富山県の地震活動の特徴
富山県に被害を及ぼす地震は、主に陸域の浅い場所で発生する地震です。
富山県とその周辺の主な被害地震(図をクリックすると拡大表示)
富山県の歴史の資料に現れる古い地震には、863年の地震(M不明)があります。この地震では富山県、新潟県に被害が生じ、山崩れや民家の倒壊などで多数の圧死者が出たといいます。津波被害があったかどうかは不明です。震源の位置が不明なため、陸域の浅い地震か日本海東縁部の地震かは分かりません。
歴史の資料によって知られている陸域の浅い場所で発生した主な被害地震としては、1586年の天正地震(M7.8)と1858年の飛越地震(M7.0~7.1、飛騨地震とも呼ばれます)が知られています。1586年の天正地震では、現在の高岡市の南西にあった越中木船城で大きな被害があり、城主以下多数が圧死したとされています。1858年の飛越地震では、跡津川断層帯に沿う集落で特に大きな被害が生じました。それから離れるにしたがって、特に、南東側では急激に被害は小さくなります。家屋倒潰率80%を超えた10の集落はすべて跡津川断層帯に沿うところにあり、この断層で地震が発生したものと考えられます。富山平野東部では、多数の家屋倒壊、富山城の石垣などの破損や死者40~50名の被害が生じました。また、山崩れが多く発生し、中でも大鳶山・小鳶山の崩れ(立山鳶崩れ)は湯川や真川(常願寺川上流)をせき止め、その後の決壊で泥水・大木を押し流し、下流の村々は洪水になり、大きな被害が生じました。
県内では、1933年の能登半島の地震(M6.0)や「平成19年(2007年)能登半島地震」(M6.9)、「平成19年(2007年)新潟県中越沖地震」(M6.8)などのように隣接する県の陸域で発生する地震によっても被害を受ける場合があります。1964年の「新潟地震」(M7.5)や「昭和58年(1983年)日本海中部地震」(M7.7)では、検潮所で津波が記録されていますが、数十cm以下であり、特に被害はありませんでした。
富山県の主要な活断層は、砺波平野の西縁と東縁に砺波平野断層帯が、富山市の西方に呉羽山断層帯、石川県との県境から岐阜県にかけて庄川断層帯が、県南部の岐阜県との県境付近に、牛首断層帯と跡津川断層帯があります。
また、富山県周辺に震源域のある海溝型地震はありませんが、日本海東縁部で発生する地震で被害を受ける可能性もあります。
【 富山県周辺の主要活断層帯で起こる地震 】
【 富山県に被害を及ぼした主な地震 】
【 確率論的地震動予測地図 】 【 リンク 】
○富山県周辺の主要活断層帯で起こる地震 [上に戻る]
地震 | マグニチュード | 地震発生確率 (30年以内) 【地震発生確率値の留意点】 |
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内陸の活断層で発生する地震 | ||||
長野盆地西縁断層帯 (信濃川断層帯) |
飯山−千曲区間 | 7.4~7.8程度 | ほぼ0% | |
麻績区間 | 6.8程度 | 不明 | ||
糸魚川−静岡構造線断層帯 | 北部(小谷−明科)区間 | 7.7程度 | 0.009%~16% | |
中北部(明科−諏訪湖南方)区間 | 7.6程度 | 14%~30% | ||
中南部(諏訪湖北方−下蔦木)区間 | 7.4程度 | 0.9%~8% | ||
南部(白州−富士見山)区間 | 7.6程度 | ほぼ0%~0.1% | ||
境峠・神谷断層帯 | 主部 | 7.6程度 | 0.02%~13% | |
霧訪山−奈良井断層帯 | 7.2程度 | 不明 | ||
跡津川断層帯 | 7.9程度 | ほぼ0% | ||
高山・大原断層帯 | 国府断層帯 | 7.2程度 | ほぼ0%~5% | |
高山断層帯 | 7.6程度 | 0.7% | ||
猪之鼻断層帯 | 7.1程度 | 不明 | ||
牛首断層帯 | 7.7程度 | ほぼ0% | ||
庄川断層帯 | 7.9程度 | ほぼ0% | ||
邑知潟断層帯 | 7.6程度 | 2% | ||
