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  3. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)の推進について」を建議

(広報誌「地震本部ニュース」平成31年(2019年)春号)

トピックス災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画

 科学技術・学術審議会(会長:濵口 道成 国立研究開発法人科学技術振興機構理事長)は平成31年1月30日、平成31年度からの5年間に実施する地震火山観測研究計画として「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)の推進について」(以下、「本計画」という)を取りまとめ、文部科学省設置法に基づき、文部科学大臣をはじめとする関係大臣へ建議しました(写真1)。地震火山観測研究計画の実施機関である各大学及び研究機関等(以下、「各実施機関」という)(表1)は、本計画に基づいて、地震や火山に関する観測研究を進めていくこととしています。ここでは、地震調査研究推進本部の施策とも関係が深い、この地震火山観測研究計画についてご紹介します。

写真1 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)の推進について」の建議

写真1 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)の推進について」の建議



表1  災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)実施機関

表1  災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)実施機関

1.地震調査研究推進本部と地震火山観測研究計画とのかかわり

 地震調査研究推進本部は、地震防災対策の強化、特に地震による被害の軽減につながる地震調査研究の推進を基本的な目標として、国全体における地震に関する調査や研究の取組方針の策定・推進、地震に関する調査観測計画の策定・推進、地震活動の総合的な評価等を実施しています。
 このように、地震本部は我が国の地震調査研究の司令塔的な役割を担っていますが、こうした地震本部が推進する調査研究を科学的・技術的に支えているのが、大学や研究機関等が実施している地震や火山の基礎的研究です。
 大学や研究機関等は、科学技術・学術審議会が建議する地震火山観測研究計画※1に基づいて地震や火山に関する観測研究を実施してきました。こうした研究の成果は、プレート境界の重点的調査研究、基盤的観測網の整備など、地震本部による要請研究の推進や社会実装につながっています。
 地震本部の調査研究を今後も持続的に高度化するためには、地震調査研究における課題を理解した上での基礎的研究の進展が必要不可欠であり、地震本部と、地震火山観測研究計画を実施・推進するコミュニティとの連携が極めて重要であるといえます。


※1: 地震に関しては昭和40年から「地震予知計画」が、火山噴火に関しては昭和49年から「火山噴火予知計画」が、複数次の5か年計画として推進されてきました。平成21年度からは、地震と火山噴火の計画を統合して実施しています。

2.災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)の概要

 今回建議された本計画の概念図を図1 に示します。
 本計画では、地震・火山現象を解明するための研究、地震や火山噴火の予測のための研究をさらに進めるとともに、地震や火山噴火によって引き起こされる地震動・津波・火山噴出物等による災害の軽減につながる研究を推進します。また、本計画では初めて、地震・火山噴火に対する防災リテラシー向上のための研究に本格的に取り組みます。具体的には、地震や火山に関する科学的な情報を受け取る側が、効果的に理解を深め、災害に関する社会の共通理解を醸成するための手法を社会科学の研究者と理学の研究者が協同して研究することとしています。こうした様々な研究を、地震学・火山学を中核として、災害に関わる理学、工学、人文・社会科学の研究者が連携して行うこととしています。
 中でも、重点的な研究として「地震発生の新たな長期予測」「地殻活動モニタリングに基づく地震発生予測」「火山活動推移モデルの構築による火山噴火予測」を推進します。このうち、「地震発生の新たな長期予測」についての研究は、歴史記録などに基づく地震発生履歴の解明や最先端観測で得られる地下構造内の状態に関する知見を最大限に活用し、地震発生の長期予測の新たな手法を開発しようというものです。また、「地殻活動モニタリングに基づく地震発生予測」についての研究は、地震活動や地殻変動のモニタリングと、理論や実験などに基づく物理・統計モデルとを統合し地震発生予測を高度化しようというものです。こうした研究は、地震本部が推進する調査研究と密接に関わるものであり、今後こうした研究がさらに進むことで、例えば地震の現状評価や長期評価の手法の中に組み込むことが可能となり、地震発生の予測精度の向上に貢献していくことが期待されます。
 また、「南海トラフ沿いの巨大地震」「首都直下地震」「千島海溝沿いの巨大地震」「桜島大規模火山噴火」「高リスク小規模火山噴火」については、それらが発生した場合の社会への影響が大きいと考えられることから、地震学・火山学的な見地のみならず災害科学的な重要性も考慮して、複数の研究分野を横断する総合的な研究として実施することとしています。



図1 災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2 次)の概要

図1 災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)の概要

3.災害の軽減に貢献するために

 地震火山観測研究計画に基づく基礎的研究の成果を有効に活用し、地震本部が推進する調査研究をより高度なものにしていくためには、地震調査研究推進本部と、地震火山観測研究計画を推進する科学技術・学術審議会測地学分科会や本計画の各実施機関が、地震や火山に関する研究ニーズを把握・共有し、地震火山観測研究計画の進捗や成果の情報交換を積極的に実施するなど、緊密に連携していくことが重要です。災害の軽減に貢献するという目標に向かって、地震本部と地震火山観測研究のコミュニティ等の関係機関が連携して取り組んでいきます。

※ 本計画の本文及び参考資料等は、以下のURLに掲載しています。詳しい内容を知りたい方はこちらをご覧ください。

災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)の推進について(建議)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu6/toushin/1413118.htm

(広報誌「地震本部ニュース」平成31年(2019年)春号)

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