海溝型地震
地震の発生するメカニズムはいろいろなものがあります。陸のプレートと海洋のプレートの運動に起因する地震、内陸の活断層が活動して発生する地震、火山体周辺でマグマの動きや熱水活動等が原因として発生する地震等があります。これらのうち、海のプレートと陸のプレートの境界に位置する海溝沿いで発生する地震を、海溝型地震と呼びます。海溝型地震には、海のプレートと陸のプレートとの間のずれによって生じる地震(プレート間地震)と、海のプレート内部の破壊によって発生する地震(スラブ内地震)があります。
海溝型地震の震央は海の中である場合が多く、地震発生に伴う巨大津波にも警戒する必要があります。
プレート間地震
海のプレートは、中央海嶺と呼ばれる大規模な海底山脈で作られ、中央海嶺から離れるように移動していきます。やがて(何百万年~何億年後)陸のプレートと衝突し、密度の高い海のプレートは、陸のプレートの下に沈み込んでいきます。沈み込んでいく際に、海のプレートと陸のプレートの間の摩擦により、陸のプレートは引きずりこまれていきますが、それにより変形させられますので、ひずみがたまっていきます。やがて、そのひずみに耐えられなくなり、陸のプレートは元の状態に戻ろうとし、大きく跳ね上がります。この現象が短時間で発生した場合には短周期の地震動を発生する地震に、時間をかけて動いた場合には、「ゆっくりすべり(スロースリップ)」となります。
2011年に発生した東北地方太平洋沖地震のほか、1923年の関東地震、1960年のチリ地震、2004年のスマトラ沖地震などの巨大地震もプレート間地震でした。
スラブ内地震
プレートの沈み込みが起こっている場所では、プレート間地震以外のタイプの地震も発生しています。沈み込みが起こる直前では、海のプレートは下方向に曲げられますから、引っ張る力が働き、正断層タイプの地震が発生します(アウターライズ地震)。また、沈み込んだ海のプレートは、プレート境界の動きにより、張力や圧縮力が加わる場合があり、その内部で地震が発生することもあります。
アウターライズ地震としては1933年の昭和三陸地震などが、沈み込んだ海のプレート内の地震としては1993年の釧路沖地震などが知られています。