京都府
京都府に被害を及ぼす地震は、主に陸域の浅いところで発生する地震です。
京都府とその周辺の主な被害地震 (図をクリックすると拡大表示)
長期間にわたり都であった京都は、歴史の資料が豊富な場所です。歴史の資料で知られている最も古い京都府の地震は、701年の地震(規模不明)です。この地震により若狭湾内の島が山頂のみを残して海中に没したとの記述がありますが、基となった歴史の資料は後世のものであり、信憑性は乏しいと考えられています。陸域で発生した地震で、京都府での確実な被害地震の記録は、M6.7以上と推定されている976年の地震からです。この地震では、京都府南部や滋賀県で死者50名以上などの被害が生じました。慶長伏見地震と呼ばれる1596年の地震(M7 1/2)では、被害は畿内に広く分布し、特に、京都では三条から伏見の間で被害が最も多く、伏見城天守が大破し、石垣が崩れて約600名の圧死者が生じました。最近の調査によって、この地震は有馬−高槻断層帯で発生した地震であると考えられています。その他に、827年(M6.5〜7.0)、1830年(M6.5)などにも被害の記録がありますが、これらの地震がどの活断層に関係したものであったかは分かっていません。明治以降では、丹後半島を中心に甚大な被害を及ぼした1927年の北丹後地震(M7.3)が知られています。また、京都府中部の綾部市付近では、1968年の地震(M5.6)により、住家半壊1棟など局所的に被害が生じました。このような比較的規模の小さい地震でも、局所的に被害が生じたことがあります。
1185年(M7.4)の近江の地震、「平成7年(1995年)兵庫県南部地震」(M7.3)のように周辺地域の浅い場所で発生する地震や、1952年の吉野地震(M6.7、深さ約60km)のように沈み込んだフィリピン海プレート内で発生する地震、南海トラフ沿いで発生する巨大地震によっても京都府内で被害が生じたことがあります。さらに、京都府の北部は日本海に面しており、「昭和58年(1983年)日本海中部地震」(M7.7)など日本海東縁部で発生する地震によって、津波による被害を受けたことがあります。
京都府の主要な活断層は、滋賀県境付近から奈良県境付近にかけて三方・花折断層帯と京都盆地−奈良盆地断層帯南部(奈良盆地東縁断層帯)が延びています。南東部には、三重県・滋賀県から延びる木津川断層帯が、南部には兵庫県・大阪府から延びる有馬−高槻断層帯と、それに直交するように大阪府・奈良県の県境付近から延びる生駒断層帯があります。中央部の丹波高地の西部から京都盆地西縁にかけては三峠・京都西山断層帯が、北部には山田断層帯が延びています。
また、京都府周辺に震源域のある海溝型地震はありませんが、上述のように、南海トラフで発生する地震で被害を受ける可能性もあります。
京都盆地・亀岡盆地や、木津川・宇治川流域に沿った地域では地盤がやや軟弱なため、周辺より揺れが強くなる可能性があります。
府南部の18市町村は、南海トラフの地震で著しい地震災害が生じるおそれがあり、「南海トラフ地震防災対策推進地域」に指定されています。
【 京都府周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 】
【 京都府に被害を及ぼした主な地震 】 【 リンク 】
○京都府周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 [上に戻る]
地震 | マグニチュード | 地震発生確率 (30年以内) 【地震発生確率値の留意点】 |
||
海溝型地震 | ||||
南海トラフ | 南海トラフで発生する地震 | 8〜9クラス | 70%程度 | |
内陸の活断層で発生する地震 | ||||
琵琶湖西岸断層帯 | 北部 | 7.1程度 | 1%〜3% | |
南部 | 7.5程度 | ほぼ0% | ||
養老−桑名−四日市断層帯 | 8程度 | ほぼ0%〜0.7% | ||
鈴鹿東縁断層帯 | 7.5程度 | ほぼ0%〜0.07% | ||
鈴鹿西縁断層帯 | 7.6程度 | 0.08%〜0.2% | ||
頓宮断層 | 7.3程度 | 1%以下 | ||
布引山地東縁断層帯 | 西部 | 7.4程度 | ほぼ0%〜1% | |
東部 | 7.6程度 | 0.001% | ||
木津川断層帯 | 7.3程度 | ほぼ0% | ||
三方・花折断層帯 | 三方断層帯 | 7.2程度 | ほぼ0% | |
花折断層帯 (北部) | 7.2程度 | 不明 | ||
