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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 日本海溝海底地震津波観測網について1

 日本海溝海底地震津波観測網の整備がスタートしました。日本海溝沿いの北海道沖から房総沖までの海底154か所に地震と津波の観測点を設置し、総延長5,000km超の海底ケーブルで結んで、観測データを陸上までリアルタイムで伝送し、気象庁はじめ関係機関に即時流通させて監視や地震調査研究に活用されます。平成23年度第3次補正予算でその整備費用の一部が認められ、独立行政法人防災科学技術研究所は海底地震津波観測網整備推進室を新設して、平成26年度中の完成を目指します。

 東北地方太平洋沖では引き続き規模の大きな海溝型地震が発生し、今後も強い揺れや高い津波に見舞われるおそれがあります。地震・津波の観測網の整備および正確な地震・津波情報の提供は、東北地方を地震・津波から守り、災害に強いまちづくりをすすめる上できわめて重要です。
 東北地方太平洋沖地震は現行の津波警報の精度に限界があることを明らかにしました。現行の手法は、陸域に展開されている地震観測網の地震データから津波高を推定するものです。迅速に警報を出すことが可能ですが、沿岸あるいは沿岸近くの津波観測点に津波が到達するまで、その推定の確かさを確認することが困難です。沿岸での津波高推定の確度をあげるには、津波波源から出た津波が伝播して沿岸に到達するまでの途中で、津波の高さを実測して津波波源を迅速に確定するとともに、津波高予測値を逐次更新していく手法が有効です。海域の観測網により津波を検知し、早期に正確な情報を提供することは、適切な防災・減災のために不可欠です。
 また、東北地方太平洋沖で発生する地震の詳細な地震像は明らかになっておらず、震源域に近い海域の観測網により、地震を連続観測して、精度高く地震像を解明することは、将来の地震発生予測に貢献するとともに、復興過程における被災地の都市計画、防災計画にも貢献します。

 北海道沖から房総沖にかけての日本海溝沿い陸側を5海域に分けて順次整備します。5海域の観測網それぞれに25点の地震津波観測点を配置します。海溝軸外側(アウターライズ)に展開する観測網については29 点の地震津波観測点を配置します。その一部は、北海道沖と房総沖の観測網を補完します。このような配置をとることによって、マグニチュード7クラスの地震の震源域には、地震津波の海底観測点が少なくとも1点は配置することが可能となり、地震と津波の発生を震源域直上でリアルタイム検知することができるようになります。図1は観測網配置の概略ですが、敷設ルートは今後の海洋調査などによって修正されます。


日本海溝海底地震津波観測網ができると現状よりどのくらい早く地震を検知できるかを示したコンター図(右図)。陸域観測網が地震検知するまでにかかる時間(左図)と日本海溝海底地震津波観測網が地震検知するまでにかかる時間(中図)の差から求めた。日本海溝海底地震津波観測網の構築により現状より最大30秒程度早い検知が可能となる。

日本海溝海底地震津波観測網ができると現状よりどのくらい早く津波を検知できるかを示したコンター図(右図)。沿岸に最初に津波が到達するまでにかかる時間(左図)と日本海溝海底地震津波観測網が最初に津波検知するまでにかかる時間(中図)の差から求めた。日本海溝海底地震津波観測網の構築により現状より早い津波検知が可能となる。

 日本海溝海底地震津波観測網は、154か所の海底に地震津波観測点を展開するという過去にない大規模な海底観測網の構築であり、年次計画に従って各海域を順次整備して、平成26年度の完成を目指して進めることとしています。平成23年度補正予算により製作する2海域分の観測システムは、平成24年度中に東北地方太平洋沖地震M9の震源域に隣接する房総沖と三陸沖北部の海底に設置する計画です。また、平成24年度は茨城沖から宮城沖にかけての3海域用の観測システムの製作も行う予定です。

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