西に分布する何条かの断層帯より成り、幅を持った領域全体(ひずみ集中帯)で圧縮力によるひずみを解消すると考えられています。「昭和58年(1983年)日本海中部地震」と1833年の庄内沖の地震の震源域の間に挟まれた海域では、過去に大きな地震の発生は知られていません。このため、この海域を地震の空白域とする考え方もあります。
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」では、県内で死者2名、負傷者29名等の被害が生じました(平成27年1月9日現在、警察庁調べ)。
山形県で明治以降に陸域で発生した被害地震としては、1894年の庄内地震(M7.0)以外は大きなものは知られていません。1894年の庄内地震は庄内平野で発生し、県内で死者726名などの大きな被害が生じました。また、土地の亀裂や陥没、土砂の噴出などが多く生じたことが知られており、地盤の液状化現象などがあったものと推定されます。この地震は庄内平野東縁断層帯が活動した地震と推定されるものの、変位が地表に及ばなかった可能性が高いことと、この断層帯から想定される地震規模(M7.5)に比べて小さいことから、この断層帯の固有地震(同じ領域で繰り返し発生する最大、もしくはそれに近い規模の地震)ではなかった可能性があります。
また、庄内平野東縁断層帯を南端として、山形県から秋田県の日本海沿岸に断層帯が形成されていると考えられており、9世紀頃と17世紀以降の2回の活動期が知られています。17世紀以降では、1894年の庄内地震(M7.0)、秋田・山形県境付近で発生して県内に大きな被害を及ぼした1804年の象潟(きさかた)地震(M7.0)、その他いくつかのM7程度の大きな地震が発生しています。
県中部の最上川の西側に沿った地域と蔵王山周辺では最大でM4程度以下の群発地震がときどき発生しています。最上川の西側に沿った地域では、1944年の地震(M5.5:左沢地震と呼ぶこともあります)のように本震−余震型の地震が発生したこともあります。また、宮城県鳴子町(旧名、現在の大崎市)鬼首付近を震源域とする1996年の秋田・宮城県境の地震活動では、逆断層型の地震(M6.1)と横ずれ断層型の地震(M5.8)が続けて発生しました。複雑な発生過程の地震活動でしたが、大きく見ると本震−余震型の経過をたどりました。その活動域は山形県北東部にも広がり、最上町付近で最大M5.3の地震が発生しました。群発地震が発生している地域の側には活火山があることが多いのですが、これらの活火山と群発地震活動との関係について、はっきりしたことはまだ分かっていません。
2003年の宮城県沖の地震(M7.1)や宮城県北部の地震(M6.4)、2005年の宮城県沖の地震(M7.2)のように県外の周辺地域で発生する地震によっても被害を受けることがあります。
山形県の主要な活断層は、県北西部に庄内平野東縁断層帯が、奥羽山脈と新庄盆地や山形盆地の境界に新庄盆地断層帯や山形盆地断層帯が、長井盆地から米沢盆地に書けて長井盆地西縁断層帯があります。また、県内に被害を及ぼす可能性のある海溝型地震には、秋田県沖、山形県沖、新潟県北部沖、佐渡島北方沖の領域で発生する地震があります。
【 山形県および周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 】
【 山形県に被害を及ぼした主な地震 】 【 リンク 】
○山形県および周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 [上に戻る]
地震 | マグニチュード | 地震発生確率 (30年以内) 【地震発生確率値の留意点】 |
||
海溝型地震 | ||||
日本海 東縁部 |
秋田県沖 | 7.5程度 | 3%程度以下 | |
山形県沖 | 7.7前後 | ほぼ0% | ||
新潟県北部沖 | 7.5前後 | ほぼ0% | ||
三 陸 沖 か ら 房 総 沖 |
