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(広報誌「地震本部ニュース」令和5年(2023年)夏号)
地震調査研究推進本部(以下、地震本部という)は、平成7年に阪神・淡路大震災をきっかけに設置され、令和5年7月で発足から28年となりました。長きにわたり活動してきた地震本部ですが、あらためて、地震本部はどのような組織なのか、地震本部に置かれている委員会等ではどのような取り組みが行われているのかを詳しく解説します。
平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、6,437名の死者・行方不明者を出し、10万棟を超える建物が全壊するという戦後最大の被害(当時)をもたらすとともに、我が国の地震防災対策に関する多くの課題を浮き彫りにしました。
これらの課題を踏まえて、地震本部は地震に関する調査や研究を政府として一元的に推進するとともに、その成果を社会に伝えるために平成7年(1995年)に設置されました。地震防災対策の強化、特に地震による被害の軽減に資する地震調査研究の推進を基本的な目標として、下図に示す5つの役割を担っています。
地震が多い我が国では、世界的にみても稠密で均質な観測網が整備され、地震活動に関する知見を数多く蓄積し、地震調査研究は大きく進展してきました。しかしながら、地震現象は複雑で未解明な部分があり、解決すべき課題も多く残っています。政策委員会では、国全体の地震調査研究の取り組み方針(「総合的かつ基本的な施策」)を審議・策定するほか、以下の部会での取り組みについて審議する役割を担っており、地震による被害を軽減するよう取り組みを進めています。
地震調査研究に関係する国の予算のとりまとめや調整などを行っています。国の機関や大学などが行う地震に関する調査や研究が、国全体の地震調査研究の取り組み方針に沿ったものであるか、取り組みに重複がないかなどの調整を行い、毎年報告書をとりまとめ、関係機関に通知するとともにHPで公表しています。
地震防災に役立つ研究を行うために必要な調査観測をどのように進めるかといった計画(「総合的な調査観測計画」)をつくるために設置された部会です。その計画をもとに、国の機関や大学などが協力して、全国に地震を観測するための施設をつくる等(図1)、様々な調査を進めています。
地震調査研究の成果を国民のみなさんにわかりやすく伝え、防災意識を高め、具体的な防災行動に結び付けていただくとともに、国や地方公共団体等の防災関係機関の具体的な防災対策にも結び付くようにするために設置された部会です。地震調査研究の成果の広報に取り組んでいます。
地震調査委員会では、関係行政機関や大学等の地震に関する調査結果等を収集・整理・分析し、これに基づいて総合的な評価を行っています。地震調査委員会は毎月定例で開催して現状の地震活動について評価しているほか、大きな地震が発生した際には臨時会を開催しています。委員会後は広報活動の一環として記者会見を行っています(写真1)。また、地震調査委員会は、以下の部会の取り組みについて審議する役割も担っています。
地域ごとの地震活動に関する地殻変動、活断層、過去の地震等の資料に基づく地震活動の特徴を把握し明らかにするとともに、海溝型地震や活断層などについて、長期的な観点からの地震発生可能性の評価を行っています。
被害を及ぼすような強い地震動を強震動と言います。地震による各地点の揺れ方は、断層の大きさや破壊進行方向、地震波が伝わる経路、地盤の特性などによって大きく変わります。強震動評価部会では、強震動予測手法の検討を行うとともに、その手法を用いた強震動の評価を行っています。
津波評価部会は東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)を契機に設置されました。地震により発生する津波の予測手法を検討するとともに、それを用いた津波の評価を行っています。
(広報誌「地震本部ニュース」令和5年(2023年)夏号)
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