砺波平野断層帯・ 呉羽山断層帯 |
砺波平野断層帯 (西部) | 7.2程度 | ほぼ0%~2% もしくはそれ以上 |
|
砺波平野断層帯 (東部) | 7.0程度 | 0.04%~6% | ||
呉羽山断層帯 | 7.2程度 | ほぼ0%~5% | ||
森本・富樫断層帯 | 7.2程度 | 2%~8% | ||
魚津断層帯 | 7.3程度 | 0.4%以上 |
○富山県に被害を及ぼした主な地震 [上に戻る]
西暦(和暦) | 地域(名称) | M | 主な被害 |
863年7月10日 (貞観5) |
越中・越後 | 不明 | (山崩れ、住家損壊、湧水あり、圧死多数。) |
1586年1月18日 (天正13) |
畿内・東海・東山・北陸諸道(天正地震) | 7.8 (8.2とする 文献もある) |
高岡市南西部の木船城が崩壊し、圧死者多数。 |
1858年4月9日 (安政5) |
飛騨・越中・加賀・越前(飛越地震。飛騨地震とも呼ばれる。) | 7.0~7.1 | 常願寺川の上流が堰止められ、後に決壊して、死者140人、家屋倒壊及び同流失1,612棟、大山町で山崩れによ り死者36人。 |
1891年10月28日 (明治24) |
(濃尾地震) | 8.0 | 越中で家屋全壊2棟。 |
2007年3月25日 (平成19) |
(平成19年(2007 年)能登半島地震) →【地震本部の評価】 |
6.9 | 負傷者13人。 |
2007年7月16日 (平成19) |
(平成19年(2007年) 新潟県中越沖地震) →【地震本部の評価】 |
6.8 | 負傷者1人。 |
2023年5月5日 (令和5) |
石川県能登地方 【地震本部の評価】 →令和5年5月6日公表 →令和5年5月12日公表 →令和5年6月9日公表 【リンク集】 |
6.5 | 負傷者1人 (令和5年6月7日現在、総務省消防庁調べ)。 |
2024年1月1日 (令和6) |
石川県能登地方 (令和6年能登半島地震) 【地震本部の評価】 →令和6年1月2日公表 →令和6年1月15日公表 →令和6年2月9日公表 【リンク集】 |
7.6 | 負傷者53人、住家全壊251棟、住家半壊776棟 (令和6年7月1日14時00分、総務省消防庁調べ)。 |
「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」(評価基準日:2020年1月1日)
を示した地震動予測地図です。
詳しい内容を知りたい方は、「全国地震動予測地図2020年版」をご覧下さい。
全国地震動予測地図の詳細なデータや関連情報は地震ハザードステーション(J-SHIS)をご参照下さい。
○リンク [上に戻る]
地震動予測地図等
- 全国地震動予測地図
「全国地震動予測地図」 のページです。 - 地震ハザードステーション(J−SHIS)
防災科学技術研究所の地震ハザードステーション(J−SHIS)です。地震動予測地図の各種地図の閲覧、数値データ等のダウンロードが可能です。 - 長周期地震動予測地図
将来ある特定の地震が発生した際に生じる長周期地震動の揺れの強さや性質を予測した地図です。 - 応答スペクトルに関する地震動ハザード評価
工学的利活用に向けて、試作版の報告書を公表しています。 - 強震動評価
ある特定の震源断層に着目して、そこで地震が発生した場合に周辺の地域がどの程度の強い揺れに見舞われるかを示した地図です (震源断層を特定した地震動予測地図)。- 魚津断層帯の地震による予測震度分布
「魚津断層帯の長期評価(平成19年5月14日公表)」とあわせて示した予測震度分布図です。 - 砺波平野断層帯・呉羽山断層帯の地震を想定した強震動評価(平成16年3月22日公表)
- 砺波平野断層帯・呉羽山断層帯の地震による予測震度分布
「砺波平野断層帯・呉羽山断層帯の長期評価(一部改訂)(平成20年5月16日公表)」とあわせて示した予測震度分布図です。 - 森本・富樫断層帯の地震を想定した強震動評価(平成15年3月12日公表)
- 森本・富樫断層帯の地震による予測震度分布