東北地方太平洋沖型 | Mw8.4〜9.0 | ほぼ0% | |
三陸沖北部から房総沖 の海溝寄り |
津波地震 | Mt8.6−9.0前後 | 30%程度 (特定海域で7%程度) |
|
正断層型 | 8.2前後 Mt8.3前後 |
4%〜7% (特定海域で1%〜2%) |
||
三陸沖中部 | − | − | ||
宮城県沖 | 7.4前後 | 不明 | ||
繰り返し発生する地震以外の地震 | 7.0〜7.3 | 60%程度 | ||
三陸沖南部海溝寄り | 7.9程度 | ほぼ0% | ||
繰り返し発生する地震以外の地震 | 7.2〜7.6 | 50%程度 | ||
福島県沖 | 7.4前後 (複数の地震が続発する) |
10%程度 | ||
内陸の活断層で発生する地震 | ||||
横手盆地東縁断層帯 | 北部 | 7.2程度 | ほぼ0% | |
南部 | 7.3程度 | 不明 | ||
新庄盆地断層帯 | 東部 | 7.1程度 | 5%以下 | |
西部 | 6.9程度 | 0.6% | ||
山形盆地断層帯 | 北部 | 7.3程度 | 0.003%〜8% | |
南部 | 7.3程度 | 1% | ||
庄内平野東縁断層帯 | 北部 | 7.1程度 | ほぼ0% | |
南部 | 6.9程度 | ほぼ0%〜6% | ||
長町−利府線断層帯 | 7.0〜7.5程度 | 1%以下 | ||
福島盆地西縁断層帯 | 7.8程度 | ほぼ0% | ||
長井盆地西縁断層帯 | 7.7程度 | 0.02%以下 | ||
会津盆地西縁・ 東縁断層帯 |
会津盆地西縁断層帯 | 7.4程度 | ほぼ0% | |
会津盆地東縁断層帯 | 7.7程度 | ほぼ0%〜0.02% |
○山形県に被害を及ぼした主な地震 [上に戻る]
西暦(和暦) | 地域(名称) | M | 主な被害 |
850年 (嘉祥3) |
出羽 | 7程度 | 国府の城柵が壊れ、圧死者多数。最上川の岸が崩壊、海水は国府から4kmまで迫った。 |
1804年7月10日 (文化1) |
(象潟地震) | 7.0 | 飽海、田川両郡で被害。死者333人、倒壊家屋5,500棟余。酒田では津波で浸水家屋300棟余。 |
1833年12月7日 (天保4) |
出羽・越後・佐渡 | 7 1/2 | 死者44人。 |
1894年10月22日 (明治27) |
(庄内地震) | 7.0 | 酒田付近を中心に被害。死者726人、負傷者1,060人、住家全壊3,858棟、家屋焼失2,148棟。 |
1964年6月16日 (昭和39) |
(新潟地震) | 7.5 | 死者9人、負傷者91人、住家全壊486棟。 |
2003年5月26日 (平成15) |
宮城県沖 →【地震本部の評価】 |
7.1 | 負傷者10人。 |
2003年7月26日 (平成15) |
宮城県北部 →【地震本部の評価】 |
6.4 | 負傷者2人。 |
2005年8月16日 (平成17) |
宮城県沖 →【地震本部の評価】 |
7.2 | 負傷者1人。 |
2008年6月14日 (平成20) |
(平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震) →【地震本部の評価】 →【リンク集】 |
7.2 | 負傷者1人。 |
2008年7月24日 (平成20) |
岩手県中部〔岩手県沿岸北部〕 →【地震本部の評価】 →【リンク集】 |
6.8 | 負傷者2人。 |
2011年3月11日 (平成23) |
(平成23年(2011年) 東北地方太平洋沖地震) 【地震本部の評価】 →平成23年3月11日公表 →平成23年3月13日公表 →平成23年4月12日公表 →平成25年3月11日公表 →平成26年3月11日公表 →平成27年3月10日公表 |
9.0 | 死者2人、負傷者29人 (平成27年3月11日現在、警察庁調べ)。 |
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