1. はじめに
地震調査研究推進本部は、平成7年の阪神・淡路大震
災の教訓を踏まえ、全国にわたる総合的な地震防災対策
を推進するため、政府に設置されました。本年で20周
年の節目を迎えることから、地震本部が今後どのような
活動に力を尽くすべきかを考える契機とするため、6月
23日に東京大学伊藤謝恩ホールにてシンポジウムを開催
しました。当日は約430人の方々に御参加いただき、会
場は熱気に包まれました。
冒頭、山中伸一地震本部長代理・文部科学事務次官、
中島正愛政策委員会委員長より開会挨拶を行い、その後、
田中正朗研究開発局長より各省庁の施策紹介を行いまし
た。
2. 第1部 高嶋哲夫氏(作家)による基調講演
第1部では、高嶋哲夫氏による基調講演が行われまし た。高嶋氏は、阪神・淡路大震災に遭遇し、その被災体 験を踏まえ、地震や防災に関する様々な書籍を執筆され ております。本講演におかれては、災害とはどういうも のか、組織としての防災対策のあり方、人と機関、地域 の連携の必要性等について提起していただきました。被 災現場の情景が目の前に浮かび上がるような臨場感のあ るお話をいただき、来場者からは、「改めて東日本大震災 を振り返ることができた」、「防災への意識をもっと高め なければならないと思った」といった声を多数いただき ました。
3. 第2部 講演及びパネルディスカッション
第2部では、専門家による講演及びパネルディスカッ
ションを行いました。
講演では、平田直東京大学地震研究所教授、今村文彦
東北大学災害科学国際研究所教授、渡邉正樹東京芸術大
学教授より、「阪神・淡路大震災以後の地震発生長期評価
と揺れの予測」、「東日本大震災を踏まえた津波の即時予
測・評価への取組」、「学校における地震・津波に関する
防災教育」について、それぞれお話しいただきました。
パネルディスカッションでは、時事通信社解説委員の
中川和之氏をコーディネーターとし、地震本部側(中島
委員長、本藏義守調査委員会委員長、長谷川昭総合部会
部会長)と地震研究の成果を利用するユーザー側(佐藤
浩樹宮城県教育庁スポーツ健康課課長補佐、齊藤隆弘東京ガス株式会社執行役員防災・供給部長、杉渕武藤沢市
総務部防災危機管理室防災専任研究員)で、地震本部の
成果の普及に係る課題等について議論しました。
4. 展示スペース
講演会場に隣接したスペースにおいて、関係機関によ る展示スペースを設けました。地震調査研究を行ってい る国の機関や宮城県、神奈川県藤沢市など地方自治体の 取組についてのパネル、情報通信研究機構のPi-SAR実機・ 模型、東京大学地震研究所の海底地震計等の展示を行い、 多くの皆様に御来場いただきました。
5. おわりに
本藏委員長より閉会挨拶を行い、盛況のうちに終了し
ました。当日の詳しい様子については、地震本部のホー
ムページにて掲載されておりますので、ぜひ御覧くださ
い。
https://www.jishin.go.jp/20years/
地震本部は、シンポジウムにおいて講演者やパネリスト
の先生方、御参加いただいた皆様からいただいた御意見
や御提案を踏まえ、地震調査研究の一層の推進及び研究
成果の社会への普及に努めてまいります。
(広報誌「地震本部ニュース」平成27年(2015年)夏号)