パソコン版のウェブサイトを表示中です。
(広報誌「地震本部ニュース」平成31年(2019年)春号)
地震調査研究推進本部の下に設置されている地震調査委員会では、防災対策の基礎となる情報を提供するため、主要な活断層で発生する地震や海溝型地震を対象に、将来発生すると想定される地震の場所、規模、発生確率について評価を行い、「長期評価」として公表しています。(図1)
海溝型地震とは、2枚のプレート間のずれによって発生するプレート間地震と、沈み込む側のプレート内部で発生するプレート内地震を指します(図2)。
日本海溝沿いの地震活動については、東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震の直後に「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価(第二版)」を公表しました。その後、調査研究が大きく進展したことから、新たに得られた知見を取り入れて、平成31年2月26日に「日本海溝沿いの地震活動の長期評価」として公表しました。
今回の評価は、震源域の範囲や地震発生間隔の多様性を考慮するとともに、不確実性が大きな情報であっても、評価に活用するといった方針に基づいています。したがって、算出された確率値についてもそのような不確実性が含まれていることに留意が必要です。
図1 海溝型地震の長期評価
図2 海溝型地震の概念図
今回の評価は、青森県東方沖から八丈島東方沖にかけてを対象としています。この領域で発生しうる地震のうち、プレート間地震については、図3に示す7つの領域内で発生する地震並びに東北地方太平洋沖地震と同様に複数の領域にまたがる震源域を持つ地震(超巨大地震)について、地震規模とその発生確率を評価しました。また、プレート内地震については、沈み込んだプレート内の地震と海溝軸外側の地震を評価しました。
図3 日本海溝沿いで発生するプレート間地震の評価対象領域(赤で囲まれた領域)
前述の地震について、日本海溝沿いで発生しうる地震の規模とその発生確率を評価しています(表1)。マグニチュード(M)9クラスの超巨大地震(東北地方太平洋沖型)については、津波堆積物から推定した過去の地震発生年代に基づき評価した結果、平均的な地震発生間隔に対し、最新の活動である東北地方太平洋沖地震からそれほど時間が経っていないため「Ⅰランク」※となっています。一方、M7〜8クラスの地震は「Ⅱランク」や「Ⅲランク」と評価され、日本海溝沿いのいずれの領域でも強い揺れや津波などによる被害を及ぼすような地震が発生する可能性は高いといえます。
また、日本は世界的に見ても非常に地震の多い国であり、日本国内では、地震の発生確率がゼロとなる地域は存在しません。地震はどこでも発生するということを念頭に置き、本評価を自治体等の防災対策や、各家庭での防災意識の向上に役立てていただければ幸いです。
※ 日本海溝沿いにおける地震の今後30年以内の地震発生確率が26%以上を「Ⅲランク」、3〜26%未満を「Ⅱランク」、3%未満を「Ⅰランク」、不明(過去の地震のデータが少ないため、確率の評価が困難)を「Ⅹランク」と表記。
表1 日本海溝沿いで評価した将来発生する地震の規模と30 年以内の地震発生確率
(広報誌「地震本部ニュース」平成31年(2019年)春号)
スマートフォン版を表示中です。
パソコン版のウェブサイトを表示中です。