長崎県の地震活動の特徴
長崎県に被害を及ぼす地震は、主に陸域や沿岸部の浅い場所で発生する地震と太平洋側沖合で発生する地震です。
長崎県とその周辺の主な被害地震(図をクリックすると拡大表示)
浅いところで発生した被害地震としては、1700年の壱岐・対馬付近の地震(M7.0)、1792年の島原半島の地震(M6.4)、1922年の島原(千々石湾)地震(M6.9、M6.5)などがあります。このうち1700年の地震では、壱岐及び対馬で被害が大きく、特に壱岐では石垣や墓石がことごとく崩れ、家屋も大半が崩壊しました。佐賀や平戸でも瓦が落ちるなどの被害が生じました。震源の詳細は不明ですが、被害状況から壱岐近海と推定されています。なお、朝鮮半島でも被害が生じたことから判断すると、対馬の西方に震源があったとも考えられます。壱岐対馬の近海には海底に活断層がある可能性があります。
1792年の島原半島の地震は雲仙普賢岳の噴火活動に伴って発生しました。1792年4月頃より島原半島周辺で有感地震が頻発し、5月21日にはM6.4の最大の地震が発生しました。この地震が引き金となって古い溶岩ドームである眉山(当時前山)の一部が大崩壊しました。崩壊した山体は有明海に流れこんで津波を発生させ、有明海沿岸に甚大な被害を及ぼしました。この噴火活動の前から島原半島西部~千々石湾(橘湾)付近を震源とする群発地震活動があり、1791年12月の地震では島原半島西部の小浜で家屋が倒壊して2名が死亡しました。なお、1990年から始まった雲仙普賢岳の最新の噴火活動(「平成3年(1991年)雲仙岳噴火」)でも、噴火約1年前から島原半島西部~千々石湾で活発な地震活動がありましたが地震の規模は小さく被害はありませんでした。島原半島周辺では直接噴火活動に結びつかない群発地震もたびたび発生しています。1922年の島原(千々石湾)地震(M6.9、M6.5)では島原半島南部や西部を中心に大きな被害が生じました。また、1984年8月には島原半島西岸の千々石町(旧名、現在の雲仙市)付近で最大M5.7の群発地震が発生して、建物の一部破損や石垣破壊、墓石倒壊などの被害が生じました。
長崎県では、このほか1657年の地震(M不明、長崎で被害大)、1725年の地震(M6.0、長崎、平戸で被害あり)、1828年の地震(M6.0、天草、長崎、五島で被害あり)などで被害が生じました。
周辺地域の浅いところで発生した規模の大きな地震によって被害を受けることもあります。例えば、1889年の熊本の地震(M6.3)では、島原半島の眉山に山崩れがありました。
長崎県では、南海トラフ沿いの巨大地震のなかで、四国沖から紀伊半島沖が震源域となった場合、津波による浸水や地震の揺れなどによる被害を受けることがあります。例えば、1707年の宝永地震(M8.6)では津波による浸水被害が長崎市で生じました。また、1854年の安政南海地震(M8.4)や1946年の南海地震(M8.0)でも、家屋への被害が生じました。
長崎県の主要な活断層は、島原湾から島原半島を経て橘湾まで延びる雲仙断層群があります。短い活断層としては多良岳南西麓断層帯があります。
また、長崎県周辺に震源域のある海溝型地震はありませんが、南海トラフ沿いの巨大地震で被害を受ける可能性もあります。諫早湾の干拓地周辺はやや弱い地盤であるため、地震が発生した場合には他の地域より揺れが大きくなる可能性があります。
【 長崎県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 】
【 長崎県に被害を及ぼした主な地震 】
【 確率論的地震動予測地図 】 【 リンク 】
○長崎県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 [上に戻る]
地震 | マグニチュード | 地震発生確率 (30年以内) 【地震発生確率値の留意点】 |
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海溝型地震 | |||||
