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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 海域における断層情報総合評価プロジェクト

(広報誌「地震本部ニュース」平成26年(2014年)春号)

はじめに

 陸域では活断層の長期評価が統一的かつ効率的に進められている一方で、海域については断層情報が不足しており、そこで発生する地震に伴う地震動や津波を含め、断層の評価が十分には進められていません。
 本プロジェクトは、海域における断層の評価に資するため、日本周辺海域における既存の反射法探査データや速度構造を収集し、最新のデータ処理技術を適用して断層の読み取り等を行うことにより、断層情報を統一的な基準で整備するものです。また、得られたデータ等については、地震調査委員会の下の各評価部会等に随時報告するとともに、評価に資する成果となるよう各評価部会等における議論を作業に反映していく予定です。
 本プロジェクトでは、(独)海洋研究開発機構(JAMSTEC)をとりまとめ機関とし、平成25年度~31年度の7年間かけて、以下のサブテーマ(1)~(3)を実施します。

(1)海域断層に関する既往調査結果の収集及び海域断層データベースの構築

 海域における断層の情報を得るのに最も重要なデータは構造探査データです。このサブテーマでは、各機関にて取得されてきたエアガンを震源とする反射法探査データと速度構造、海底地形情報を収集し、他のサブテーマで得られる解析結果等も含めて一元的に管理するデータベース(DB)を構築することを目的にしています。JAMSTEC、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、(独)産業技術総合研究所(AIST)、海上保安庁海洋情報部、大学等からご協力を頂き、過去に得られたデータを収集しています。データベースの構築にあたり、収集したデータについて、調査機関、調査時期、調査領域、プロジェクト名、測線名、調査仕様などメタデータの項目を整理しています。また、測線分布を空間的に把握し、記録の概要が視覚的に直ちに把握できるように、データを画像化し、デジタルデータと合わせて管理しています。今後、新規調査結果の登録のためにも、柔軟性、拡張性に配慮したシステムとしました。特に古いデータは、測地系を含めた位置データの確認が不可欠です。データの品質についても精緻な海底地形と比較して確認し、登録作業を進めています。今後、データベースの公開機能の検討を進めます。

図1 データベース三次元表示例。データはAISTによる。

(2)海域における既往探査データ等の解析及び統一的断層解釈

 反射法探査データから、海底下最大10~20km程度までの反射面の分布を把握して解釈を行うため、ノイズとなる多重反射波の除去などを行い、深部イメージングの品質を向上させます。また、収集したデータの整合性を確認し、統一的な解釈を加えて、得られるデータから可能な限り深部までの速度情報を取り込み、3次元の速度構造から断層深部をイメージングして断層の3次元的な広がりを評価します。
 これまでのところ、日本海のデータの再処理を進めています。上記の多重反射を除去し、水平方向の連続性を強調するフィルターの適用など、処理フローの統一化も進めています。古いデータについては、デジタルデータが存在せず、紙記録のみの測線もありますが、可能な限りデジタル化を行いデータ処理を進めています。平成26年度から本格的な断層の解釈作業に入ります。
 最終的な成果は断層の走向だけでなく傾斜を見積もることも視野に入れています。そのためには三次元速度構造を構築する必要があります。海底地震計による観測により得られた速度構造をもとに、反射法探査データを用いて構造の信頼性を確保していきます。

図2 解釈断面の例
地殻全体を切る断層(1983年日本海中部地震)と地殻上部を切る断層

(3)海域における断層モデルの構築

 上記2つのテーマの検討を踏まえ、断層モデルの構築等、地震動や津波の評価に資するための基礎資料を提供する予定です。また、M7程度以上の地震の震源断層と推定されるもので、かつ、地震動や津波の記録が存在する地震の震源断層と考えられるものについては、地震動や津波のシミュレーションを行うことにより、構築した断層モデルの妥当性を検証します。平成26年度から本格的な断層の解釈が開始されるところなので、平成25年度現在は、断層モデルの評価手法の検討やモデル構築の考え方の整理を行っています。

(広報誌「地震本部ニュース」平成26年(2014年)春号)

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