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  3. 海域活断層の長期評価を公表しました

(広報誌「地震本部ニュース」令和6年(2024年)夏号)

 地震調査研究推進本部の下に設置されている地震調査委員会では、防災対策の基礎となる情報を提供するため、活断層で発生する地震や海溝型地震を対象に、将来発生すると想定される地震の場所、規模、発生確率などについて評価を行い、「長期評価」として公表しています。

 令和6年8月2日に、海域を対象とした活断層の長期評価である「日本海側の海域活断層の長期評価―兵庫県北方沖~新潟県上越地方沖―(令和6年8月版)」を公表しました。海域を対象とした活断層の長期評価としては、令和4年3月に公表した「日本海南西部の海域活断層の長期評価(第一版)」に続き2地域目となります(図1)。なお、今回は速やかに防災対策にも利活用できるよう、海域活断層の位置・長さ・形状・そこで発生する地震の規模等の評価についての前倒しでの公表となり、確率の評価は行っていません。

 日本は世界的に見ても非常に地震の多い国であり、地震はどこでも発生するということを念頭に置きながら、今回の評価を自治体等の防災対策や、各家庭での防災意識の向上に役立てていただければ幸いです。

 地震調査研究推進本部(地震本部)では、社会的・経済的に大きな影響を与えると考えられる、主要な活断層で発生する地震や海溝型地震を対象に、地震発生可能性の長期評価を実施してきました。一方、海域にも活断層が存在していることが知られており、これらが活動した場合にも地震動や津波により被害を及ぼす可能性があります。

 そのため、海域活断層の長期評価では、陸域への地震動や津波による被害の可能性も踏まえ、マグニチュード(M)7.0以上の地震を引き起こす可能性のある断層長さ20km程度以上の海域活断層について海域ごとに評価を行っています。また、20kmより短い海域活断層については位置と長さのみ評価を行っています。今回、評価を行う海域として、これまで長期評価が未実施の海域であり、かつ文部科学省の委託研究事業などで最新の研究成果が得られている、兵庫県北方沖~新潟県上越地方沖を評価対象海域としました。

 海域においては一般に陸域の活断層と同等のデータを得ることが難しいため、本評価では、主に反射法地震探査データを用いて評価を実施しています。

 なお、海域活断層の長期評価では、通常、対象とする海域ごとに地震発生可能性の確率評価も行いますが、今回は2024年1月1日の能登半島地震(M7.6)の発生を受け、速やかに防災対策にも利活用できるよう、海域活断層の位置・長さ・形状・そこで発生する地震の規模等の評価について前倒しの公表となり、確率の評価は行っていません。確率については今後評価・公表していく予定です。

 兵庫県北方沖から新潟県上越地方沖にかけての日本海では、過去には1925年北丹後地震(M7.3程度)や2024年1月1日の能登半島地震(M7.6)が発生しています。

 当該海域で実施された反射法地震探査データなどを基に、断層の位置や形状等を推定した結果、長さ20km以上の海域活断層(帯)が計25活断層(帯)認定されました(図2)。最長の海域活断層は、能登半島北岸断層帯(94km程度)で、M7.8~8.1程度の地震が発生する可能性があります。

 より詳細な評価結果については、評価文(https://www.jishin.go.jp/main/chousa/24aug_sea_of_japan/sea_of_japan_honbun.pdf)を参照ください。

図2 評価対象の海域活断層の分布 赤線は評価対象とした海域活断層の位置、緑色は短い活断層の位置。海域内の最長の活断層(帯)は能登半島北岸断層帯。各断層の名称は評価文(https://www.jishin.go.jp/main/chousa/24aug_sea_of_japan/sea_of_japan_honbun.pdf)を参照。地形はGEBCO Compilation Group(2023)による。

 今回の海域での地震の発生確率の評価を進め、公表を行うとともに、新潟県上越地方沖より北方の日本海側の地域についても、海域活断層の評価を順次進め、公表を行ってまいります。

(広報誌「地震本部ニュース」令和6年(2024年)夏号)

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