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  3. 「地震本部地域講演会 in 新潟市 新潟地震から60年~過去に学び、将来に備える~」を開催しました!

(広報誌「地震本部ニュース」令和6年(2024年)秋号)

 令和6年は、新潟地震(1964年)が発生してからちょうど60年になります。地震はいつ、どこでも発生する可能性があります。このような地震災害に一人一人が備えるために、地震本部、新潟地方気象台、新潟県、新潟市が連携し、令和6年10月6日、新潟市東区プラザにおいて「地震本部地域講演会 in 新潟市 新潟地震から60年~過去に学び、将来に備える~」を開催しました。

 本講演会では、新潟県で発生した地震や津波の被害の特徴や、このような災害に対する政府の取組などを知って、地域住民が地域の特性を踏まえた災害への備えを改めて考えていただくことを目的として、登壇者の皆様にご講演いただきました。

 講演会当日は、100名を超える方々にご参加いただきました。開会に当たって、吉田和久文部科学省研究開発局地震火山防災研究課地震火山室長から、冒頭挨拶をいたしました。

 最初に、地震本部の事務局を務める文部科学省研究開発局地震火山防災研究課の上野地震調査管理官から、地震本部設置の背景や役割、組織構成を紹介し、地震調査委員会における地震に関する評価を中心に、地震本部の活動や成果の概要を説明しました。特に、新潟県とその周辺に焦点を当て、新潟県にも被害を及ぼした令和6年能登半島地震の活動の評価や、新潟県に位置する主要活断層帯や日本海側の海域活断層の長期評価といった地震本部の成果について説明を行いました。

 卜部教授からは、新潟地震や令和6年能登半島地震での液状化災害についてご講演いただきました。新潟地震の際の写真を用いて液状化被害の分布を確認しながら、当時は液状化という定義がなかったため、液状化に対する抜本的な対策がなされないまま新潟市が復興してきたことを課題として挙げました。そのため、令和6年能登半島地震の際、新潟地震で液状化が発生した場所で「再液状化」が発生したことを新潟地震の被害写真と比較しながら解説いただき、新潟市において液状化対策が依然として課題であり、抜本的な地盤改良が必要であることを訴えました。

 佐藤名誉教授からは、新潟県周辺の地質構造について解説いただきました。まず、新潟地震の震源分布や粟島の隆起を取り上げ、新潟地震の断層モデルについて解説しました。そして、日本海地震・津波調査プロジェクトにおける地下の構造探査によって推定した震源断層モデルにより、新潟地震の際に発生した津波が説明できることを紹介いただきました。また、新潟県周辺の震源断層の分布や地質構造の特徴について触れ、引き続き地下構造を調査すべきであるとした上で、震源断層モデルを用いて得られた強震動予測や津波予測をもとに、安全な街作りへの長期的な取組など、より効果的な防災対策の進展が望まれると解説いただきました。

 前多台長からは、気象庁から発表される地震や津波に関する情報について紹介いただきました。最初に、新潟地震当時の津波警報や地震情報の発表状況のほか、新潟地方気象台の様子について、会場での写真展示に触れつつ紹介いただきました。次に、緊急地震速報の仕組みや種類、津波警報等の種類と予想される津波の高さの情報について解説いただきました。さらに、新潟県の津波観測地点、震度観測点などに加え、令和6年能登半島地震を例に推計震度分布図の見方を説明いただきました。最後に、緊急地震速報や津波注意報、津波警報等を見聞きした際にどうすればよいか解説し、平常時からの災害への備えの重要性を強調しました。

 入江教授からは、新潟地震の際の実際のラジオ放送の音声を交え、災害報道の歴史についてご講演いただきました。1923年の関東大震災では同時通信(リアルタイムの情報通信)の緊要性が切実に叫ばれラジオ放送開始の契機となると、1955年の新潟大火ではラジオによる速報が住民の避難に結び付いたことを説明いただきました。新潟地震の災害報道では、テレビとラジオの役割の明確化や、屋上カメラの登場、安否放送の大規模展開を行った点で、現在の災害報道が形作られるとともに、放送局が報道機関と防災機関という二つの顔を持つ存在になったことを紹介いただきました。最後に、災害時における情報途絶や流言飛語は現在でも起こりうるとし、行政の情報通信に関する対策の強靭化や、住民の根拠のない情報にだまされない意識が重要であると強調されました。

 本講演会は、堀川健一新潟県防災局防災企画課長に閉会のご挨拶をいただき、幕を閉じました。

 講演会来場者へのアンケートでは、9割以上の回答者に「満足している」又は「まあまあ満足している」と回答いただきました。また、講演会の感想として、新潟地震の写真やラジオ放送を見聞きして、当時の様子を想起するコメントや、新潟県周辺で発生する地震や津波の発生メカニズム、気象庁が発表する警報などの情報を知り、改めて災害への備えを意識するようなコメントが数多く寄せられました。このように、地域住民が地震や津波といった災害を自分事として捉え、改めて防災意識を向上させるきっかけとなる講演会となりました。地震本部では、地域講演会をはじめとするイベントを通して、引き続き地震本部の取組や成果の普及に努めていきます。

(広報誌「地震本部ニュース」令和6年(2024年)秋号)

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