埼玉県
埼玉県に被害を及ぼす地震は、主に相模湾から房総半島南東沖にかけてのプレート境界付近で発生する地震と、陸域の様々な深さの場所で発生する地震です。
埼玉県とその周辺の主な被害地震 (図をクリックすると拡大表示)
相模湾から房総半島南東沖にかけてのプレート境界付近で発生する地震としては、例えば、1923年の関東地震(M7.9)では、県内のほぼ全域で震度5〜6の揺れとなり、死者・行方不明者343名などの被害が生じました。
陸域の浅い場所で発生した被害地震としては、1931年の西埼玉地震(M6.9)がよく知られています。この地震により、県内の広い範囲で震度5程度の揺れとなり、県中部・北部の荒川・利根川沿いの地盤の軟らかい地域を中心に死者11名などの被害が生じました。この地震は、関東平野北西縁断層帯で発生した可能性が指摘されていますが、少なくともこの断層帯の固有規模の地震(断層帯で周期的に発生する、その断層帯における最大規模の地震)ではないと考えられています。また、遺跡調査などによると、818年の関東諸国の地震(M7.5以上)による可能性がある地割れや噴砂が、埼玉県や群馬県の遺跡で見出されています。なお、818年の地震は関東平野北西縁断層帯で発生した可能性がありますが、少なくともこの断層帯の固有規模の地震ではないと考えられています。また、1649年の武蔵・下野の地震(M7.0)は立川断層帯で発生した可能性があると指摘されていますが、詳細はわかっていません。
荒川河口付近で発生した1855年の(安政)江戸地震(M7.0〜7.1)は、陸域の浅い場所で発生した地震であったか、沈み込んだフィリピン海プレートに関係する陸域のやや深い場所で発生した地震であったか、はっきりしていませんが、県東部を中心に強い揺れが生じ、大きな被害が生じました。さらに、沈み込んだ太平洋プレートに関係する陸域の深い場所で発生した地震としては、(明治)東京地震と呼ばれる1894年の地震(M7.0)による被害が知られています。また、深さは分かりませんが、1791年の川越・蕨の地震(M6.0〜6.5)や1859年の岩槻の地震(M6.0)のようなM6程度の地震によっても局所的に被害が生じることがあります。
周辺地域で発生する地震や東海沖など太平洋側沖合で発生するプレート境界付近の地震によっても被害を受けたことがあります。
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」では、県内で負傷者45名、建物全壊24戸などの被害が生じました (平成27年1月9日現在、警察庁調べ)。
埼玉県には、群馬県西部から県北東部にかけて深谷断層帯・綾瀬川断層(関東平野北西縁断層帯・元荒川断層帯)と、県南部から東京都南部まで延びている立川断層帯があります。また、県内に被害を及ぼす可能性のある海溝型地震には、相模トラフ沿いで発生する地震があります。
県全域が、「首都直下地震緊急対策区域」に指定されています。
【 埼玉県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 】
【 埼玉県に被害を及ぼした主な地震 】 【 リンク 】
○埼玉県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 [上に戻る]
地震 | マグニチュード | 地震発生確率 (30年以内) 【地震発生確率値の留意点】 |
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海溝型地震 | ||||
三 陸 沖 か ら 房 総 沖 |
東北地方太平洋沖型 | Mw8.4〜9.0 | ほぼ0% | |
三陸沖北部から房総沖 の海溝寄り |
津波地震 | Mt8.6−9.0前後 | 30%程度 (特定海域で7%程度) |
|
正断層型 | 8.2前後 Mt8.3前後 |
4%〜7% (特定海域で1%〜2%) |
||
福島県沖 | 7.4前後 (複数の地震が続発する) |
10%程度 | ||
茨城県沖 | 6.9〜7.6 | 70%程度 | ||
繰り返し発生する プレート間地震 |
6.7〜7.2 | 90%程度もしくはそれ以上 | ||