日向灘及び 南西諸島海溝 周辺 |
日向灘 | 8程度 | - | ||
ひとまわり小さい地震 | 7.0~7.5程度 | 80%程度 | |||
安芸灘~伊予灘~豊後水道 | 6.7~7.4程度 | 40%程度 | |||
九州中央部 | 7.0~7.5程度 | - | |||
南西諸島周辺及び与那国島周辺 | 8.0程度 | - | |||
ひとまわり小さい地震 | 南西諸島周辺 | 7.0~7.5程度 | - | ||
与那国島周辺 | 7.0~7.5程度 | 90%程度以上 | |||
南西諸島北西沖 | 7.0~7.5程度 | 60%程度 | |||
南海トラフ | 南海トラフで発生する地震 | 8~9クラス | 70%~80% | ||
内陸の活断層で発生する地震 | |||||
布田川断層帯・ 日奈久断層帯 |
布田川断層帯(布田川区間) | 7.0程度 | ほぼ0% | ||
布田川断層帯(宇土区間) | 7.0程度 | 不明 | |||
布田川断層帯(宇土半島北岸区間) | 7.2程度以上 | 不明 | |||
日奈久断層帯(高野−白旗区間) | 6.8程度 | 不明 | |||
日奈久断層帯(日奈久区間) | 7.5程度 | ほぼ0%~6% | |||
日奈久断層帯(八代海区間) | 7.3程度 | ほぼ0%~16% | |||
水縄断層帯 | 7.2程度 | ほぼ0% | |||
雲仙断層群 | 北部 | 7.3程度以上 | 不明 | ||
南東部 | 7.1程度 | 不明 | |||
南西部 (北部) | 7.3程度 | ほぼ0%~4% | |||
南西部 (南部) | 7.1程度 | 0.5%~1% | |||
佐賀平野北縁断層帯 | 7.5程度 | 不明 |
○長崎県に被害を及ぼした主な地震 [上に戻る]
西暦(和暦) | 地域(名称) | M | 主な被害(括弧は全国での被害) |
1700年4月15日 (元禄13) |
壱岐・対馬 | 7 | 壱岐・対馬で被害。家屋全壊89棟。 |
1707年10月28日 (宝永4) |
(宝永地震) | 8.6 | 津波により長崎市内で浸水など。 |
1854月12月24日 (安政元) |
(安政南海地震) | 8.4 | (安政東海地震の32時間後に発生。二つの地震の被害や、津波被害との区別困難。) |
1922年12月8日 (大正11) |
千々石湾 | 6.9,6.5 | 島原半島南部等で被害。死者26人、負傷者39人、住家全壊195棟。 |
2005年3月20日 (平成17) |
福岡県西方沖 →【地震本部の評価】 |
7.0 | 負傷者2人、家屋全壊1棟。 |
「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」(評価基準日:2020年1月1日)
を示した地震動予測地図です。
詳しい内容を知りたい方は、「全国地震動予測地図2020年版」をご覧下さい。
全国地震動予測地図の詳細なデータや関連情報は地震ハザードステーション(J-SHIS)をご参照下さい。
○リンク [上に戻る]
地震動予測地図等
- 全国地震動予測地図
「全国地震動予測地図」 のページです。 - 地震ハザードステーション(J−SHIS)
防災科学技術研究所の地震ハザードステーション(J−SHIS)です。地震動予測地図の各種地図の閲覧、数値データ等のダウンロードが可能です。 - 長周期地震動予測地図
将来ある特定の地震が発生した際に生じる長周期地震動の揺れの強さや性質を予測した地図です。 - 応答スペクトルに関する地震動ハザード評価
工学的利活用に向けて、試作版の報告書を公表しています。 - 強震動評価
ある特定の震源断層に着目して、そこで地震が発生した場合に周辺の地域がどの程度の強い揺れに見舞われるかを示した地図です (震源断層を特定した地震動予測地図)。- 「九州地域の活断層の長期評価(第一版)」で新たに評価対象となった活断層で発生する地震の予測震度分布(簡便法計算結果)
