今回は、(独)防災科学技術研究所が行っている「日本海溝海底地震津波観測網の整備」について、千葉県房総沖での海底ケーブル敷設工事が開始されましたので、7月9日に行われました、千葉県南房総市白浜での陸揚げ工事と着工式について、その様子を報告します。
本事業は、房総沖から釧路沖までの日本海溝沿いに、光ケーブルと地震計・津波計が一体になった海底地震津波観測網を構築するプロジェクトになります。
※日本海溝海底地震津波観測網に関する過去の地震本部ニュースの記事
2012年2月号 2012年3月号
この観測網は全体で6つの海域のシステムから構成されますが、今回は、そのうちの房総沖システムのケーブル陸揚げ工事が、千葉県南房総市白浜で行われました。
当日は、写真1にあるように、沖合いに停泊したケーブル敷設船(すばる:総トン数9,557トン、全長124m)からケーブルの端末を陸に向かって繰り出し、陸のロープと接続し、ケーブルを重機で陸上に引き揚げる作業が行われました。当日は、とても暑い日でしたが、地元自治体をはじめ、漁業関係者、工事関係者など多くの方が集まっており、プレスの取材も多数ありました。また、工事現場近くの白浜市の施設において、着工式典も行われました。写真2は、式典会場に展示された観測装置の実物大の模型です。
今後は、茨城・福島沖、宮城・岩手沖、三陸沖北部、釧路・青森沖、日本海溝軸の外側の各海域において、順次ケーブル敷設・陸揚げ工事を行い、平成27年から本格的に運用を開始する予定です。この観測網により地震と津波のリアルタイム・連続観測・監視が可能となり、精度が高く迅速な津波警報や地震速報の高度化への貢献が期待されています。
陸揚げ作業の様子
観測装置の実物大模型
(広報誌「地震本部ニュース」平成25年(2013年)7月号)