平成23年(2011年)3月11日14時46分、三陸沖(牡鹿半島の東南東約130km付近)の北緯38度06.21分、東経142度51.66分、深さ24kmを震源とするモーメントマグニチュード(Mw)9.0の地震、「平成23年(2011 年)東北地方太平洋沖地震」(以下、東北地方太平洋沖地震)が発生しました。その後、2年が経過しましたが、未だに東北地方太平洋沖地震による余震が続いています。余震活動は徐々に低下してきていますが、本震発生前と比較すると、依然として活発な状態であると言えます。
地震調査研究推進本部地震調査委員会は、3月11日に開催された第248回定例会において、「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」以降の地震活動の評価をまとめ、報告しました。
東北地方太平洋沖地震の余震は、岩手県沖から千葉県東方沖にかけての領域に及ぶ広い範囲で発生し、東北地方太平洋沖地震の発生以降、これまでにマグニチュード(M)6.0 以上の地震は108回発生しました。M7.0以上の地震は7回発生し、このうち3回は本震発生直後に発生しました。これまでの最大余震は、本震から約30分後に茨城県沖で発生したM7.6の地震です。
2012年3月から約1年間に、東北地方太平洋沖地震の余震域で発生したM4.0以上の地震は、東北地方太平洋沖地震の発生後の約1年間と比べて5分の1以下となるなど、余震活動は徐々に低下してきています。しかしながら、東北地方太平洋沖地震の発生前の平均的な地震活動状況と比べると、余震域におけるM4.0以上の地震の発生数は5倍以上であり、依然として余震活動は活発な状態にあります(図1)。
東北地方太平洋沖地震の発生以降、秋田県内陸南部、秋田県沖、福島県会津から山形県置賜地方の県境付近、群馬県・栃木県県境付近、長野県・新潟県県境付近、茨城県南部、静岡県東部など、東北地方から関東・中部地方にかけての、東北地方太平洋沖地震の余震域以外の地域においても、地震活動が活発になりました(図2)。
GNSS連続観測結果によると、東北地方太平洋沖地震直後からの約1か月間における地殻変動量は、最大で水平方向に30cm、上下方向に6cmの沈降と5cmの隆起がありました。変動は徐々に小さくなり、最近1か月間では水平方向に最大1cmを超える程度、上下方向には1cm未満になっていますが、引き続き東北地方から関東・中部地方の広い範囲で、余効変動と考えられる地殻変動が観測されています。図3に、水平方向の地殻変動を示しました。
2004年12月に発生したスマトラ島北部西方沖の地震(モーメントマグニチュード(Mw)9.1)では、4か月後の2005年3月にMw8.6、約2年半後の2007年9月にMw8.5、約5年半後の2010年6月にMw7.5の地震が発生したほか、7年以上が経過した2012年4月にアウターライズの領域でMw8.6の地震が発生するなど、震源域およびその周辺で、長期にわたって大きな地震が発生しています。
東北地方太平洋沖地震においても、約1年9か月が経過した2012年12月に、三陸沖の日本海溝付近でM7.3の余震が発生しました。海外で発生した事例のように、東北地方太平洋沖地震においても、今後も余震域やその周辺で規模の大きな地震が発生する恐れがあり、強い揺れや高い津波に見舞われる可能性があるので、引き続き注意が必要です。
※詳しい内容については下記をご覧ください。
「地震活動の評価」
(広報誌「地震本部ニュース」平成25年(2013年)3月号)