平成20年8月11日 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 |
○ 7月24日に岩手県中部〔岩手県沿岸北部〕でマグニチュード(M)6.8の地震が発生し、岩手県で最大震度6強を観測した(第186回地震調査委員会評価文「2008年7月24日岩手県中部の地震の評価」参照)。この地震に伴い、死者1名、負傷者約200名などの被害が発生した。
○ 7月19日に福島県沖でM6.9の地震が発生し、東北地方の太平洋沿岸で津波を観測した。
○ 7月5日に茨城県沖でM5.2の地震が発生し、茨城県で最大震度5弱を観測した。
○ 7月8日に
○ 7月6日にウルップ島付近〔千島列島〕でM6.1の地震が発生した。 補足説明へ
○ 7月24日00時26分頃に岩手県中部〔岩手県沿岸北部〕の深さ約110kmでM6.8の地震が発生した。発震機構は太平洋プレートが沈み込む方向に張力軸を持つ型で、太平洋プレート内部(二重地震面の下面)で発生したやや深い地震である。余震活動は低調であった。これまでの最大の余震は7月24日11時27分頃に発生したM4.8(最大震度3)の地震である。周辺のGPS観測結果では、この地震の発生前後で顕著な地殻変動は観測されていない。
○ 7月19日に福島県沖でM6.9の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。この地震により、石巻市鮎川で0.2mなど、東北地方の太平洋沿岸で津波を観測した。地震活動は本震−余震型で推移しており、次第に低下してきている。これまでの最大の余震は7月21日のM6.1の地震である。GPS観測結果によると、この地震に伴い、宮城県と福島県の太平洋沿岸を中心にわずかな地殻変動が観測されている。
○ 6月14日に発生した平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震の余震活動は、7月29日に本震の震源付近でM4.6の地震が発生したが、全体としては減衰傾向である。GPS観測結果によると、震源域を中心とした余効変動は継続している。 補足説明へ
○ 7月5日に茨城県沖の深さ約50kmでM5.2の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
○ 7月21日に小笠原諸島西方沖の深さ約490kmでM6.4の地震が発生した。発震機構は太平洋プレートが沈み込む方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。
○ 東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。 補足説明へ
目立った活動はなかった。 補足説明へ
○ 7月8日に沖永良部島付近〔沖縄本島近海〕の深さ約45kmでM6.1の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界付近で発生した地震である。 補足説明へ
○ 7月13日にフィリピン北部でM6.1の地震が発生した。
○ 8月8日に東京都・神奈川県境付近〔東京都多摩東部〕の深さ約30kmでM4.6の地震が発生した。この地震の発震機構は南北方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートの沈み込みに伴って発生した地震である。
○ 8月9日に青森県東方沖の深さ約50kmでM5.4の地震が発生した。
注:〔 〕内は気象庁が情報発表で用いた震央地域名である。
平成20年8月11日
地震調査委員会
2008年7月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ128回(6月は127回)および20回(6月は10回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は7回で、2008年は7月までに16回発生している。
(参考) | M4.0以上の月回数73回(1998−2007年の10年間の中央値)、 |
M5.0以上の月回数9回(1973−2007年の35年間の中央値)、 | |
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1924−2007年の84年間の平均値) |
2007年7月以降2008年6月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。
− 新潟県中越沖地震 | 2007年7月16日M6.8(深さ約10km) |
− サハリン西方沖 | 2007年8月2日M6.4 |
− 九十九里浜付近 | 2007年8月16日M5.3,18日M4.8などの地震活動 |
− ペルー沿岸 | 2007年8月16日M8.0 |
− 神奈川県西部 | 2007年10月1日M4.9(深さ約15km) |
− 石川県能登地方 | 2008年1月26日M4.8(深さ約10km) |
− 茨城県沖 | 2008年5月8日M7.0 |
− 岩手・宮城内陸地震 | 2008年6月14日M7.2(深さ約10km) |
北海道地方では特に補足する事項はない。
東北地方では特に補足する事項はない。
「東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。」:
(なお、これは、7月28日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成20年7月28日気象庁地震火山部)
「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
全般的には顕著な地震活動はありません。静岡県中部では、プレート内で通常より活動レベルが低い状態になっていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。
東海地域及びその周辺の地殻変動には注目すべき特別な変化は観測されていません。」
−7月15日に山梨県東部・富士五湖の深さ約20kmでM4.1とM4.3の地震が発生した。発震機構はいずれも北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートの沈み込みに伴って発生した地震である。
近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。
九州・沖縄地方では特に補足する事項はない。
参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上または最大震度が4以上のもの。内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。