パソコン版のウェブサイトを表示中です。
(広報誌「地震本部ニュース」平成30年(2018年)夏号)
平成30年6月18日午前7時58分に大阪府北部の地震(マグニチュード6.1)が発生し、大阪府の大阪市北区、茨木市、高槻市、枚方市、箕面市で最大震度6弱が観測され、大きな被害が発生しました。この地震を受け、地震調査委員会は当日に臨時会を、7月10日に定例会を開催し、それがどのような地震であったのか評価するため議論しました。
今回の地震の震源周辺には複数の活断層が確認されています(図1)。震源に近い活断層としては震源の北にある有馬―高槻断層帯、西にある上町断層帯、そして南にある生駒断層帯が挙げられます。臨時会では、これらの断層帯と今回の地震との関連性が議論されました。それぞれの断層帯は、断層の傾きや動く向き(横ずれ断層や逆断層など)といった特徴を持っており(図2)、その詳細は地震本部の長期評価としてまとめられています。したがって、今回地震計で観測されたデータを解析して、どのように断層がずれ動いて発生した地震なのかが明らかになれば、周囲の活断層の特徴と合わせて検討することができ、活断層と地震の関連性の有無を判断することができます。しかし、当日観測された地震のデータは、地震を発生させた地下の断層運動が複雑であったことを示しており、周囲の活断層や地質構造、重力異常などのデータとともに議論がなされましたが、地震の様相を詳細に把握するためには今後の観測結果が必要でした。したがって当日の臨時会では、今回の地震は周囲の活断層帯に関連した地震である可能性があり、今後の調査観測を踏まえて検討を行うべきであると評価されました。
その約1か月後、新たに観測された地震のデータから、地下で2つの異なる動きをする断層が動いて今回の地震を発生させたということや、GNSS観測により、ごくわずかな地殻変動が検出されたことがわかってきました。7月10日に開催された定例会ではこれらの新しい知見を評価に加えて大阪府北部の地震の評価として公表しました。
図1 震源周辺の主要活断層帯(地理院地図及び都市圏活断層図を基に作成)
図2 断層の種類
地震本部が公表している全国地震動予測地図2018年版では、今回震度6弱が観測された高槻市において今後30年間で震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が22.7%(高い)とされています(図3)。この地域で震度6弱以上の揺れを発生させる地震は、南海トラフの地震や、大阪平野に位置する上町断層帯で発生する地震も想定されます。このような揺れに備え、家具の転倒防止対策や避難場所の確認、家族との連絡方法の確認など、できることから始めていくことが大切です。
大阪府以外でも皆さんが住んでいる地域の確率や表層地盤の揺れやすさは、地震ハザードステーション(J-SHIS)で確認することができます。
図3 | (A)大阪府周辺の震度6 弱が観測された地点の今後30 年間で震度6弱以上の揺れに見舞われる確率と(B)表層地盤の揺れやすさ(速度増幅率) |
(広報誌「地震本部ニュース」平成30年(2018年)夏号)
スマートフォン版を表示中です。
パソコン版のウェブサイトを表示中です。