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  3. 南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)の 沖合システムの整備が完了しました

(広報誌「地震本部ニュース」令和6年(2024年)夏号)

 南海トラフ周辺の海域では今後30年以内にM8~9クラスの地震が70%~80%の確率で発生すると想定されており、ひとたび発生すれば地震・津波により甚大な人的・経済的被害を引き起こす恐れがあります。このような海域で発生する地震に関して、陸上の観測点や検潮所等のデータのみで、地震の規模や津波の高さなどを迅速かつ高精度に把握することには限界があります。

 このような背景から、国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研)では、海域で発生する地震や津波を観測する海底観測網の整備を進めており、既に運用を行っている地震・津波観測監視システム(DONET)及び日本海溝海底地震津波観測網(S-net)に加えて、文部科学省地球観測システム研究開発費補助金を受けて、2019年から高知県沖~日向灘に南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)の構築を行っています。このN-netについて沖合システムの整備が完了し、本年7月より試験運用が開始されましたので、ご紹介いたします。

 N-netは沖合システムと沿岸システムから構成されており、地震計や津波を観測するための水圧計等が組み込まれた観測装置が、光海底ケーブルで数珠繋ぎになっています。一連の観測装置はケーブル敷設船に積み込まれ、船尾のシューターから直接海に投入され、敷設や埋設が行われます。水深1,000m以浅の海域においては、すき式埋設機を用いて、観測装置と海底ケーブルを敷設と同時に埋設します。

 観測装置を海底に設置することで、海域で発生した地震や津波をリアルタイムに直接検知し、早期に精度の高いデータを取得することが可能になります。具体的には、地震動を最大20秒程度、津波を最大20分程度早く直接検知することができるようになります。

 N-netの観測データは、地震や津波のメカニズムの解明、リアルタイム予測や長期評価の高度化等に活用されるほか、気象庁に提供され、緊急地震速報や津波情報等に活用されます。さらに、今後自治体や民間企業にも提供される予定であり各種防災対策等への活用が期待されます。

 本年8月8日に発生した日向灘の地震の際にも、試験運用中の沖合システムから得られた観測データの解析結果は防災科研のWebページで公表されたほか、8月9日に開催された地震調査委員会臨時会で防災科研の青井地震津波火山ネットワークセンター長より説明され、日向灘の地震の評価に活用されました。

 沖合システムは今秋を目途に防災科研が運用する陸海統合地震津波火山観測網(MOWLAS)に統合され、ホームページ上で観測データ等が公開される予定です。また、今後防災科研においては、沿岸システムの整備を行い、本年度末にはN-netの整備が完了する予定です。

(広報誌「地震本部ニュース」令和6年(2024年)夏号)

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