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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 調査観測計画部会の紹介

(広報誌「地震本部ニュース」平成24年(2012年)2月号)

 地震に関する調査観測を効果的に行うためには、省庁横断的に調査観測計画を進める必要があります。地震調査研究推進本部政策委員会の下に設置された調査観測計画部会では、地震活動および地殻変動等の観測施設の整備、活断層等の調査等を含む調査観測計画について審議を行っています。調査観測計画部会は、地震学の専門家のほか、地震調査関係の省庁の職員等から構成され、平成7年8月に設置されて以来、56回開催されています(平成24年2月現在)。
 調査観測計画部会では、具体的には主に以下の事項について審議しています。


 以下では、最近の調査観測計画部会の審議内容についてご紹介します。

(1)地震活動および地殻変動等の観測施設の整備に関すること
 調査観測計画部会では、関係各機関が連携し、効率的に調査観測を行うことができるよう、省庁横断的な調査観測計画について審議を行っています。
 平成23年度は、海溝型地震の調査観測や、各機関が平成23年度3次補正で行う調査観測事業等について、審議しました。以下にその例を示します。

1)東北地方太平洋沖で発生する地震・津波の調査観測についての審議
 文部科学省では、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の発生を受け、平成23年度(3次補正予算)より、この海域における地震活動のメカニズム解明や、過去の地震の発生履歴の把握を行うため、海域の自然地震観測や地殻変動観測、津波の痕跡等の調査・観測などを行います。調査観測計画部会では、その具体的な計画や、実施内容について審議しました。(業務の詳しい内容については本誌の8〜9ページを参照ください)。

2)日本海溝海底地震津波観測網の整備についての審議
 独立行政法人防災科学技術研究所は、国の補助金を受けて、東北地方太平洋沖の日本海溝沿いにケーブル式の海底地震計・水圧計を整備する「日本海溝海底地震津波観測網整備事業」を行うこととしています。調査観測部会では、詳細な設置ルートや地震計・水圧計のスペック等について審議しました(業務の詳しい内容については本誌の6〜7ページを参照ください)。

3)海底地殻変動観測関係についての審議
 海上保安庁は平成23年度(3次補正予算)から南海トラフに、海底地殻変動観測を行うための海底基準局(海底の動きを計測するための標準点)を増設することとしており(図1)、観測計画部会では、海底基準局の配置等について審議しました。海域の地殻変動(地面の動き)をモニタリングする海底地殻変動観測は、プレート間に蓄積する応力を見積もることができ、将来の地震像を把握する上で大変有力なツールであると期待されています。


(2)活断層等の調査に関すること
 調査観測計画部会では、今後推進すべき活断層調査に関する方針についての審議を行っています。平成23年度は、活断層調査に関する基本方針や実施方法等について定めた「新たな活断層調査について」の見直しと平成24年度に行う重点的調査観測の対象となる活断層について審議しました。

1)活断層調査に関する方針の策定
 平成21年4月に取りまとめられた、「新たな活断層調査について」に関して、活断層の長期評価手法の進展や、既存の調査結果に基づく沿岸海域における活断層の調査対象候補追加の必要性が生じたことを受け、内容について審議し、一部改訂を行っています。以下のURLに改訂版を掲載しています。
(https://www.jishin.go.jp/main/suihon/honbu12a/katsuchousa120207.pdf)

2)重点的調査観測対象の活断層の決定
 地震調査研究推進本部では、活断層の位置・形状や活動時期・間隔等を正確に把握し、これを長期評価に役立てることを目的として、地震の発生確率が高い、または地震が発生した場合に社会的影響が大きい地域に存在する活断層帯を選定して重点的調査観測を実施しています。調査観測計画部会では、例年、次年度に実施する重点的調査観測対象の活断層について審議・決定を行っています。平成24年度に行う重点的調査観測の対象としては、調査観測計画部会における審議の結果、立川断層帯が選ばれました。
 立川断層帯は、埼玉県入間郡名栗村から東京都青梅市、立川市を経て府中市に至る断層帯(図2)で、罹災人口および地震後経過率が高く、地震が発生した場合の揺れの影響が大きく、地震発生の可能性も高いと推定されています。この断層帯で地震が発生した場合、社会経済活動に与える被害は大きい可能性が予想されます。しかし、立川断層帯は関係機関によりさまざまな調査が実施されていますが、未だに断層の特性が完全に把握されていません。調査観測計画部会では、これらを総合的に勘案して、重点的調査観測対象として立川断層帯を選定しました。
 調査観測計画部会は原則公開で行っています。資料等は以下のページにありますので、ご覧ください。
https://www.jishin.go.jp/main/seisaku/kansoku.htm

(広報誌「地震本部ニュース」平成24年(2012年)2月号)

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