平成16年10月13日 |
紀伊半島南東沖の地震活動の評価
○ 9月5日23時57分頃、紀伊半島南東沖(東海道沖)でマグニチュード(M)7.4の地震が発生した。この約5時間前には、M 6.9の地震が発生した(第130回、131回地震調査委員会評価文「紀伊半島南東沖の地震活動の評価」参照)。地震の発生状況から、地震活動はM7.4の地震を本震とする前震−本震−余震型と考えられ、余震活動は順調に減衰している。これまでの最大の余震は9月8日23時58分頃のM6.5の地震で、本震の東側で発生した。これらの地震は紀伊半島南東沖の南海トラフ付近の概ね80km四方に分布しており、大局的にはトラフに沿う方向と本震付近でトラフとほぼ直交する北西−南東方向にそれぞれ分布がみられる。前震、本震、および最大余震はトラフに沿う方向の余震域内に位置しており、発震機構はいずれも南北方向に圧力軸をもつ逆断層型である。一方、北西−南東方向の余震域内ではM6.0以上の地震は発生しておらず、発震機構も横ずれ断層型を示している。
○ 本震発生後の9月8日から実施されている自己浮上式海底地震計による緊急観測結果では、本震の震央付近の余震分布は、フィリピン海プレート内の深さ10km前後を中心とするものと20km前後を中心とするものの二つに明瞭に分かれる。
○ GPS観測の結果によると、今回の活動に伴い、東北地方南部から四国地方にかけての広い範囲で変動が観測されており、志摩観測点が約6cm南へ移動するなど三重県から静岡県中部にかけての範囲が相対的に大きく南へ移動している。これらの観測結果は本震の発震機構と調和的である。本震発生後、現在までに顕著な余効変動は観測されていない。
○ 本震付近から北西−南東方向に分布する余震域の周辺の海底には、北西−南東方向に延びる線状地形が見られる。また、構造探査データの解析結果からは本震付近の地殻内に北西−南東方向の不連続構造が推定されている。