平成8年9月11日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


1996年8月の地震活動について


1 主な地震活動

秋田・宮城県境でM5.9を最大とする地震活動があった。余震活動は、順 調に減少している。

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

特に目立った活動はなかった。

(2) 東北地方

秋田・宮城県境でM5.9を最大とする地震活動があり、被害が発生した。余 震活動は、順調に減少している。

秋田・宮城県境で、8月11日3時12分にM5.9、3時54分にM5.4、 8時10分にM5.7の地震が発生し、震源付近の栗駒町沼倉でそれぞれ震度5 を観測した。震源域は、宮城・秋田・山形の3県にまたがる南北約15kmの地域 を中心に分布しており、深さは、5〜15km程度である。地震活動は、初期には 活発であったが、その後は順調に減少しており、やや大きな余震により一時的に 地震回数の増加があったものの、大 局的には本震−余震型の経過をたどっている 。

初期段階の震源域は、M5.9とM5.4の地震から南に10km弱伸びた。M 5.7の地震はM5.9の地震の南東約6kmの所に発生した。

M5.9の北方向に も活動は伸びたが規模の大きなものはない。8月13日11時13分のM4.9 の地震は、それまでの震源域南端から西南西約5kmの離れたところで発生し、こ れ以降震源域は拡大しなかった。地震波の解析によれば、これら4つの地震の断 層運動は、最初の2つが逆断層型、後の2つが横ずれ断層型で、圧縮力の方向は いずれも東西方向であった。この圧縮力の方向は、この地域一帯では一般的な方 向である。周辺のGPS連続観測によると、地震に伴って1cm程度の東西圧縮を 示す変化が観測された。

今回の地震活動は、東西圧縮力に起因するもので、初期の2日程度で全体の 震源域を形成した。大局的には本震−余震型の活動であり、今後余震活動は収ま っていくものと考えられる。

(3) 関東・中部地方

山梨県東部でM4.6の地震があったほかは、特に目立った活動はなかった 。

8月9日に山梨県東部の深さ約20kmでM4.6の地震があった。直後にもM 4.1の地震があったが、現在はほぼ収まっている。今回の地震は、3月6日に 発生したM5.8の地震の震源域の約5km北北東に位置している。

東海地方では、駿河湾の地震活動は前月に引き続き静穏であった。掛川−御前 崎間のGPS観測によれば、基線長、上下変動とも特段の変化は見られない。掛 川−御前崎(浜岡)間の水準測量によると、1992年頃から続いていた御前崎側 沈下の鈍化傾向は不明瞭となった。

(4) 近畿・中国・四国地方

特に目立った地震はなかった。

(5) 九州・沖縄地方

8月10日に石垣島近海でM5.7の地震があったほかは、目立った活動はな かった。

3 補足(9月1日から11日までの主な地震活動)

9月5日に鳥島近海でM6.2の地震が発生し、最大26cmの津波が観測され た。この地震は、M6.2の規模で津波を発生させたことと、地震波に長周期成 分が認められない点で、1984年6月13日の同海域の地震(M5.9)と類似 している。

9月6日に台湾南東沖でM6.6の地震が発生した。

9月9日に種子島付近でM5.7の地震が発生し、小被害が発生した。

9月11日に犬吠埼の沖合約40kmでM6.6の地震があった。