九州地域評価において新たに詳細な評価を行った断層帯および評価の改訂を行った主要活断層帯について、簡便法により予測震度分布を計算した結果を掲載しています。
掲載した活断層: 小倉東断層,福智山断層帯,西山断層帯,宇美断層,日向峠−小笠木峠断層帯,佐賀平野北縁断層帯,布田川断層帯(布田川断層帯・日奈久断層帯),日奈久断層帯(布田川断層帯・日奈久断層帯),緑川断層帯,甑断層帯,市来断層帯 - 布田川・日奈久断層帯の地震を想定した強震動評価(平成15年7月31日公表)
- 布田川断層帯(布田川断層帯・日奈久断層帯)の地震による予測震度分布(簡便法)/日奈久断層帯(布田川断層帯・日奈久断層帯)の地震による予測震度分布(簡便法)
「布田川断層帯・日奈久断層帯の評価(一部改訂)」とあわせて示した予測震度分布図です。
- 「九州地域の活断層の長期評価(第一版)」で新たに評価対象となった活断層で発生する地震の予測震度分布(簡便法計算結果)
- 長周期地震動予測地図作成等支援事業
文部科学省では、「新しい総合的かつ基本的な施策」(地震調査研究推進本部,2009)の中で今後推進すべき研究とされた長周期地震動について、平成22年度から研究機関に委託して調査研究を行っています。 - 防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト
南海トラフでは、マグニチュード8クラスの大地震が発生し、残りの領域においても連動して大地震が発生する可能性が高まる(「半割れ」ケース)などの「異常な現象」が観測される可能性が示されています。文部科学省では、こうした「異常な現象」が起こった後の地震活動の推移を科学的・定量的データを用いて評価するための研究開発や、「異常な現象」が観測された場合の住民・企業等の防災対策のあり方、防災対応を実行するにあたっての仕組みについて調査研究を実施し、これら研究成果の活用を推進するため、令和2年度より研究機関に委託して研究プロジェクトを実施しています。 - 南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト
文部科学省では、南海トラフから南西諸島海溝域までの震源モデルを構築、地震・津波の被害予測とその対策、発災後の復旧・復興対策を検討し、地域の特性に応じた課題に対する研究成果の活用を推進させるため、平成25年度より研究機関に委託して研究プロジェクトを実施しています。 - 東海・東南海・南海地震の連動性評価研究プロジェクト
東海・東南海・南海地震については、今後30年以内の発生確率が非常に高く、これら3つの地震は将来連動して発生する可能性も高いことから、これら3つの地震の時空間的な連動性を評価するため、海底稠密地震・津波・地殻変動観測や物理モデルの構築、シミュレーション研究、強震動・津波予測、被害想定研究等を総合的に行っています。 - 内閣府 東南海・南海地震対策
内閣府の東南海・南海地震対策のページです。 - 内閣府 南海トラフ地震対策
内閣府の南海トラフ地震対策のページです。
長期評価等
- 長期評価
- 海溝型地震の将来の発生可能性についての評価
- 内陸の活断層帯の将来の地震発生の可能性についての評価
- 「九州地域の活断層の地域評価」
九州地域の陸域及び沿岸海域に分布し、M6.8以上の地震を引き起こす可能性のある活断層について、総合的に評価しました。 - 日本海南西部の海域活断層の長期評価
鳥取県、島根県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県の北方沖で、五島列島以北の対馬海峡を含む海域に分布する活断層のうち、その活動が社会的、経済的に大きな影響を与えるおそれのあるマグニチュード(M)7.0程度以上の地震を発生させる可能性のある、長さ20km以上の活断層を主な対象として、これまでに行われた調査研究成果等に基づき評価対象海域の海域活断層の長期評価を行いました。 - 長期評価結果一覧
