地震調査研究推進本部地震調査委員会は、「森本・富樫断層帯の長期評価(一部改訂)」をとりまとめ、平成25年11月22日に公表しました。ここではその概要を紹介します。
森本・富樫断層帯の評価は平成13年12月12日に公表されていますが、その後、最近の調査結果により、断層の形状や活動履歴などに関する新たな知見が得られたことから、これを基に評価の見直しを行い、一部改訂版としてとりまとめました。
森本・富樫断層帯は、石川県河北郡津幡(つばた)町から金沢市を経て白山市明島(あからじま)町付近(旧 石川郡鶴来(つるぎ)町)に至る断層帯です。長さは約26kmで、断層帯の東側が西側に乗り上げる逆断層です。
森本・富樫断層帯の過去の活動は次のようであった可能性があります。 ●最新の活動 不明 ●平均活動間隔 1千7百−2千2百年程度 ●1回のずれの量 3m程度(全体)、2m程度(上下成分)
森本・富樫断層帯と邑知潟断層帯及び
砺波平野断層帯西部との位置関係概略図
森本・富樫断層帯では、全体が一つの区間として活動すると推定され、マグニチュード7.2程度の地震が発生する可能性があります。その時、断層の近傍の地表面では3m程度のずれが生じ、断層の東側が西側に対して2m程度隆起する可能性があります。
過去の活動が十分に明らかではないため信頼度は低いものの、森本・富樫断層帯の最新活動後の経過率及び将来このような地震が発生する長期確率は表に示すとおりです。本評価で得られた地震発生の長期確率の最大値を取ると、本断層帯で今後30年の間に地震が発生する可能性が、我が国の主な活断層の中では「高いグループ」に属することになります。
森本・富樫断層帯の長期評価結果等については、以下をご覧ください。
長期評価結果
改訂のポイント(事務局作成資料)
森本・富樫断層帯が活動した場合、断層帯周辺では震度6強や震度6弱の大変強い揺れに見舞われる可能性があります。この震度分布図は、地震の長期評価への理解を深めるとともに、地震に対するイメージを持って頂くため、簡便な手法により予測を行ったものです。なお、個別地域の被害想定や防災対策の検討を行う場合は、より詳細な地震動評価を別途行う必要があります。
「簡便法による予測震度分布」
(解説)
上図は長期評価で想定された地震が発生した場合に予測される震度分布の概要を示しています。金沢平野や砺波平野などの広い範囲で震度6弱(橙色)の強い揺れが予想され、特に石川県金沢市や河北郡津幡町、かほく市の一部では、震度6強(赤色)の大変強い揺れが予測されます。震度5強(黄色)や5弱(黄緑色)の揺れは、石川県中部から富山県西部にかけての広い範囲に及ぶと予測されています。
揺れの大きさは、地震の規模、断層からの距離に加え、地盤の軟らかさやその厚さなどによって大きく変わります。
下図は浅い地盤での揺れの増幅率で、暖色ほど揺れやすくなることを示しています。平野や盆地は地盤が軟らかく揺れやすいため、断層帯から離れていても揺れが大きくなりますので、注意が必要です。
なお、実際の揺れは、予測されたものよりも1~2ランク程度大きくなる場合があります。特に活断層の近傍などの震度6弱の場所においても、震度6強以上の揺れになることがあります。
「地盤の揺れやすさ分布」
森本・富樫断層帯で発生する地震の予測震度分布図については、以下をご覧下さい。
予測震度分布図
(広報誌「地震本部ニュース」平成25年(2013年)11月号)