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岐阜県

 岐阜県に被害を及ぼす地震は、主に陸域の浅い場所で発生する地震と、相模、駿河、南海トラフ沿いで発生する海溝型巨大地震です。

      岐阜県とその周辺の主な被害地震  (図をクリックすると拡大表示)
岐阜県とその周辺の主な被害地震  陸域の浅い場所で発生した被害地震としては、濃尾断層帯で発生した1891年の濃尾地震(M8.0)がよく知られています。
 歴史の資料によると、745年の美濃の地震(M7.9)や762年の美濃・飛騨・信濃の地震(M不明)をはじめ、岐阜県では古くから被害地震の記録があります。その中で天正地震と呼ばれる1586年の地震(M7.8)は、その被害の範囲から、1891年の濃尾地震(M8.0)に匹敵するような非常に大きな地震であったと考えられています。また、飛越地震(飛騨地震とも呼ばれます)と呼ばれる1858年の地震(M7.0〜7.1)では、県北部を中心に被害が生じ、その被害状況などから跡津川断層帯で発生したと考えられています。比較的最近では、県北部を中心に死者3名などの被害が生じた1961年の「北美濃地震」(M7.0)、県中部を中心に死者1名などの被害が生じた1969年の岐阜県中部の地震(M6.6)などが知られています。このほか、局所的に被害が生じたことがあります。
 飛騨地方では小規模ながら群発地震の活動域が点在し、下呂市飛騨萩原付近、同市小坂、高山市高根などの他、長野県境の山岳地域にも活発な地震活動がみられます。
 1847年の善光寺地震の際には、白川村の飛騨保木脇で山崩れがあり、圧死者数十名などの被害が生じたとの記録があります。また、滋賀県の東部で発生した1819年の地震(M7 1/4)では、県西部を中心に被害が生じました。このように周辺の地域で発生した地震によっても被害を受けたことがあります。
 南海トラフ沿いの巨大地震でも、地震の揺れによる被害を受けています。1707年の宝永地震(M8.6)や1854年の安政東海地震(M8.4)、安政南海地震(M8.4)の際に、県南部を中心に大きな被害が生じました。1944年の東南海地震(M7.9)では、県内で死者・行方不明者16名、家屋全壊406棟など、さらに1946年の南海地震(M8.0)の際には、死者32名、家屋全壊340棟などの被害が生じました。
 岐阜県には多くの活断層があります。県北部では牛首断層帯跡津川断層帯高山・大原断層帯が平行に走っており、それに直交するように、石川県から延びる庄川断層帯とそれと平行に長良川上流断層帯があります。長野県との県境付近に木曽山脈西縁断層帯とその延長上に屏風山・恵那山及び猿投山断層帯、さらにそれに平行するように阿寺断層帯が、県南西部には濃尾断層帯、さらに西部には柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯とその延長上に養老−桑名−四日市断層帯鈴鹿東縁断層帯があります。
 また、県内に被害を及ぼす可能性のある海溝型地震には、南海トラフで発生する地震があります。
 なお、県南西部にあるとされていた岐阜−一宮断層帯は、調査の結果活断層ではないとされています。
 県内の39市町村が、「南海トラフ地震防災対策推進地域」に指定されています。

  【 岐阜県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 】
  【 岐阜県に被害を及ぼした主な地震 】  【 リンク 】

○岐阜県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震  [上に戻る]

地震 マグニチュード 地震発生確率
(30年以内)

