糸魚川−静岡構造線断層帯
糸魚川−静岡構造線断層帯は、長野県北部から諏訪湖付近を経由して山梨県南部にかけて延びる活断層帯です。
糸魚川−静岡構造線断層帯は、北は長野県北安曇(きたあづみ)郡小谷(おたり)村付近から姫川に沿って南下し、白馬(はくば)村、大町市、池田町、松川村、安曇野(あづみの)市、松本市、塩尻市、岡谷(おかや)市を経由して、下諏訪(しもすわ)町、諏訪市、茅野(ちの)市、富士見町(ふじみまち)、山梨県北杜(ほくと)市、韮崎(にらさき)市、南アルプス市、甲斐(かい)市、西八代(にしやつしろ)郡市川三郷(いちかわみさと)町、南巨摩(みなみこま)郡富士川(ふじかわ)町を通り、概ね富士川沿いに南下して早川(はやかわ)町付近に至る、緩いS字を描いて北北西−南南東方向に延びる長さ約158kmの断層帯です。
糸魚川−静岡構造線断層帯は、構成する活断層の断層トレースの連続性、深部形状、活動形態、活動履歴等の特徴等に基づき、4つの区間に分割されます。北から順に、長野県小谷村から安曇野市に至る長さ約50kmで東側が西側に対して相対的に隆起する逆断層を主体とする北部区間(小谷−明科(あかしな)区間)、安曇野市から茅野市に至る長さ約45kmで左横ずれを主体とする中北部区間(明科−諏訪湖南方区間)、岡谷市から山梨県北杜市に至る長さ約33kmで左横ずれを主体とする中南部区間(諏訪湖北方−下蔦木(しもつたき)区間)、北杜市から早川町に至る長さ約48kmで西側が東側に対して相対的に隆起する逆断層を主体とする南部区間(白州(はくしゅう)−富士見山(ふじみやま)区間)です。
【 断層帯の過去・将来の活動 】 【 将来の地震発生の可能性 】 【 もしこの地震が発生したら 】 【 リンク 】
○断層帯の過去・将来の活動 [上に戻る]
<過去の活動>
北部(小谷−明科)区間の最新活動時期は、約1千3百年前以降、約1千年前以前と推定され、西暦762年の地震(マグニチュード(M)7.0以上)の可能性もあります。平均的な活動間隔は1千年−2千4百年程度と考えられます。平均的な上下方向のずれの速度は1−3m/千年程度と推定されます。
中北部(明科−諏訪湖南方)区間の最新活動時期は、約1千2百年前以降、約8百年前以前と推定され、西暦762年もしくは841年(M6.5以上)の地震の可能性もあります。平均的な活動間隔は6百−8百年程度と考えられ、平均的な左横ずれの速度は9m/千年程度と推定されます。
中南部(諏訪湖北方−下蔦木)区間の最新活動時期は、約1千3百年前以降、約9百年前以前と推定され、西暦762年もしくは841年の地震の可能性もあります。平均的な活動間隔は1千3百年−1千5百年程度と考えられます。平均的な左横ずれの速度は5−6m/千年程度と推定されます。
西暦762年の地震が本断層帯の活動であった場合、北部(小谷−明科)区間と中北部(明科−諏訪湖南方)区間が同時に活動した可能性もあります。
南部(白州−富士見山)区間では、最新活動時期は約2千5百年前以降、約1千4百年前以前と推定されます。平均的な活動間隔は4千6百年−6千7百年程度と推定されます。平均的な左横ずれの速度は1m/千年程度と推定されます。
<将来の活動>
北部(小谷−明科)区間全体が1つの活動区間として活動する場合、M7.7程度の地震が発生する可能性があります。このとき、断層近傍の地表面では、断層の東側が西側に対して相対的に2−3m程度高まる段差や撓みが生じると推定されます。
中北部(明科−諏訪湖南方)区間全体が1つの活動区間として活動する場合、M7.6程度の地震が発生する可能性があります。このとき、断層近傍の地表面では、最大9m程度の左横ずれが生じると推定されます。
中南部(諏訪湖北方−下蔦木)区間全体が1つの活動区間として活動する場合、M7.4程度の地震が発生する可能性があります。このとき、断層近傍の地表面では、6m程度以上の左横ずれが生じる可能性があります。
