沖縄県の地震活動の特徴
沖縄県に被害を及ぼす地震は、主に南西諸島海溝付近などの海域の地震と、陸域や沿岸部の浅い場所で発生する地震と、沖縄トラフ沿いの浅い場所で発生する地震です。
沖縄県とその周辺の主な被害地震(図をクリックすると拡大表示)
沖縄島や慶良間(けらま)列島では、M4~5程度の地震は発生しているものの、歴史の資料によって知られている被害地震は少なく、沖縄島近海に発生した1882年の地震(M5.7)と1909年の地震(M6.2)及び1926年の沖縄島北西沖の地震(M7.0)くらいです。1909年の地震では、那覇、首里などの沖縄島南部で1,000ヶ所以上の石垣が崩壊し、十数名の死傷者が生じました。この地震では、津波被害の報告はありません。なお、奄美大島近海に発生した1911年の地震(M8.0)では、那覇市、首里などで被害が生じました。
沖縄県西部の先島諸島周辺では、M7程度の地震がしばしば発生します。とりわけ被害が大きかったのは、住民約12,000人が溺死し、2,000戸の家屋が流出した1771年の八重山地震津波(M7.4)です。この地震はプレート間地震であったかどうかは分かっていません。また、海底での大規模な地滑りによって発生したとの説もあります。1966年の台湾東方沖の地震(M7.8)では、与那国島で死者や家屋全壊などの被害が生じました。1938年の宮古島北方沖の地震(M7.2)、1947年の与那国島近海の地震(M7.4)及び1958年の石垣島近海の地震(M7.2)では、西表島や石垣島に数名の死傷者が生じました。これらは深さ80~100kmで発生した深い地震です。1915年の石垣島北方沖の地震(M7.4)なども深い被害地震です。
石垣島と宮古島において、石垣崩壊、山崩れ、道路破壊などの被害が生じた1898年の石垣島東方沖の地震(M7)は陸域の浅いところで発生する地震と同じタイプの地震です。このタイプの地震は津波を伴うことはあまりありませんが、沖縄トラフの浅いところで発生した地震と考えられる1938年の宮古島北方沖の地震(M7.2)では、地震発生の約10分後、宮古島平良港に高さ約1.5mの津波が押し寄せ、桟橋を流失させるなどの被害が生じました。
西表島付近では、1991年及び1992年に活発な群発地震活動が発生しています。特に、1992年の9月に始まり、一部に石垣などの崩壊が生じた群発地震(最大M5.0)では、震源域は北西−南東方向に伸びる面上に分布し、地表に断層は現れなかったものの、水準測量では南西側が下がる正断層が推定されました。この付近では、1924年に大量の軽石を噴出した海底火山活動があり、火山との関連も注目された活動でした。
また、外国の地震によっても津波被害を受けることがあり、1960年の「チリ地震津波」では、沖縄島などで死者3名、住家全半壊、船舶流出などの大きな被害が生じました。
沖縄県には、主な活断層は宮古島断層帯宮古島断層帯だけですが、それは活断層を見つけやすい陸地の部分が小さいためです。今後、海域まで調査が進めば、あるいは長い活断層が見つかる可能性もあります。
また、県内に被害を及ぼす可能性のある海溝型地震には、与那国島周辺の地震があります。場所によってはやや弱い地盤であるため、地震が発生した場合には他の地域より揺れが大きくなる可能性があります。
糸満市など県内の16市町村は、南海トラフの地震で著しい地震災害が生じるおそれがあり、「南海トラフ地震防災対策推進地域」に指定されています。
【 沖縄県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 】
【 沖縄県に被害を及ぼした主な地震 】
【 確率論的地震動予測地図 】 【 リンク 】
○沖縄県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 [上に戻る]
地震 | マグニチュード | 地震発生確率 (30年以内) 【地震発生確率値の留意点】 |
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海溝型地震 | |||||
日向灘及び 南西諸島海溝 周辺 |
日向灘 | 8程度 | - | ||
ひとまわり小さい地震 | 7.0~7.5程度 | 80%程度 | |||
九州中央部 | 7.0~7.5程度 | - | |||
南西諸島周辺及び与那国島周辺 | 8.0程度 | - | |||
ひとまわり小さい地震 | 南西諸島周辺 | 7.0~7.5程度 | - | ||
与那国島周辺 | 7.0~7.5程度 | 90%程度以上 | |||
南西諸島北西沖 | 7.0~7.5程度 | 60%程度 | |||
1771年八重山地震津波タイプ | Mt8.5程度 | - | |||
南海トラフ | 南海トラフで発生する地震 | 8~9クラス | 70%~80% | ||
内陸の活断層で発生する地震 | |||||
宮古島断層帯 | 中部 | 7.2程度 | 不明 | ||
西部 | 6.9程度 | 不明 |
○沖縄県に被害を及ぼした主な地震 [上に戻る]
西暦(和暦) | 地域(名称) | M | 主な被害(括弧は全国での被害) |
1771年4月24日 (明和8) |
(八重山地震津波) | 7.4 | 八重山列島と宮古列島で被害。溺死者約12,000人、家屋流失2,000棟余。 |
1909年8月29日 (明治42) |
沖縄島近海 | 6.2 | 死者2人、負傷者13人、家屋全半壊106棟。 |
1911年6月15日 (明治44) |
奄美大島近海 | 8.0 | (奄美、沖縄諸島に被害。死者12人、家屋全壊422棟。) |
1947年9月27日 (昭和22) |
与那国島近海 | 7.4 | 石垣島、西表島で被害。死者5人。 |
