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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 2014年の主な地震活動の評価

(広報誌「地震本部ニュース」平成26年(2014年)冬号)

地震調査委員会 2014年の主な地震活動の評価

2014年の主な地震活動として地震調査研究推進本部地震調査委員会において評価したものは次の通りです。

1.伊予灘の地震活動
 【マグニチュード(M)6.2、最大震度5強】

  • 3月14日に伊予灘の深さ約80kmでM6.2の地震が発生した。この地震の発震機構は東北東−西南西方向に張力軸を持つ型で、沈み込むフィリピン海プレート内部で発生した地震である。
    <平成26年4月9日地震調査委員会定例会>

2.チリ北部沿岸の地震活動
 【モーメントマグニチュード(Mw)8.1、津波を観測】

  • 4月2日8時46分(日本時間)に、チリ北部沿岸でMw8.1の地震が発生した。この地震により、久慈港(岩手県)で55cmの津波を観測するなど、北海道から九州地方にかけての太平洋沿岸、沖縄県および伊豆・小笠原諸島で津波を観測した。
     この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、ナスカプレートと南米プレートの境界で発生した地震である。
     この地震の震源付近では、3月17日にMw6.7の地震が発生するなど、本震に先行した地震活動がみられた。本震発生後も、4月3日にMw7.7の地震が発生するなど余震活動は活発であったが、その後活動は減衰している。
    <平成26年5月13日地震調査委員会定例会>

3.伊豆大島近海の地震活動
 【M6.0、最大震度5弱】

  • 5月5日に伊豆大島近海の深さ約160km でM6.0の地震が発生した。この地震の発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に張力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。
    <平成26年6月10日地震調査委員会定例会>

4.アリューシャン列島ラット諸島の地震活動
 【Mw 7.9、津波を観測】

  • 6月24日にアリューシャン列島ラット諸島でMw7.9の地震が発生した。この地震の発震機構は北北東−南南西方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。この地震により、北海道と青森県の太平洋沿岸で津波と考えられる弱い海面変動を観測した。
    <平成26 年7月9日地震調査委員会定例会>

5.岩手県沖の地震活動
 【M5.9、最大震度5弱】

  • 7月5日に岩手県沖の深さ約50kmでM5.9の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
    <平成26 年8月11 日地震調査委員会定例会>


図1

図1 2014年に日本国内及びその周辺で発生したM3.0以上の地震の震央分布

点線は「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」の余震域を表す。地形データは米国国立地球物理データセンターのETOPO1を使用している。


6.胆振地方中東部の地震活動
 【M5.6、最大震度5弱】

  • 7月8日に胆振地方中東部〔石狩地方南部〕の深さ約5km でM5.6の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、地殻内で発生した地震である。GNSS観測の結果によると、この地震に伴い、「M樽前山A」観測点で小さな地殻変動が観測された。
    <平成26年8月11日地震調査委員会定例会>

7.福島県沖の地震活動
 【M7.0、最大震度4、津波を観測】

  • 7月12日に福島県沖でM7.0の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に張力軸を持つ正断層型であった。この地震により、石巻市鮎川(宮城県)で17cm など、岩手県から福島県にかけての沿岸で津波を観測した。
    <平成26年8月11日地震調査委員会定例会>

8.青森県東方沖の地震活動
 【M6.1、最大震度5弱】

  • 8月10日に青森県東方沖の深さ約50kmでM6.1の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
    <平成26年9月9日地震調査委員会定例会>

9.栃木県北部の地震活動
 【M5.1、最大震度5弱】

  • 9月3日に栃木県北部の深さ約5km でM5.1の地震が発生した。この地震の震源付近では、4日にもM4.5の地震が発生した。これらの地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、地殻内で発生した地震である。
    <平成26年10月9日地震調査委員会定例会>

10.茨城県南部の地震活動
 【M5.6、最大震度5弱】

  • 9月16日に茨城県南部の深さ約45kmでM5.6の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
    <平成26年10月9日地震調査委員会定例会>

11.長野県北部の地震活動
 【M 6.7、最大震度6弱】

  • 11月22日22時08分に長野県北部の深さ約5kmでマグニチュード(M)6.7の地震が発生した。この地震により長野県で最大震度6弱を観測し、被害を伴った。その後、地震活動は本震−余震型で推移し、余震活動は減衰してきている。12月9日16時までの最大の余震は11月22日22時37分に発生したM4.5の地震で、最大震度5弱を観測した。余震は、姫川沿いに小谷村から白馬村の南北約20kmにかけて分布している。なお、18日から19日にかけて、ややまとまった地震活動(前震)が震源近傍でみられた。
  • この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ型で、地殻内の浅い地震である。今回の地震の余震分布と本震の発震機構から推定される震源断層は南北方向に延びる東傾斜の逆断層であった。
  • GNSS観測の結果によると、本震の発生に伴って、白馬観測点(長野県)で南東方向に約29cm移動、上下方向に約13cm沈降するなどの地殻変動が観測された。また、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」が観測した合成開口レーダー画像の解析結果によると、白馬村を中心とする東西約30km、南北約30kmの地域に地殻変動の面的な広がりがみられ、特に本震の震央西方の神城(かみしろ)断層沿いに大きな変動がみられる。
     これらの地殻変動から、すべりを生じた震源断層の長さは約20kmであると推定される。
  • 現時点での現地調査では、地表地震断層が白馬村北城から白馬村神城に至る約9kmの区間で確認された。本震の震央西方の白馬村北城塩島付近では、最大約90cmの上下変位を伴う東側隆起の地表変状が確認された。
  • この震源域付近には糸魚川−静岡構造線活断層系の一部である神城断層が存在している。今回の地震は神城断層の一部とその北方延長が活動したと考えられる。
    <平成26年12月9日地震調査委員会定例会>

注:〔  〕内は気象庁が情報発表で用いた震央地域名である。 GNSSとは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般をしめす呼称である。


図2

図2 2014年に世界で発生したM7.0以上または人的被害を伴った地震の震央分布

震源要素は、1月1日~8月6日は米国地質調査所(USGS)発表のPRELIMINARY DETERMINATION OF EPICENTERS(PDE)、8月7日~12月31日は同所ホームページの"Earthquake Archive Search & URL Builder" (http://earthquake.usgs.gov/earthquakes/search/)による(2015年1月5日現在)。ただし、日本付近で発生した地震の震源要素、及び一部の規模の大きな地震のMwについては気象庁による。

(広報誌「地震本部ニュース」平成26年(2014年)冬号)

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