【地震発生確率値の留意点】
海溝型地震
南海トラフ 南海トラフで発生する地震 M8〜9クラス 70%程度
内陸の活断層で発生する地震
木曽山脈西縁断層帯 主部 (北部) 7.5程度 ほぼ0%
主部 (南部) 6.3程度 0%〜4%
清内路峠断層帯 7.4程度 不明
境峠・神谷断層帯 主部 7.6程度 0.02%〜13%
霧訪山−奈良井断層帯 7.2程度 不明
跡津川断層帯 7.9程度 ほぼ0%
高山・大原断層帯 国府断層帯 7.2程度 ほぼ0%〜5%
高山断層帯 7.6程度 0.7%
猪之鼻断層帯 7.1程度 不明
牛首断層帯 7.7程度 ほぼ0%
庄川断層帯 7.9程度 ほぼ0%
伊那谷断層帯 主部 8.0程度 ほぼ0%
南東部 7.3程度 不明
阿寺断層帯 主部 (北部) 6.9程度 6%〜11%
主部 (南部) 7.8程度 ほぼ0%
佐見断層帯 7.2程度 不明
白川断層帯 7.3程度 不明
屏風山・恵那山断層帯
及び猿投山断層帯
屏風山断層帯 6.8程度 0.2%〜0.7%
赤河断層帯 7.1程度 不明
恵那山−猿投山北断層帯 7.7程度 ほぼ0%〜2%
猿投−高浜断層帯 7.7程度 ほぼ0%
加木屋断層帯 7.4程度 0.1%
邑知潟断層帯 7.6程度 2%
砺波平野断層帯・
呉羽山断層帯
砺波平野断層帯 (西部) 7.2程度 ほぼ0%〜2%
もしくはそれ以上
砺波平野断層帯 (東部) 7.0程度 0.04%〜6%
呉羽山断層帯 7.2程度 ほぼ0%〜5%
森本・富樫断層帯 7.2程度 2%〜8%
福井平野東縁断層帯 主部 7.6程度 ほぼ0%〜0.07%
西部 7.1程度 不明
長良川上流断層帯 7.3程度 不明
濃尾断層帯 温見断層 (北西部) 6.8程度 ほぼ0%
温見断層 (南東部) 7.0程度 不明
主部 (根尾谷断層帯) 7.3程度 ほぼ0%
主部 (梅原断層帯) 7.4程度 ほぼ0%
主部 (三田洞断層帯) 7.0程度 不明
揖斐川断層帯 7.1程度 不明
武儀川断層 7.3程度 不明
柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯 主部(北部) 7.6程度 ほぼ0%
主部(中部) 6.6程度 不明
主部(南部) 7.6程度 不明
浦底−柳ヶ瀬山断層帯 7.2程度 不明
野坂・集福寺断層帯 野坂断層帯 7.3程度 ほぼ0%
もしくはそれ以上
集福寺断層 6.5程度 不明
湖北山地断層帯 北西部 7.2程度 ほぼ0%
南東部 6.8程度 ほぼ0%
琵琶湖西岸断層帯 北部 7.1程度 1%〜3%
南部 7.5程度 ほぼ0%
養老−桑名−四日市断層帯 8程度 ほぼ0%〜0.7%
鈴鹿東縁断層帯 7.5程度 ほぼ0%〜0.07%
鈴鹿西縁断層帯 7.6程度 0.08%〜0.2%
頓宮断層 7.3程度 1%以下
布引山地東縁断層帯 西部 7.4程度 ほぼ0%〜1%
東部 7.6程度 0.001%
木津川断層帯 7.3程度 ほぼ0%
伊勢湾断層帯 主部 (北部) 7.2程度 ほぼ0%
主部 (南部) 6.9程度 ほぼ0%〜0.002%
白子−野間断層 0.2%〜0.8%
魚津断層帯 7.3程度 0.4%以上
岐阜−一宮断層帯 活断層ではないと判断される
  (算定基準日: 2015年1月1日)


○岐阜県に被害を及ぼした主な地震  [上に戻る]

西暦(和暦) 地域(名称) 主な被害
745年6月5日
(天平17)
美濃 7.9 美濃で正倉、仏寺、民家の傾倒多し。
762年6月9日
(天平宝字6)
美濃・飛騨・信濃 不明 詳細不明なるも被害のあったことは疑いなし。
1586年1月18日
(天正13)
畿内・東海・東山・北陸諸道(天正地震) 7.8
(8.2とする文献もある)
白川谷で山崩れ、城、住家倒壊300棟余、圧死者多数。大垣で家屋倒壊多数。
1662年6月16日
(寛文2)
山城・大和・河内・和泉・摂津・丹後・若狭・近江・美濃・伊勢・駿河・三河・信濃 7 1/4〜7.6 美濃で家屋被害多数。
1707年10月28日
(宝永4)
(宝永地震) 8.6 美濃で家屋倒壊400棟。
1833年5月27日
(天保4)
美濃西部 6 1/4 大垣領で山崩れなどにより、死者11人、負傷者22人。
1847年5月8日
(弘化4)
(善光寺地震) 7.4 道路崩壊や家屋倒壊があるが詳細不明。飛騨保木脇村で山崩れ、圧死者数十人、住家埋没2棟。
1854年12月23日
(安政1)
(安政東海地震) 8.4 高須、大垣、加納、不破郡、土岐郡、恵那郡で家屋倒壊多数。
1854年12月24日
(安政1)
(安政南海地震) 8.4 両日の地震の被害は、美濃南部でひどく、美濃北部へ行くほど軽かった。
1855年3月18日
(安政2)
飛騨白川・金沢 6 3/4 保木脇で山崩れ、死者12人、家屋倒壊2棟。
1858年4月9日
(安政5)
飛騨・越中・加賀・越前(飛越地震。飛騨地震とも呼ばれる) 7.0〜7.1 飛騨北部・越中で被害大。飛騨で死者203人、負傷者45人、家屋全壊319棟。
1891年10月28日
(明治24)
(濃尾地震) 8.0 美濃で被害大。死者4,990人、負傷者12,783人、住家全壊50,125棟、同全半焼4,451棟。飛騨、郡上、恵那郡ではほとんど被害なし。
1909年8月14日
(明治42)
(江濃地震、姉川地震とも呼ばれる) 6.8 県西部を中心に被害。死者6人、負傷者141人、住家全壊6棟。
1944年12月7日
(昭和19)
(東南海地震) 7.9 西南濃地方を中心に被害。死者・行方不明者16人、負傷者38人、住家全壊406棟。
1946年12月21日
(昭和21)
(南海地震) 8.0 西南濃地方で被害。死者32人、負傷者46人、住家全壊340棟。
1961年8月19日
(昭和36)
(北美濃地震) 7.0 石徹白、白鳥、御母衣などで被害。死者3人、負傷者15人。
2004年9月5日
(平成16)
紀伊半島南東沖
→【地震本部の評価】
7.4 負傷者2人。


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