花折断層帯 (中南部) | 7.3程度 | ほぼ0%〜0.6% | ||
山田断層帯 | 主部 | 7.4程度 | 不明 | |
郷村断層帯 | M7.4程度 もしくはそれ以上 |
ほぼ0% | ||
京都盆地−奈良盆地断層帯南部 (奈良盆地東縁断層帯) |
7.4程度 | ほぼ0%〜5% | ||
有馬−高槻断層帯 | M7.5程度 (±0.5) |
ほぼ0%〜0.03% | ||
生駒断層帯 | 7.0〜7.5程度 | ほぼ0%〜0.1% | ||
三峠・京都西山断層帯 | 上林川断層 | 7.2程度 | 不明 | |
三峠断層 | 7.2程度 | 0.4%〜0.6% | ||
京都西山断層帯 | 7.5程度 | ほぼ0%〜0.8% | ||
六甲・淡路島断層帯 | 主部 (六甲山地南縁− 淡路島東岸区間) |
7.9程度 | ほぼ0%〜1% | |
主部 (淡路島西岸区間) | 7.1程度 | ほぼ0% | ||
先山断層帯 | 6.6程度 | ほぼ0% | ||
上町断層帯 | 7.5程度 | 2%〜3% | ||
中央構造線断層帯 | 金剛山地東縁 | 6.9程度 | ほぼ0%〜5% | |
和泉山脈南縁 | 7.6−7.7程度 | 0.07%〜14% | ||
紀淡海峡−鳴門海峡 | 7.6−7.7程度 | 0.005%〜1% | ||
山崎断層帯 | 那岐山断層帯 | 7.3程度 | 0.06%〜0.1% | |
主部 (北西部) | 7.7程度 | 0.09%〜1% | ||
主部 (南東部) | 7.3程度 | ほぼ0%〜0.01% | ||
草谷断層 | 6.7程度 | ほぼ0% | ||
大阪湾断層帯 | 7.5程度 | 0.004%以下 |
○京都府に被害を及ぼした主な地震 [上に戻る]
西暦(和暦) | 地域(名称) | M | 主な被害(括弧は全国での被害) |
827年8月11日 (天長4) |
京都 | 6.5〜7.0 | (家屋全壊多数。) |
887年8月26日 (仁和3) |
五畿・七道 | 8.0〜8.5 | 京都で、家屋倒壊多く、圧死者多数。(南海トラフ沿いの巨大地震) |
938年5月22日 (天慶1) |
京都・紀伊 | 7.0 | 宮中で死者4人。家屋全壊多数。 |
976年7月22日 (貞元1) |
山城・近江 | 6.7以上 | 死者50人以上、家屋全壊多数。 |
1185年8月13日 (文治1) |
近江・山城・大和 | 7.4 | 白河辺で被害大きく、死者、家屋倒壊多数。 |
1317年2月24日 (文保1) |
京都 | 6.5〜7.0 | 白河辺で、ことごとく住家全壊し、死者5人。 |
1449年5月13日 (宝徳1) |
山城・大和 | 5 3/4〜6.5 | 洛中の堂塔などに被害多く、死者多数。 |
1596月9年5日 (慶長1) |
畿内(慶長伏見地震とも呼ばれる) | 7 1/2±1/4 | 三条から伏見の間で被害が最も大きく、死者、家屋倒壊多数。伏見城では、天守の大破などにより、圧死者約600人。 |
1662年6月16日 (寛文2) |
山城・大和・河内・和泉・摂津・丹後・若狭・近江・美濃・伊勢・駿河・三河・信濃 | 7 1/4〜7.6 | 京都で死者200人余、家屋倒壊1,000棟。 |
1830年8月19日 (天保1) |
京都および隣国 | 6.5 | 京都で死者280人、負傷者1,300人。 |
1891年10月28日 (明治24) |
(濃尾地震) | 8.0 | 家屋全壊13棟。 |
1925年5月23日 (大正14) |
(北但馬地震) | 6.8 | 北部(久美浜)で、死者7人、負傷者30人、住家全壊20棟。 |
1927年3月7日 (昭和2) |
(北丹後地震) | 7.3 | 北部で甚大な被害。死者2,898人、負傷者7,595人、住家全壊4,899棟、同焼失2,019棟。 |
1952年7月18日 (昭和27) |
(吉野地震) | 6.7 | 死者1人、負傷者20人、住家全壊5棟。 |
1995年1月17日 (平成7) |
(平成7年(1995年)兵庫県南部地震) | 7.3 | (死者6,434人、行方不明3人、負傷者43,792人、住家全壊104,906棟。) |
2004年9月5日 (平成16) |
紀伊半島南東沖 →【地震本部の評価】 |
7.4 | 負傷者1人。 |
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