パソコン版のウェブサイトを表示中です。
(広報誌「地震本部ニュース」令和5年(2023年)冬号)
政策委員長を務めている福和です。中島正愛先生から委員長を引き継いで6年が経過しました。私は、民間建設会社で原子力発電施設の耐震研究に携わった後に名古屋大学に異動し、耐震工学や地震工学の教育・研究に従事して、一昨年定年退職しました。この間、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの震災を経験する中で、災害被害軽減の大切さを痛感し、南海トラフ地震などの事前防災に注力してきました。私は、地盤震動や地盤と構造物との動的相互作用を通して建築物に作用する地震荷重の問題に主として携わることで、地震と建築耐震との間を繋ぐ役割を担ってきました。建設会社にいたので、免震・制振や宇宙建築、環境振動の問題にも携わりました。また、東海地域にいるため、南海トラフ地震対策のための被害予測や防災教育などにも関わってきました。このようなこともあり、地震調査研究の成果を災害被害軽減に結び付ける政策委員会の使命の大切さを強く感じています。
昨年9月に関東大震災から百年を迎えました。大震災では地震火災と家屋倒壊で未曽有の被害となり、その後の多発する地震災害を経て太平洋戦争に突入し、東南海地震や三河地震の後に敗戦に至り、戦後には南海地震や福井地震を経験しました。この四半世紀は日本の歴史上最も苦難な時代でした。一方で、帝都復興計画などの震災に強い都市作りや、市街地建築物法への耐震規定の導入などが図られました。また、阪神・淡路大震災では耐震対策が、東日本大震災では津波対策が進展しました。しかし、痛い目に合わないと対策が進まないというのは残念です。3つの震災の教訓は、次なる地震に備え予め対策を進めることです。政策委員会では、地震調査研究を災害被害軽減に活かすための方策を模索しています。本年度はその手始めとして、防災推進国民大会でのセッション開催や地域講演会を行いました。是非、読者の皆様からも、災害被害軽減に活かすアイデアをお寄せいただければと思います。
●映像で知る地震本部
地震本部では、地域講演会の様子や、ぼうさいこくたいセッションの様子を、Youtubeチャンネルを通して公開しています。ぜひご活用ください。
●毎月および臨時の地震活動の評価
令和6年1月1日(月)に発生した令和6年能登半島地震を受けて、1月2日(火)に地震調査委員会臨時会を開催しました。会議冒頭では、本部長(盛山 正仁文部科学大臣)にご挨拶いただき、その後関係行政機関や大学などの調査結果を基に今回の地震について評価を行いました。
(参考)地震本部では、大きな被害を伴う地震が発生した場合、臨時会を開催し、その地震活動についての迅速かつ総合的な評価を実施・公表しています。
(広報誌「地震本部ニュース」令和5年(2023年)冬号)
スマートフォン版を表示中です。
パソコン版のウェブサイトを表示中です。