平成16年11月10日 |
新潟県中越地方の地震活動の評価
○ 10月23日17時56分に新潟県中越地方の深さ約10kmでマグニチュード(M)6.8の地震*が発生し、新潟県で最大震度7を観測した。また、その後1時間以内にM6.0以上の地震が3回発生した(第133回地震調査委員会評価文「2004年10月23日新潟県中越地震の評価」参照)。地震の発生状況から、これまでの地震活動はM6.8の地震を本震とする本震−余震型であると考えられる。本震発生直後は大きめの地震が比較的多く発生する傾向がみられた。余震活動は概ね減衰しつつあるが、10月27日にM6.1、11月8日にはM5.9の地震が発生している。
○ 余震の大部分は、北北東−南南西方向に長さ約30km幅約20kmに分布している。緊急に実施している余震の観測や詳細な解析結果から、
本震を含む、高角北西下がりの分布
最大余震(23日18時34分M6.5)を含む、と平行な分布
余震域の東端に位置し27日のM6.1を含む、とほぼ直交する分布
が認められ、それぞれに対応した断層面が推定される。このように複数の震源断層が推定されることなどから、地下における断層形態は複雑であると考えられる。なお、本震の発震機構はの余震分布と整合していることから、本震は北北東−南南西方向の断層面をもつ北西側隆起の逆断層が活動したと考えられる。
○ GPS観測の結果によると、今回の地震活動に伴い、余震域南端付近の小千谷観測点(新潟県小千谷市)では約27cm隆起し、余震域東側の守門(すもん)観測点(同県魚沼市守門/旧南魚沼郡守門村)では北西方向に約21cm移動し約6cm沈降するなど、新潟県を中心に変動が観測された。また、合成開口レーダ(SAR)のデータからも、地震に伴う地殻変動が検出された。これらの観測結果から推定される断層モデルは、本震による北西側隆起の断層運動と調和的である。なお、10月27日のM6.1と11月8日M5.9の地震でも、震央付近の守門観測点などで数cm以内の変動が観測された。
○ 本震の震源過程の解析によると、断層面のやや深いところから始まった破壊が断層面に沿って浅い方向に進行していったと推定されている。
○ 11月10日18時から3日以内にM5.5(ところによって震度5強程度)以上の余震が発生する確率は約20%、M5.0(ところによって震度5弱程度)以上が発生する確率は約30%と推定される。
○ 今回の活動域周辺には複数の活断層が存在している。余震分布などから今回の地震では六日町盆地西縁に位置する断層帯の北部が活動した可能性があり、現在までの調査では、これに沿って小規模な地表変形が認められている。
*:今回の地震に対し、気象庁は「平成16年(2004年)新潟県中越地震」と命名した。