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(広報誌「地震本部ニュース」令和6年(2024年)冬号)
津波評価部会は平成25年に設置された比較的新しい部会です。「長期評価」の結果を津波予測手法「津波レシピ」に適切に適用することにより、日本沿岸での津波評価を実施することを目標にしています。地震調査委員会ではそれまで、強震動予測は実施してきましたが、沿岸の津波評価は実施してきませんでした。津波評価部会において平成29年に初めて「津波レシピ」を公表し、さらに令和2年にはその手法を用いて南海トラフ沿いの大地震に対する津波評価を実施しています。前部会長の今村文彦先生が苦労してまとめられました。
しかし、現在の津波レシピはプレート境界型の大地震による津波を評価する手法に特化しています。そのため、その他の大地震(アウターライズ地震・津波地震等)による津波を評価するには手法の更なる拡張が求められます。例えば、日本海溝・千島海溝沿いでは、2011年東北地方太平洋沖巨大地震に代表されるプレート境界型巨大地震だけでなく、1933年昭和三陸巨大地震(アウターライズ型)や1896年明治三陸津波地震(津波地震)が発生し沿岸に甚大な津波災害をもたらしてきたという歴史があります。現在、本部会では、津波レシピを様々な海溝型地震に対応したものに拡張すべく鋭意奮闘中です。同時に、新しく拡張される津波レシピを適用することにより、日本海溝・千島海溝沿いで発生する様々な大地震に対応する確率論的津波の評価の検討を進めています。
津波評価の公表は現在、南海トラフ沿いの大地震にとどまっていますが、津波レシピの拡張版が公表されれば、海溝型地震による日本全国の沿岸での確率論的津波評価の公表に向けて議論を加速させていく予定です。
最後に、これまで津波評価部会委員の皆様の知恵と最新の学術的成果を取り入れながら、津波レシピの拡張と評価手法の標準化に取り組んできましたが、今後もまだまだ精度を高める必要があると実感しています。この分野の更なる研究進展に期待いたします。
地震本部では、地域講演会の様子などを、YouTubeチャンネルで公開しています。
今月号にレポートを掲載した神戸市の地域講演会や、ぼうさいこくたいのセッションの様子もご覧いただけます。ぜひご覧ください。
(広報誌「地震本部ニュース」令和6年(2024年)冬号)
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