「森本・富樫断層帯の長期評価(一部改訂)(平成25年11月22日公表)」とあわせて示した予測震度分布図です。 - 高山・大原断層帯の地震を想定した強震動評価(平成16年9月27日公表)
- 魚津断層帯の地震による予測震度分布
- 森本・富樫断層帯における重点的な調査観測
文部科学省では、「新たな活断層調査について」(地震調査研究推進本部,2009)の中で、地震後経過率の最大値が1.0を超えていること、断層が通過する市町村の総人口が概ね50万人を超える等、地震が発生した際の社会的影響が大きい断層として選定された森本・富樫断層帯について、研究機関に委託し、重点的な活断層調査を実施しています。
長期評価等
- 長期評価
- 内陸の活断層帯の将来の地震発生の可能性についての評価です。
- 「関東地域の活断層の地域評価」
関東地域の陸域及び沿岸海域に分布し、M6.8以上の地震を引き起こす可能性のある活断層について、総合的に評価しました。 - 日本海側の海域活断層の長期評価 ―兵庫県北方沖~新潟県上越地方沖―(令和6年8月版)
兵庫県北方沖~新潟県上越地方沖に分布する活断層のうち、その活動が社会的、経済的に大きな影響を与えるおそれのあるマグニチュード(M)7.0程度以上の地震を発生させる可能性のある、長さ20km以上の活断層を主な対象として、これまでに行われた調査研究成果等に基づき評価対象海域の海域活断層の長期評価を行いました。 - 長期評価結果一覧
主要な活断層や海溝型地震(プレートの沈み込みに伴う地震)の活動間隔、次の地震の発生可能性〔場所、規模(マグニチュード)及び発生確率〕等の評価(長期評価)の概要を一覧にして掲載しています。
- 活断層調査・観測等
【糸魚川−静岡構造線断層帯】- 糸魚川-静岡構造線断層帯における重点的な調査観測(追加調査)
文部科学省では、平成26年11月22日の長野県北部の地震(M6.7)の発生を受け、その地震像の解明や、関係する断層帯の評価の高度化を図るために、糸魚川-静岡構造線断層帯(北部)において、大学等に委託し、平成27年度に重点的な調査観測(追加調査)を実施しました。 - 糸魚川−静岡構造線断層帯における重点的な調査観測
文部科学省では、「今後の重点的な調査観測について」(地震調査研究推進本部,2005)の中で、強い揺れに見舞われる可能性が相対的に高い地域とされた糸魚川−静岡構造線断層帯において、大学、関係行政機関および関係する独立行政法人に委託し、平成17年度から重点的な調査観測を実施しています。 - 糸魚川−静岡構造線断層帯および宮城県沖地震に関するパイロット的な重点的調査観測
文部科学省では、活断層で発生する地震や海溝型の地震の長期評価の結果等により、強い揺れに見舞われる可能性が相対的に極めて高いとされた2地域で、大学、関係行政機関及び関係する独立行政法人と連携し、平成14年度から3カ年計画で、パイロット的な重点的調査観測を実施しました。 - 糸魚川−静岡構造線断層帯のトレンチ調査結果について
- 国立研究開発法人産業技術総合研究所 内陸及び沿岸海域の活断層調査 平成29年度成果報告書 2.糸魚川−静岡構造線断層帯(北部区間)(長野県)
- 国立研究開発法人産業技術総合研究所 内陸及び沿岸海域の活断層調査 平成30年度成果報告書 1.糸魚川−静岡構造線断層帯(中北部区間)(長野県)
- 富山県 平成7年度 呉羽山断層に関する調査成果報告書
- 富山県 平成9年度 砺波平野断層帯に関する調査成果報告書
- 富山県 平成10年度 砺波平野断層帯に関する調査成果報告書
- 富山県 平成11年度 砺波平野断層帯に関する調査成果報告書
- 独立行政法人産業技術総合研究所 平成18度 砺波平野断層帯・呉羽山断層帯の活動性および活動履歴調査(「基盤的調査観測対象断層帯の追加・補完調査」成果報告書 No.H18−9)
- 富山大学/地域地盤環境研究所 平成22年度 沿岸海域における活断層調査 呉羽山断層帯(海域部) 成果報告書
- 独立行政法人産業技術総合研究所 平成23年度 砺波平野断層帯・呉羽山断層帯(砺波平野断層帯西部)の活動性および活動履歴調査(「活断層の追加・補完調査」成果報告書 No.H23−1)
