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(広報誌「地震本部ニュース」令和元年(2019年)秋号)
令和元年6月18日22時22分に山形県沖の地震(マグニチュード6.7)が発生し、新潟県村上市で震度6強、山形県鶴岡市で震度6弱、北海道から中部地方にかけて震度5強から1を観測しました。また、この地震に伴い山形県鶴岡市の鼠ヶ関で11cmの津波を観測し、秋田県、山形県、新潟県、石川県でも津波を観測しました。この地震を受けて、地震調査委員会は地震発生翌日の6月19日の夕方に臨時の委員会を開催しました。また、7月9日に開催した定例の委員会でも、どのような地震であったのかを評価するための議論を行い、それぞれその日のうちに「2019年6月18日山形県沖の地震の評価」を公表しました。
北海道沖から新潟県沖にかけての日本海東縁部では、1964年新潟地震、1983年日本海中部地震、1993年北海道南西沖地震など、これまでも大地震が度々発生しています(図1)。この日本海東縁部は地質学的にみると、東西に幅を持った南北方向に伸びる帯状の活断層・活しゅう曲帯が何条か形成されています。さらに陸域の新潟から神戸にかけては、ひずみが集中する領域(ひずみ集中帯)の存在が測地学的手法によって指摘されています。地震調査委員会では、地震の発震機構、断層の傾斜方向、今回の地震とひずみ集中帯、日本海東縁部や1964年新潟地震との関連性を議論しました。その結果今回の地震は、発震機構は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型、東南東方向に傾斜する断層面、地殻内で発生、1964年新潟地震の震源域に隣接した場所で発生した、と評価しました。
図1 日本海東縁部の地震活動と今回の地震(気象庁資料より抜粋)
地震調査委員会が公表している全国地震動予測地図2018年版では、今回の地震で震度6弱以上が観測された新潟県北部から山形県南部は、今後30年間で震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が0.1~3%(やや高い)としていました(図2A)。大局的には新潟県北部から山形県南部は山地に位置し、揺れにくい地盤です。しかし、今回の地震で震度6強を観測した新潟県村上市府屋などは、川沿いの地盤増幅率が高い場所に位置しており、揺れが強くなったと考えられます(図2B)。地震動予測地図でも海沿いや川沿いでは確率が3~6%または6~26%(高い)であり、注意すべき地域であったと言えます(図2A)。
皆さんが住んでいる地域の揺れの確率や表層地盤の揺れやすさは、地震ハザードステーション(J-SHIS; http://www.j-shis.bosai.go.jp)で確認することができます。揺れに備えて、家具の転倒防止対策や避難場所の確認、家族との連絡方法の確認など、できることから始めていくことが大切です。また、海域で発生する地震の場合には津波が発生することがあります。自宅近くの高台の場所や避難経路などの確認をしておくことも大切です。
図2 (A)新潟県北部から山形県南部の今後30年間で震度6弱以上の揺れに見舞われる確率と
(B)表層地盤の揺れやすさ(地盤増幅率)(地震ハザードステーション(J-SHIS)に追記)
(広報誌「地震本部ニュース」令和元年(2019年)秋号)
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