地震調査研究の成果を着実に国民や地方公共団体等の防災・減災対策等につなげていくためには、国民や地方公共団体等の防災減災対策等のニーズを正確に把握した上で地震調査研究を推進すること、また、地震調査研究の目標や成果をわかりやすく国民に示し、地震に関する正しい理解を得られるようにすることが必要です。
地震調査研究推進本部政策委員会総合部会は、これらの方策を検討するとともに、その結果を踏まえ、関係行政機関の地震に関する調査研究予算等の事務の調整を行うため、政策委員会の下に設置されていた「予算小委員会」と「成果を社会に活かす部会」を合わせた形で、平成21年2月に設置されました。
総合部会は地震学の専門家のほか、社会科学の専門家等、地方公共団体、防災関係の省庁等の関係者から構成され、設置以来、29回開催されています(平成24年5月現在)。
総合部会では、具体的には主に以下の事項について審議しています。
以下では、最近の総合部会の審議内容についてご紹介します。
総合部会では、昨年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震を受けて、平成21年度に定められた「新たな地震調査研究の推進について」の見直しに関する審議を行っています。
「新たな地震調査研究の推進について」は、当面10年間に取り組むべき地震調査研究に関する基本目標を示すとともに、その達成に向けた具体的手法、さらに研究推進のために横断的に取り組むべき重要事項等をまとめた計画であると同時に、地震本部の任務である総合的な調査観測計画の策定、地震調査研究関係予算の事務の調整、地震調査研究結果の広報等の指針となっている計画です。
本計画を見直す審議では、地震調査研究を行っている関係機関の取組状況(例えば、図1)について聴取を行うとともに、地震調査研究を防災対策に活かすために使っている、
地方公共団体や民間企業等からも意見の聴取を行い、国民等へのアンケート調査等も踏まえ議論を行っていきます。
総合部会では、地方公共団体や工学の専門家等にヒアリング調査を行うとともに、国民向けのアンケート調査等を行い、地震調査研究に対する社会のニーズおよび改善すべき点の把握等に努めています。
近年では、平成21年度に地方公共団体および工学の専門家等へのヒアリング調査、平成22年度に国民向けアンケート調査、平成23年度は国民向け・地方公共団体・業界団体に対するアンケート調査を実施し、広く、社会のニーズ等の調査を行いました。
例えば、平成23年度に実施した国民向けアンケート調査結果では、今後、政府(国)が積極的に取り組むべき地震調査研究として、
1.緊急地震速報を迅速かつ正確に提供するための技術開発を行う:55%(51%)
2.国民に地震に関連する情報をわかりやすく提供する:52%(65%)
3.活断層についてもっと詳しく調べる:50%(26%)
4.津波の襲来について迅速・正確に予測できる技術開発を行う:49%(36%)
5.津波の全国ハザードマップを作成する:41%(17%)
があげられています(各項目末尾の( )内の%は、平成22年度調査結果。図2参照)。
総合部会では、これらの結果を踏まえ、社会のニーズに合った地震調査研究の推進を行っていきます。
総合部会では、関係行政機関の地震調査研究予算に関する事務の調整を行っています。地震調査研究を行っている関係行政機関の施策についてヒアリングを行い、関係行政機関が連携して業務を行うことを促進するとともに、施策の重複を排除し、国全体として、最適かつ効率的な地震調査研究が行われるよう、調整を行っています。
調整結果は、総合部会の上の委員会である政策委員会、地震調査研究推進本部本部会議にも報告・審議され、公表されています。
平成24年度概算要求に関する審議結果については以下のウェブサイトに公表していますので、ご覧ください。
https://www.jishin.go.jp/main/yosan/h24/gaiyo_h24.pdf
(広報誌「地震本部ニュース」平成24年(2012年)5月号)