1958年3月11日 (昭和33) |
石垣島近海 | 7.2 | 死者2人、負傷者4人。 |
1960年5月23日 (昭和35) |
(チリ地震津波) | 9.5 | 死者3人、負傷者2人、建物全壊28棟。 |
1966年3月13日 (昭和41) |
台湾東方沖 | 7.8 | 与那国島で被害。死者2人、家屋全壊1棟。 |
2010年2月27日 (平成22) |
沖縄本島近海 | 7.2 | 負傷者2人。 |
◆ 沖縄県(宮古島・八重山地方、大東島地方を除く)
◆ 沖縄県(宮古島・八重山地方)
◆ 沖縄県(大東島地方)
「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」(評価基準日:2020年1月1日)
を示した地震動予測地図です。
詳しい内容を知りたい方は、「全国地震動予測地図2020年版」をご覧下さい。
全国地震動予測地図の詳細なデータや関連情報は地震ハザードステーション(J-SHIS)をご参照下さい。
○リンク [上に戻る]
地震動予測地図等
- 全国地震動予測地図
「全国地震動予測地図」 のページです。 - 地震ハザードステーション(J−SHIS)
防災科学技術研究所の地震ハザードステーション(J−SHIS)です。地震動予測地図の各種地図の閲覧、数値データ等のダウンロードが可能です。 - 長周期地震動予測地図
将来ある特定の地震が発生した際に生じる長周期地震動の揺れの強さや性質を予測した地図です。 - 応答スペクトルに関する地震動ハザード評価
工学的利活用に向けて、試作版の報告書を公表しています。 - 強震動評価
ある特定の震源断層に着目して、そこで地震が発生した場合に周辺の地域がどの程度の強い揺れに見舞われるかを示した地図です (震源断層を特定した地震動予測地図)。- 宮古島断層帯の地震による予測震度分布
「宮古島断層帯の長期評価(平成22年5月20日公表)」とあわせて示した予測震度分布図です。
- 宮古島断層帯の地震による予測震度分布
- 防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト
南海トラフでは、マグニチュード8クラスの大地震が発生し、残りの領域においても連動して大地震が発生する可能性が高まる(「半割れ」ケース)などの「異常な現象」が観測される可能性が示されています。文部科学省では、こうした「異常な現象」が起こった後の地震活動の推移を科学的・定量的データを用いて評価するための研究開発や、「異常な現象」が観測された場合の住民・企業等の防災対策のあり方、防災対応を実行するにあたっての仕組みについて調査研究を実施し、これら研究成果の活用を推進するため、令和2年度より研究機関に委託して研究プロジェクトを実施しています。 - 南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト
文部科学省では、南海トラフから南西諸島海溝域までの震源モデルを構築、地震・津波の被害予測とその対策、発災後の復旧・復興対策を検討し、地域の特性に応じた課題に対する研究成果の活用を推進させるため、平成25年度より研究機関に委託して研究プロジェクトを実施しています。 - 東海・東南海・南海地震の連動性評価研究プロジェクト
東海・東南海・南海地震については、今後30年以内の発生確率が非常に高く、これら3つの地震は将来連動して発生する可能性も高いことから、これら3つの地震の時空間的な連動性を評価するため、海底稠密地震・津波・地殻変動観測や物理モデルの構築、シミュレーション研究、強震動・津波予測、被害想定研究等を総合的に行っています。 - 内閣府 東南海・南海地震対策
内閣府の東南海・南海地震対策のページです。 - 内閣府 南海トラフ地震対策
内閣府の南海トラフ地震対策のページです。
活断層評価等
- 長期評価
- 海溝型地震の将来の発生可能性についての評価です。
- 内陸の活断層帯の将来の地震発生の可能性についての評価です。
- 長期評価結果一覧
主要な活断層や海溝型地震(プレートの沈み込みに伴う地震)の活動間隔、次の地震の発生可能性〔場所、規模(マグニチュード)及び発生確率〕等の評価(長期評価)の概要を一覧にして掲載しています。
- 活断層調査・観測等
【宮古島断層帯】 - 産業技術総合研究所 活断層データベース
日本全国の活断層(活動セグメント)の分布とそのパラメータ、日本の活断層に関係する文献の書誌データ、文献から採録された調査地点ごとの調査結果データ、地下数十キロメートルまでの地下構造データが収録されています。 - 国土地理院 活断層図(都市圏活断層図)
国土地理院の活断層図(都市圏活断層図)のページです。
地震活動等
- 毎月の地震活動の評価
地震調査委員会による毎月(および臨時)の地震活動の評価です。 - 主な地震活動の評価
各地震活動について、これまでに公表された評価結果をとりまとめたものです。 - 日本の地震活動 −被害地震から見た地域別の特徴−
全国の地震活動の概要と地震に関する基礎知識、そして、日本を北海道、東北、関東、中部、近畿、中国・四国及び九州・沖縄に区分し、その地方の地震活動の概要をはじめ、その地域に被害を及ぼす地震のタイプ、これまでに発生した主な被害地震の概要、都道府県別(北海道は地域別)の特徴について書かれています。 - 震源・震度に関する情報
気象庁、防災科学技術研究所、大学などの地震観測データに基づく震源・震度に関する情報です。 - 地震に関するパンフレット
地震発生のしくみ、地震調査研究推進本部の取組などを解説した各種パンフレットです。
地方自治体等
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