平成23年4月11日 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 |
○ 3月11日14時46分頃に三陸沖の深さ約25kmでマグニチュード(M)9.0の地震が発生した。今回の本震の規模はこれまでに日本国内で観測された最大の地震である。この地震により宮城県栗原市で最大震度7を観測した。また、宮古で8.5m以上、大船渡で8.0m以上、石巻市鮎川で7.6m以上、相馬で7.7m以上などの高い津波を北海道地方、東北地方、関東地方の太平洋沿岸で観測した。これまでの調査によると、小堀内(こぼりない)漁港(岩手県宮古市)で30m以上などの遡上が確認されている。
○ 発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
○ 4月11日現在、最大の余震は3月11日15時15分に発生したM7.7の地震で、M6.0以上の余震が60回以上発生している。また、4月7日には、M7.1の地震が発生し、宮城県で震度6強を観測した。余震域は南北約500kmにわたっており、今後も引き続き規模の大きな余震が発生する恐れがあり、強い揺れや高い津波に見舞われる可能性がある。
○ GPS観測の結果によると、本震の発生に伴って、東北地方から関東地方の広い範囲で地殻変動が観測されており、牡鹿観測点(宮城県)では東南東方向に約5.3mの水平移動、約1.2mの沈降が観測されている。地震発生後、余効変動と考えられる東向きの地殻変動が観測されており、4月5日現在、山田観測点(岩手県)で約41cm、銚子観測点(千葉県)で約27cmなどの地殻変動が観測されている。また、陸域観測技術衛星「だいち」に搭載された合成開口レーダー(SAR)のデータからも、東北地方から関東地方にかけての広い範囲でGPS観測結果と調和的な地殻変動が観測されている。
○ 今回の地震の震源域は、岩手県沖から茨城県沖までに及んでおり、その長さは約400km以上、幅は約200kmで、最大の滑り量は20m以上であったと推定される。滑り量の大きい領域は、地震調査委員会で評価している三陸沖南部海溝寄り、三陸沖北部から房総沖の海溝寄りの一部であったと考えられる。震源域の範囲は、更に三陸沖中部、宮城県沖、福島県沖、茨城県沖の領域を含んでいると考えられる。
○ 今回の地震の発生に伴って、水平方向に5m以上の変動が観測されるなど、大きな地殻変動が観測され、広域にわたってひずみ変化を与えている。東北地方から関東・中部地方にかけて、まとまった地震活動が観測されている地域があり、今回の地震の影響であると考えられる。