南部(白州−富士見山)区間全体が1つの活動区間として活動する場合、M7.6程度の地震が発生する可能性があります。このとき、断層近傍の地表面では、断層の西側が東側に対して相対的に3m程度高まる段差や撓みが生じると推定されます。
将来の地震発生確率には幅がありますが、その最大値をとると、南部区間以外の3区間は、今後30年の間に地震が発生する可能性が、我が国の主な活断層の中では高いグループに、南部区間はやや高いグループに属することになります。
本断層帯の各区間はそれぞれ別々に活動すると推定されますが、複数区間が同時に活動する可能性も否定できません。その場合にはM7.8~8.1程度の地震が発生する可能性がもあります。この場合の地震発生確率を求めることはできませんが、各区間が単独で活動する確率より大きくなることはないと考えられます。
詳しい内容を知りたい方は、「糸魚川-静岡構造線断層帯の長期評価(第二版)」をご覧下さい。
また、関連資料として「関東地域の活断層の長期評価」もご覧下さい。
○将来の地震発生の可能性 [上に戻る]
[北部(小谷−明科)区間]
地震の規模 : M7.7程度
地震発生確率: 30年以内に、0.009%~16% (地震発生確率値の留意点)
地震後経過率: 0.4~1.3 (地震後経過率とは?)
平均活動間隔: 1000年-2400年程度
最新活動時期: 約1300年前以降、約1000年前以前 (西暦762年の地震の可能性もある)
[中北部(明科−諏訪湖南方)区間]
地震の規模 : M7.6程度
地震発生確率: 30年以内に、14%~30% (地震発生確率値の留意点)
地震後経過率: 1.0~2.0 (地震後経過率とは?)
平均活動間隔: 600年~800年程度
最新活動時期: 約1200年前以降、約800年前以前 (西暦762年もしくは841年の地震の可能性もある)
[中南部(諏訪湖北方−下蔦木)区間]
地震の規模 : M7.4程度
地震発生確率: 30年以内に、0.9%~8% (地震発生確率値の留意点)
地震後経過率: 0.6~1.0 (地震後経過率とは?)
平均活動間隔: 1300年~1500年程度
最新活動時期: 約1300年前以降、約900年前以前 (西暦762年もしくは841年の地震の可能性もある)
[南部(白州−富士見山)区間]
地震の規模 : M7.6程度
地震発生確率: 30年以内に、ほぼ0%~0.1% (地震発生確率値の留意点)
地震後経過率: 0.2~0.5 (地震後経過率とは?)
平均活動間隔: 4600年~6700年程度
最新活動時期: 約2500年前以降、約1400年前以前
[複数区間が同時活動する場合]
地震の規模 : M7.8~8.1程度
詳しい内容を知りたい方は、「糸魚川-静岡構造線断層帯の長期評価(第二版)」および「長期評価結果一覧」をご覧下さい。
また、関連資料として「関東地域の活断層の長期評価」もご覧下さい。
○もしこの地震が発生したら [上に戻る]
[北部(小谷−明科)区間]
[中北部(明科−諏訪湖南方)区間]
[中南部(諏訪湖北方−下蔦木)区間]
[南部(白州−富士見山)区間]
詳しい内容を知りたい方は、「全国地震動予測地図2020年版」をご覧下さい。
全国地震動予測地図の詳細なデータや関連情報は地震ハザードステーション(J-SHIS)をご参照下さい。
○リンク [上に戻る]
地震動予測地図等
- 全国地震動予測地図
「全国地震動予測地図」 のページです。 - 地震ハザードステーション(J−SHIS)
防災科学技術研究所の地震ハザードステーション(J−SHIS)です。地震動予測地図の各種地図の閲覧、数値データ等のダウンロードが可能です。 - 長周期地震動予測地図
将来ある特定の地震が発生した際に生じる長周期地震動の揺れの強さや性質を予測した地図です。
活断層評価等
- 長期評価 (糸魚川-静岡構造線断層帯の長期評価(第二版))
糸魚川−静岡構造線断層帯の将来の地震発生の可能性についての評価です。 - 長期評価結果一覧
