パソコン版のウェブサイトを表示中です。

スマートフォン版を表示する

  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. GPSによる地殻変動観測とその応用(太田雄策)

(広報誌「地震本部ニュース」平成25年(2013年)2月号)

 GPS (Global Positioning System, 全地球測位システム) に代表される測位衛星技術による地殻変動観測は、1990年代に入って急速に進歩した観測手法である。日本では、国土地理院によるGPS観測網が1995年以降大幅に増強され、現在ではGEONETとして1,200点を超える観測点 (電子基準点) で観測が行われている。GEONETの設置によって、プレート沈み込みに伴う地殻短縮の様子や、プレート境界および内陸で発生する巨大地震の地震時すべり分布の推定、プレート境界におけるゆっくりすべりの詳細な時空間発展の把握、内陸におけるひずみ集中帯の発見など多くの知見が得られ、地震発生場の理解に大きな貢献を果たしている。近年では従来の日毎の座標値にもとづく解析だけではなく、より細かい時間間隔(例えば1秒毎)に座標値を得るキネマティック解析、実時間で座標値を得るリアルタイム解析技術の高度化などが進みつつある。GPSは地震計よりは感度こそ劣るものの、変位そのものを計測するために地震計では捉えることが難しいゆっくりした変位や大振幅の変位を捉えることが可能であり、地震計を補完するセンサーとしての役割も期待されている。最近では、通常の地震計ではその規模を即時に推定することが難しいプレート境界型の超巨大地震の地震規模を、GPSデータのリアルタイム解析によって即時推定する手法や、キネマティックGPSと音響測距の組み合わせで実現されている海底地殻変動観測を準実時間で行う手法の開発等が行われており、地殻変動の分野におけるGPSの可能性は広がりつつある。  現在、アメリカによって運用されているGPSだけではなく、ロシアによるGLONASS、欧州連合(EU)によるGalileo、中国によるBeiDou (COMPASS)、日本の準天頂衛星等、様々な測位衛星が運用を開始、もしくは開発が進められている。今後、このような複数の測位衛星を組み合わせたGNSS (Global Navigation Satellite System)解析が地殻変動解析の分野でも行われることが考えられる。特に1日以下の地殻変動をより高精度に捉えるためには、使用可能な衛星数が増えるGNSS解析は有効な手段となる可能性がある。今後、GPSを含めた測位衛星技術はより高精度に、かつ実時間で地殻変動を捉えるセンサーとして利用が進むことが期待される。

(広報誌「地震本部ニュース」平成25年(2013年)2月号)

このページの上部へ戻る

スマートフォン版を表示中です。

PC版のウェブサイトを表示する

パソコン版のウェブサイトを表示中です。

スマートフォン版を表示する