主要な活断層や海溝型地震(プレートの沈み込みに伴う地震)の活動間隔、次の地震の発生可能性〔場所、規模(マグニチュード)及び発生確率〕等の評価(長期評価)の概要を一覧にして掲載しています。
- 活断層調査・観測等
- 地域評価のための活断層調査(九州地域)
文部科学省では、「活断層の地域評価」で新たに評価の対象となった短い活断層のうち、断層の位置・形状や活動履歴等に関する情報が十分ではない 活断層を対象として調査を実施しています。
- 平成28年熊本地震を踏まえた総合的な活断層調査
文部科学省では、「平成28年(2016年)熊本地震」の発生を受け、布田川断層帯・日奈久断層帯において今後発生する地震像の解明及び強震動予測の高度化を図るため、大学等に委託し、平成28年度から総合的な活断層調査を実施しています。 - 熊本県 平成7年度 布田川断層帯(立田山断層を含む)に関する調査成果報告書
- 熊本県 平成9年度 日奈久断層に関する調査成果報告書
- 独立行政法人産業技術総合研究所 平成18年度 布田川・日奈久断層帯の活動性および活動履歴調査(「基盤的調査観測対象断層帯の追加・補完調査」成果報告書 No.H18−7)
- 独立行政法人産業技術総合研究所/地域地盤環境研究所/東海大学 平成22年度 沿岸海域における活断層調査 布田川-日奈久断層帯/中部・南西部(海域部) 成果報告書
- 国立研究開発法人産業技術総合研究所 地域評価のための活断層調査(九州地域) 平成27年度成果報告書 3.布田川断層帯/宇土区間
- 地域評価のための活断層調査(九州地域)
- 産業技術総合研究所 活断層データベース
日本全国の活断層(活動セグメント)の分布とそのパラメータ、日本の活断層に関係する文献の書誌データ、文献から採録された調査地点ごとの調査結果データ、地下数十キロメートルまでの地下構造データが収録されています。 - 国土地理院 活断層図(都市圏活断層図)
国土地理院の活断層図(都市圏活断層図)のページです。
地震活動等
- 毎月の地震活動の評価
地震調査委員会による毎月(および臨時)の地震活動の評価です。
【2005年3月20日福岡県西方沖の地震】 - 主な地震活動の評価
各地震活動について、これまでに公表された評価結果をとりまとめたものです。 - 日本の地震活動 −被害地震から見た地域別の特徴−
全国の地震活動の概要と地震に関する基礎知識、そして、日本を北海道、東北、関東、中部、近畿、中国・四国及び九州・沖縄に区分し、その地方の地震活動の概要をはじめ、その地域に被害を及ぼす地震のタイプ、これまでに発生した主な被害地震の概要、都道府県別(北海道は地域別)の特徴について書かれています。 - 震源・震度に関する情報
気象庁、防災科学技術研究所、大学などの地震観測データに基づく震源・震度に関する情報です。 - 地震に関するパンフレット
地震発生のしくみ、地震調査研究推進本部の取組などを解説した各種パンフレットです。
津波評価等
- 津波評価
地震調査委員会では、津波予測の手順を標準化し、「波源断層を特性化した津波の予測手法(津波レシピ)」を公表しています。また、長期評価の結果と津波レシピをもとに、津波評価を進めています。 - 津波予測手法
「波源断層を特性化した津波の予測手法(津波レシピ)」についてのページです。 - 南海トラフ沿いで発生する大地震の確率論的津波評価
南海トラフ沿いで発生する大地震を対象に、長期評価の結果と津波予測の手順をもとに、公表時から30年以内に長期評価で想定される大地震が発生し、海岸の津波高がある高さ以上になる確率を評価した報告書です。
地方自治体等
- 長崎地方気象台
長崎地方気象台のページです。長崎県の地震概況等を閲覧することができます。
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