主要な活断層や海溝型地震(プレートの沈み込みに伴う地震)の活動間隔、次の地震の発生可能性〔場所、規模(マグニチュード)及び発生確率〕等の評価(長期評価)の概要を一覧にして掲載しています。 - 「関東地域の活断層の地域評価」
関東地域の陸域及び沿岸海域に分布し、M6.8以上の地震を引き起こす可能性のある活断層について、総合的に評価しました。 - 東北地方太平洋沖地震後の活断層の長期評価について(PDF 1MB)
地震調査委員会は、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれ以後の地殻変動のデータを用いて、全国の主要活断層帯への影響を各断層面にかかる力の変化の度合いに基づき評価し、5つの断層帯について「地震発生確率が高くなっている可能性がある」と判断しました。 - 活断層調査
- 糸魚川-静岡構造線断層帯における重点的な調査観測(追加調査)
文部科学省では、平成26年11月22日の長野県北部の地震(M6.7)の発生を受け、その地震像の解明や、関係する断層帯の評価の高度化を図るために、糸魚川-静岡構造線断層帯(北部)において、大学等に委託し、平成27年度に重点的な調査観測(追加調査)を実施しました。 - 糸魚川−静岡構造線断層帯における重点的な調査観測
文部科学省では、「今後の重点的な調査観測について」(地震調査研究推進本部,2005)の中で、強い揺れに見舞われる可能性が相対的に高い地域とされた糸魚川−静岡構造線断層帯において、大学、関係行政機関および関係する独立行政法人に委託し、平成17年度から重点的な調査観測を実施しています。 - 糸魚川−静岡構造線断層帯および宮城県沖地震に関するパイロット的な重点的調査観測
文部科学省では、活断層で発生する地震や海溝型の地震の長期評価の結果等により、強い揺れに見舞われる可能性が相対的に極めて高いとされた2地域で、大学、関係行政機関及び関係する独立行政法人と連携し、平成14年度から3カ年計画で、パイロット的な重点的調査観測を実施しました。 - 糸魚川−静岡構造線断層帯のトレンチ調査結果について
- 国立研究開発法人産業技術総合研究所 内陸及び沿岸海域の活断層調査 平成29年度成果報告書 2.糸魚川−静岡構造線断層帯(北部区間)(長野県)
- 国立研究開発法人産業技術総合研究所 内陸及び沿岸海域の活断層調査 平成30年度成果報告書 1.糸魚川−静岡構造線断層帯(中北部区間)(長野県)
- 糸魚川-静岡構造線断層帯における重点的な調査観測(追加調査)
- 産業技術総合研究所 活断層データベース
日本全国の活断層(活動セグメント)の分布とそのパラメータ、日本の活断層に関係する文献の書誌データ、文献から採録された調査地点ごとの調査結果データ、地下数十キロメートルまでの地下構造データが収録されています。 - 国土地理院 活断層図(都市圏活断層図)
国土地理院の活断層図(都市圏活断層図)のページです。
地震活動等
- 毎月の地震活動の評価
地震調査委員会による毎月(および臨時)の地震活動の評価です。 - 主な地震活動の評価
各地震活動について、これまでに公表された評価結果をとりまとめたものです。 - 日本の地震活動 −被害地震から見た地域別の特徴−
全国の地震活動の概要と地震に関する基礎知識、そして、日本を北海道、東北、関東、中部、近畿、中国・四国及び九州・沖縄に区分し、その地方の地震活動の概要をはじめ、その地域に被害を及ぼす地震のタイプ、これまでに発生した主な被害地震の概要、都道府県別(北海道は地域別)の特徴について書かれています。 - 震源・震度に関する情報
気象庁、防災科学技術研究所、大学などの地震観測データに基づく震源・震度に関する情報です。 - 地震に関するパンフレット
地震発生のしくみ、地震調査研究推進本部の取組などを解説した各種パンフレットです。
地方自治体等
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