- 森本・富樫断層帯における重点的な調査観測
文部科学省では、「新たな活断層調査について」(地震調査研究推進本部,2009)の中で、地震後経過率の最大値が1.0を超えていること、断層が通過する市町村の総人口が概ね50万人を超える等、地震が発生した際の社会的影響が大きい断層として選定された森本・富樫断層帯について、研究機関に委託し、重点的な活断層調査を実施しています。 - 石川県 平成8年度 森本断層系に関する調査成果報告書
- 石川県 平成9年度 森本・富樫断層帯に関する調査成果報告書
- 石川県 平成10年度 森本・富樫断層帯に関する調査成果報告書
- 独立行政法人産業技術総合研究所 平成19年度 森本富樫断層帯の活動性および活動履歴調査(「基盤的調査観測対象断層帯の追加・補完調査」成果報告書 No.H19−3)
- 岐阜県 平成10年度 高山・大原断層帯に関する調査成果報告書
- 岐阜県 平成11年度 高山・大原断層帯に関する調査成果報告書
- 岐阜県 平成12年度 高山・大原断層帯に関する調査成果報告書
- 独立行政法人産業技術総合研究所 平成20年度 高山・大原断層帯(国府断層帯)の活動性および活動履歴調査(「活断層の追加・補完調査」成果報告書 No.H20−5)
- 独立行政法人産業技術総合研究所 平成20年度 高山・大原断層帯(髙山断層帯)の活動性および活動履歴調査(「活断層の追加・補完調査」成果報告書 No.H20−6)
- 独立行政法人産業技術総合研究所 平成24年度 高山・大原断層帯(猪之鼻断層帯)の活動性および活動履歴調査(「活断層の補完調査」成果報告書No.H24-2)
- 糸魚川-静岡構造線断層帯における重点的な調査観測(追加調査)
- 産業技術総合研究所 活断層データベース
日本全国の活断層(活動セグメント)の分布とそのパラメータ、日本の活断層に関係する文献の書誌データ、文献から採録された調査地点ごとの調査結果データ、地下数十キロメートルまでの地下構造データが収録されています。 - 国土地理院 活断層図(都市圏活断層図)
国土地理院の活断層図(都市圏活断層図)のページです。
地震活動等
- 毎月の地震活動の評価
地震調査委員会による毎月(および臨時)の地震活動の評価です。
【2024年1月1日石川県能登地方の地震(令和6年能登半島地震)】 【2023年5月5日石川県能登地方の地震】 【平成19年(2007年)新潟県中越沖地震】 【平成19年(2007年)能登半島地震】 - 主な地震活動の評価
各地震活動について、これまでに公表された評価結果をとりまとめたものです。 - 日本の地震活動 −被害地震から見た地域別の特徴−
全国の地震活動の概要と地震に関する基礎知識、そして、日本を北海道、東北、関東、中部、近畿、中国・四国及び九州・沖縄に区分し、その地方の地震活動の概要をはじめ、その地域に被害を及ぼす地震のタイプ、これまでに発生した主な被害地震の概要、都道府県別(北海道は地域別)の特徴について書かれています。 - 震源・震度に関する情報
気象庁、防災科学技術研究所、大学などの地震観測データに基づく震源・震度に関する情報です。 - 地震に関するパンフレット
地震発生のしくみ、地震調査研究推進本部の取組などを解説した各種パンフレットです。
津波評価等
- 津波評価
地震調査委員会では、津波予測の手順を標準化し、「波源断層を特性化した津波の予測手法(津波レシピ)」を公表しています。また、長期評価の結果と津波レシピをもとに、津波評価を進めています。 - 津波予測手法
「波源断層を特性化した津波の予測手法(津波レシピ)」についてのページです。
地方自治体等
- 富山地方気象台
富山地方気象台のページです。富山県の気象・地震概況や主な被害地震等を閲覧することができます。
- 富山県
「富山防災WEB」です。地震・津波情報や地域防災計画等を閲覧できます。
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