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  3. 山崎断層帯の長期評価の一部改訂について

(広報誌「地震本部ニュース」平成25年(2013年)9月号)

 地震調査研究推進本部地震調査委員会は、「山崎(やまさき)断層帯の長期評価(一部改訂)」をとりまとめ、平成25年7月19日に公表しました。ここではその概要を紹介します。
 山崎断層帯の評価は平成15年12月10日に公表されていますが、その後、最近の調査結果により、活動履歴などに関する新たな知見が得られたことから、これを基に評価の見直しを行い、一部改訂版としてとりまとめました。

 山崎断層帯は、岡山県東部から兵庫県南部にかけて分布する活断層帯です。その分布形態から、那岐山(なぎせん)断層帯、山崎断層帯主部、草谷(くさだに)断層に区分されます。
 那岐山断層帯は、岡山県苫田(とまた)郡鏡野町から岡山県勝田郡奈義(なぎ)町に至る断層帯です。長さは約32kmで、ほぼ東西方向に延びており、断層帯の北側が南側に対して相対的に隆起する断層帯です。
 山崎断層帯主部は、岡山県美作市(旧 勝田郡勝田町)から兵庫県三木市に至る断層帯で、ほぼ西北西−東南東方向に一連の断層が連なるように分布しています。全体の長さは約79kmで、左横ずれが卓越する断層帯です。この山崎断層帯主部は、兵庫県姫路市より北西側と兵庫県神崎郡福崎町より南東側とではそれぞれ最新活動時期が異なることから、北西部と南東部に区分されています。北西部は長さ約51km、南東部は長さ約31kmです。
 草谷断層は、兵庫県三木市から兵庫県加古川市にかけて分布する断層です。長さは約13kmで、東北東−西南西方向に延びる右横ずれが卓越する断層です。

山崎断層帯の過去の活動は次のようであった可能性があります。

(1)那岐山断層帯
 ●過去の活動
  不明
 ●平均活動間隔
  2万4千−5万3千年程度
 ●1回のずれの量
  2−3m程度

(2)山崎断層帯主部
 北西部
 ●最新の活動
  868年(貞観10年)播磨国地震
 ●平均活動間隔
  約1千8百−2千3百年
 ●1回のずれの量
  約2−5m程度(左横ずれ成分)

 南東部
 ●最新の活動
  4世紀以後、6世紀以前
 ●平均活動間隔
  3千9百年程度
 ●1回のずれの量
  3m程度(左横ずれ成分)

(3)草谷断層
 ●最新の活動
  4世紀以後、12世紀以前
 ●平均活動間隔
  6千5百年程度
 ●1回のずれの量
  1m程度

(1)那岐山断層帯

 那岐山断層帯では、全体が一つの活動区間として活動した場合、マグニチュード7.3程度の地震が発生する可能性があります。また、その時、断層の近傍の地表面では、西側が東側に対して相対的に2−3m程度高まる段差や撓みが生じる可能性があります。本断層帯では過去の活動が十分に明らかではなく、最新活動時期が特定できていないため、通常の活断層評価とは異なる手法により地震発生の長期確率を求めています。そのため信頼度は低いですが、将来このような地震が発生する長期確率は表に示すとおりです。

(2)山崎断層帯主部

 山崎断層帯主部の北西部では、マグニチュード7.7程度の地震が発生する可能性があり、その時、断層の近傍の地表面では、2−5m程度の左横ずれが生じる可能性があります。また、南東部では、マグニチュード7.3程度の地震が発生する可能性があり、そのときの左横ずれ量は3m程度となる可能性があります。
 なお、山崎断層帯主部全体が連動して活動することも考えられ、その場合、マグニチュード8.0程度の地震が発生する可能性があります。
 山崎断層帯主部の北西部及び南東部の最新活動後の経過率及び将来このような地震が発生する長期確率は表に示すとおりです。本評価で得られた地震発生の長期確率の最大値を取ると、北西部は今後30年の間に地震が発生する可能性が、我が国の主な活断層の中では「やや高いグループ」に属することになります。

(3)草谷断層

 草谷断層では、マグニチュード6.7程度の地震が発生する可能性があり、そのときの右横ずれの量は1m程度となる可能性があります。草谷断層の最新活動後の経過率及び将来このような地震が発生する長期確率は表に示すとおりです。

 山崎断層帯の長期評価結果等については、以下をご覧ください。
 長期評価結果
 改訂のポイント(事務局作成資料)

 山崎断層帯が活動した場合、断層帯周辺では震度6強や震度6弱の大変強い揺れに見舞われる可能性があります。この震度分布図は、地震の長期評価への理解を深めるとともに、地震に対するイメージを持って頂くために予測を行ったものです。なお、個別地域の被害想定や防災対策の検討を行う場合は、より詳細な地震動評価を別途行う必要があります。


「大原断層・土万断層・暮坂峠断層」


「大原断層・土万断層・安富断層」

(解説)
 図は長期評価で想定された地震が発生した場合に予測される震度分布の概要を示しています。ここでは、一例として山崎断層帯主部の北西部が活動した場合を示します。山崎断層帯北西部は南東側で暮坂峠断層と安富断層に分岐していますので、それぞれの場合を計算しました。
 いずれの場合にも、断層帯に沿う地域では震度6弱(橙色)や震度6強(赤色)の強い揺れが予測されますが、揺れが強い地域は断層帯近傍に限られているわけではなく、断層帯からやや離れた地域でも、姫路市周辺の平野部などでは震度6強の大変強い揺れが予測されます。平野や盆地は地盤が弱く、揺れやすいため、断層帯から離れていても揺れが大きくなりますので、注意が必要です。震度5強(黄色)の揺れは、岡山県北東部から兵庫県南部にかけてのやや広い範囲、および周辺の平野や盆地の一部に及びます。さらに、岡山県北東部から鳥取県東部、兵庫県、大阪府にかけての広い範囲で、震度5弱(黄緑色)の揺れに見舞われると予測されます。
 なお、実際の揺れは、予測されたものよりも1~2ランク程度大きくなる場合があります。特に活断層の近傍などの震度6弱の場所においても、震度6強以上の揺れになることがあります。

 山崎断層帯で発生する地震の予測震度分布図については、以下をご覧下さい。
 予測震度分布図

(広報誌「地震本部ニュース」平成25年(2013年)9月号)

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