相模トラフ | 相模トラフ沿いのM8クラスの地震 | M8クラス (M7.9〜M8.6) |
ほぼ0%〜5% | |
プレートの沈み込みに伴うM7程度の地震 | M7程度 (M6.7〜M7.3) |
70%程度 | ||
南海トラフ | 南海トラフで発生する地震 | M8〜9クラス | 70%程度 | |
内陸の活断層で発生する地震 | ||||
大久保断層 | 7.0程度以上 | 0.6% | ||
太田断層 | 6.9程度 | 不明 | ||
深谷断層帯・綾瀬川断層 (関東平野北西縁断層帯・ 元荒川断層帯) |
深谷断層帯 | 7.9程度 | ほぼ0%〜0.1% | |
綾瀬川断層(鴻巣−伊奈区間) | 7.0程度 | ほぼ0% | ||
綾瀬川断層(伊奈−川口区間) | 7.0程度 | 不明 | ||
越生断層 | 6.7程度 | 不明 | ||
立川断層帯 | 7.4程度 | ほぼ0.5%〜2% | ||
鴨川低地断層帯 | 7.2程度以上 | 不明 | ||
三浦半島断層群 | 主部 (衣笠・北武断層帯) | 6.7程度 もしくはそれ以上 |
ほぼ0%〜3% | |
主部 (武山断層帯) | 6.6程度 もしくはそれ以上 |
6%〜11% | ||
南部 | 6.1程度 もしくはそれ以上 |
不明 | ||
伊勢原断層 | 7.0程度 | ほぼ0%〜0.003% | ||
塩沢断層帯・ 平山−松田北断層帯・ 国府津−松田断層帯 (神縄・国府津−松田断層帯) |
塩沢断層帯 | 6.8程度以上 | 4%以下 | |
平山−松田北断層帯 | 6.8程度 | 0.09%−0.6% | ||
国府津−松田断層帯 | 相模トラフで発生する海溝型地震と同時に活動すると推定 | |||
曽根丘陵断層帯 | 7.3程度 | 1% |
○埼玉県に被害を及ぼした主な地震 [上に戻る]
西暦(和暦) | 地域(名称) | M | 主な被害 |
818年 (弘仁9) |
関東諸国 | 7.5以上 | (相模、武蔵、下総、常陸、上野、下野などで被害。圧死者多数。) |
878年11月1日 (元慶2) |
関東諸国 | 7.4 | (相模、武蔵を中心に被害。圧死者多数。) |
1649年7月30日 (慶安2) |
武蔵・下野 | 7.0±1/4 | 川越を中心に被害。圧死者多数。町屋の700軒ばかり大破。 |
1855年11月11日 (安政2) |
((安政)江戸地震) | 6.9 | 荒川、利根川流域を中心に被害。死者3、負傷者1,724、家屋全壊27。幸手付近で家屋3,243棟が全壊同様となる被害があり、そのほとんどは液状化によると思われる。 |
1923年9月1日 (大正12) |
(関東地震) | 7.9 | 死者・行方不明者343人、住家全壊4,759。 |
1931年9月21日 (昭和6) |
(西埼玉地震) | 6.9 | 荒川、利根川流域を中心に被害。死者11人、負傷者114人、住家全壊63。 |
2004年10月23日 (平成16) |
(「平成16年(2004年) 新潟県中越地震」) →【地震本部の評価】 |
6.8 | 負傷者1人。 |
2005年2月16日 (平成17) |
茨城県南部 →【地震本部の評価】 |
5.4 | 負傷者6人。 |
2005年7月23日 (平成17) |
千葉県北西部 →【地震本部の評価】 |
6.0 | 負傷者9人。 |
2005年8月16日 (平成17) |
宮城県沖 →【地震本部の評価】 |
7.2 | 負傷者4人。住家全壊1。 |
2008年5月8日 (平成20) |
茨城県沖 →【地震本部の評価】 |
7.0 | 負傷者1人。 |
2011年3月11日 (平成23) |
(平成23年(2011年) 東北地方太平洋沖地震) 【地震本部の評価】 →平成23年3月11日公表 →平成23年3月13日公表 →平成23年4月12日公表 →平成25年3月11日公表 →平成26年3月11日公表 →平成27年3月10日公表 |
9.0 | 負傷者45人、建物全壊24戸、建物半壊199戸 (平成27年3月11日現在、警察庁調べ)。 |
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