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(広報誌「地震本部ニュース」令和6年(2024年)春号)
日本海溝や千島海溝沿いでは大規模な地震や津波の発生が予想されています。このような災害に一人一人が備えるために、地震調査研究推進本部(以下「地震本部」という。)、青森地方気象台、八戸市が連携して、「地震本部地域講演会 in 八戸市 地震・津波を知ろう!備えよう!」を、八戸市公民館ホールで令和6年2月4日(日)に開催しました。
本講演会では、最新の調査や研究による青森県で発生する地震・津波の特徴や、このような災害に対する政府や地域の取組などを知って、自分の住んでいる地域の特性をふまえた災害への備えを考えていただくことを目的とし、登壇者のみなさまにご講演いただきました。
講演会当日は、当日参加100名を含む、339名もの方々にご参加いただき、大変盛況な会となりました。
開会にあたっては、吉田和久文部科学省研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長、熊谷雄一八戸市長から冒頭ご挨拶をさせていただきました。
まずは、地震本部の事務局を務める、文部科学省研究開発局地震・防災研究課の重野管理官から、地震調査委員会における評価を中心に、地震本部の活動や成果の概要を紹介しました。八戸市付近のシナリオ地震動予測地図や、東北地方太平洋沖地震から10年以上経った後の地震活動の評価についても紹介し、地域にフォーカスした観点でも地震本部のプロダクトを紹介しました。
前田教授からは、青森県周辺の地震・津波の発生状況を踏まえつつ、そもそも、地震はなぜ起こるのか?について、地球全体のダイナミクスまで視野を広げたわかりやすい解説や、どうやって観測するのか?について、基盤的地震津波観測網や、S-net等の海底地震津波観測網も紹介いただきました。
さらに、実用化された新しい津波予測や、データ同化を用いた地震動の即時予測等、最新の研究やその背景も紹介いただきました。
最後に、ジョン・ミルンの言葉を引用しつつ、地震・津波を「知る」ことで、災害に「備える」ことができるという点について、改めて強調いただきました。
今村教授からは、令和6年能登半島地震や東日本大震災での被災状況等をレビューした上で、地震を起因とした広域・複合・連鎖災害としての地震・津波被害という観点を中心にお話しいただきました。
想定される地震による津波については、津波ハザードマップの見方を解説いただきつつ、津波避難のポイントとして、①早く・迅速に②解除まで戻らない③長時間の避難ができるような準備④場合によっては2次3次避難を検討する、といった点を紹介いただきました。また、北海道・三陸沖後発地震注意情報について、情報が発信されたら地震への備えの再確認と、その上で地震発生時にすぐ避難できる準備をすることを呼びかけ、日ごろからの備えが大切であることを強調いただきました。
島津台長からは、気象庁を中心とした政府からの地震・津波情報の発表の流れと、それぞれの情報について解説いただきました。その上で、家具を固定するなどして安全スペースを確保し、平常時から備えることの大切さ、緊急地震速報を見聞きしたらあわてずに身の安全を確保すること、津波警報・大津波警報が発表されたら、少しでも海から離れて高台に避難すると共に、海岸付近で揺れを感じたら、情報発表を待たずに高台に避難してほしいという点についてもお話しいただきました。
日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震に係る防災対策については、地震本部ニュース2022冬号でも紹介していますので、併せてご覧ください。
下村次長からは、東日本大震災以降の八戸市の防災対策についてご紹介いただきました。令和3年に青森県が新たに公表した津波浸水想定を基に、新たに作成した津波ハザードマップや津波避難計画について紹介いただき、改めてご来場いただいた住民の皆様に備えを呼びかけました。また、地域の小中学生へ配布している副読本や、小中学校及び自主防災組織等の防災教育に資する映像資料等についても紹介いただきました。
最後に、田邊会長より地域の取組について紹介いただきました。江陽自主防災会では、「わの命はわが守る」(自分の命は自分が守る)をキーワードとして、地域住民の災害に対する意識を高めるため地域ぐるみの防災避難訓練を実施していることを中心にお話しいただきました。特に、令和4年度に実施した防災避難訓練の実施について詳しく紹介いただき、ご参加いただいた皆様は地元の取組ということで最後まで真剣に耳を傾けていらっしゃいました。
また、訓練を実施する中で、高齢化に伴って参加者が年々減っていることや、避難計画の見直しによって水平避難の距離が伸びたことからも、垂直避難の検討が急務である、といった課題についても共有いただきました。
アンケートによると、8割以上の回答者様から
「たいへん満足・ほぼ満足」、防災意識については9割以上が「とても高まった・高まった」とご回答いただきました。
この講演会をきっかけに、青森県で発生する地震・津波の特徴や、災害に対する政府や地域の取組などを知り、地域の皆様と一緒に、自分の住んでいる地域の特性をふまえた災害への備えを自分事として考え、一緒に取り組んでいければと考えております。
(広報誌「地震本部ニュース」令和6年(2024年)春号)
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