平成20年7月11日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震の評価
(主に地表変状に関する評価)

○ 6月14日08時43分頃に岩手県内陸南部の深さ約10kmでマグニチュード(M)7.2の地震が発生した。この地震により岩手県と宮城県で最大震度6強を観測し、被害を伴った。7月10日までの最大の余震は6月14日09時20分頃に発生したM5.7の地震(最大震度5弱)で、余震活動は全体的に減衰しつつある(6月26日に公表した第184回地震調査委員会評価文「平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震の評価」参照)。

○ GPS観測結果によると、震源域を中心に余効変動と見られる西北西−東南東方向の短縮が観測されている。

○ 本震の震源過程解析によると、すべり量の大きい領域は破壊開始点の南側の浅い部分に集中していたと推定される。GPS観測及びSAR干渉解析から推定した断層モデルからも同様なすべり量の集中域が見られる。

○ 現時点までの現地調査で、地表変状は北北東−南南西方向に約20kmにわたって点在していることが確認されている。このうち、少なくとも約8kmにわたっては、最大50cm程度の上下方向のずれを伴う北西側隆起の地表変状が、断続的に分布していることが確認された。これらの場所は地質図に示されている地質境界としての断層に沿っている。

○ 1976年に撮影された空中写真について、地震後に詳細な判読が行われた結果、地表変状が確認された場所に沿って、約4kmにわたり活断層によると考えられる地形が断続的に認められた。この地形に一致して地表変状が現れた地点で実施したトレンチ調査により、過去の活動の痕跡が認められた。今回の地震は、この活断層に関係したと考えられる。