平成15年6月11日
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2003年5月の地震活動の評価
5月26日に宮城県沖の深さ約70kmでマグニチュード(M)7.0の地震が発生した。この地震により最大震度6弱を観測し、被害を伴った。 補足説明へ
目立った活動はなかった。 補足説明へ
○ 5月26日に宮城県沖の深さ約70kmでM7.0の地震が発生し、最大震度6弱を観測した(第112回地震調査委員会評価文「2003年5月26日宮城県沖の地震の評価」参照)。地震活動は本震−余震型で推移し、減衰してきている。これまでで最大の余震(M4.9)は5月27日(最大震度4)と6月10日(最大震度3)に発生した。
GPS観測によると、現在のところ今回の地震後に顕著な余効変動はみられない。
M5.0以上の余震が3日以内に発生する確率は現在約10%と推定される。M5.0程度の地震が発生した場合には、ところによっては震度4程度になると予想される。また、M3.6(ほぼ震度1以上を観測する規模に相当)以上の余震の発生数は6月末には1日あたり1回程度、7月末には2日に1回程度になると推定される。
なお、今回の地震は地震調査委員会が想定している宮城県沖地震とは異なる地震であった(第112回地震調査委員会評価文参照)。今回の地震が、想定宮城県沖地震の震源域に及ぼす応力の変化の大きさはわずかであり、その発生に直接的な影響はほとんどないと考えられる。 補足説明へ
○ 5月6日に茨城県南西部の深さ約45kmでM4.3の地震が発生した。5月31日にも深さ約55kmでM4.0の地震が発生した。
○ 5月10日に千葉県北西部の深さ約70kmでM4.5の地震が発生した。
○ 5月12日に千葉・茨城県境付近の深さ約45kmでM5.2の地震が発生した。発震機構は、北北西−南南東に張力軸を持つ型で、フィリピン海プレート内部の地震である。この地震の2分後にはM4.6の余震が発生している。
○ 5月17日に千葉県北東部の深さ約45kmでM5.1の地震が発生した。
○ 5月18日に長野県南部の深さ約5kmでM4.5の地震が発生した。この付近では「昭和59年(1984年)長野県西部地震」(M6.8)が発生しており、その後、地震活動が継続してみられる。今回の地震の後も地震活動が活発となったが、活動は本震−余震型で推移し、収まりつつある。
○ 東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、最近では2001年に比べてやや小さいものの、現在でも依然として継続しているように見える。 補足説明へ
目立った活動はなかった。 補足説明へ
目立った活動はなかった。 補足説明へ
平成15年6月11日 |
地震調査委員会 |
日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は99回(4月は52回、2000年末までの30年間の月平均は約46回)観測された。そのうち59回は5月26日に発生した宮城県沖の地震とその余震であった。M5.0以上の地震の発生は3回(4月は4回)であった。
また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2002年の間で、年に平均15回(2000年までの30年間の年平均は約16回)発生している。2003年5月にはM6.0以上の発生は1回。2003年は4月までに1回発生している。
2002年5月以降2003年4月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。
−青森県東方沖 | 2002年10月14日M5.9(深さ約50km) | |
−宮城県沖 | 2002年11月3日M6.2(深さ約45km) | |
−日向灘 | 2002年11月4日M5.7(深さ約35km) |
北海道地方では、特に補足する事項はない。
「5月26日に宮城県沖の深さ約70kmでM7.0の地震が発生し、最大震度6弱を観測した。・・・(略)・・・。今回の地震が、想定宮城県沖地震の震源域に及ぼす応力の変化の大きさはわずかであり、その発生に直接的な影響はほとんどないと考えられる。」:
余震は、ほぼ南北に伸びる形で20km余りにわたって分布しており、本震は余震活動域の南側に位置している。これまでの最大余震は5月27日と6月10日に発生したM4.9の地震で、ともに余震活動域の北端部付近で発生した。
なお、地震調査委員会が2001年に評価した長期評価の地震発生確率の値は、時間の経過とともに高くなる。既に公表している2001年初めを起点とした地震発生確率の値と、2003年6月1日を起点とした地震発生確率の値とを比較すると、以下のとおりとなる。ここに示した確率の上昇は、前回の評価時点から2年5ヶ月の間、宮城県沖地震が発生していないことによる自然増である。
評価時点 | 10年以内 | 20年以内 | 30年以内 | 地震後経過率 |
2001年1月1日 | 26% | 81% | 98% | 約60% |
2003年6月1日 | 39% | 88% | 99% | 約67% |
「東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、最近では2001年に比べてやや小さいものの、現在でも依然として継続しているように見える。」:
東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動しているが、GPS観測結果では、静岡県西部を中心とする地域において、2001年4月頃から、この移動に、やや変化している傾向が見られるようになり、2003年5月に入っても継続している。但し、変化は2001年に比べてやや小さくなっている。
(なお、本評価結果は、5月23日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成15年5月23日気象庁地震火山部)
「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
地震活動は、浜名湖直下で通常より低下した状況にありますが、全体としては落ち着いています。
プレート境界のゆっくり滑りに起因すると思われる東海地域およびその周辺に見られる長期的な地殻変動は、最近では2001年に比べてやや小さいように見えるものの、依然継続しています。」
−5月31日に伊予灘の深さ約65kmでM4.5の地震が発生した。
九州・沖縄地方では、特に補足する事項はない。
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