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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 「全国地震動予測地図2018年版」の概要

(広報誌「地震本部ニュース」平成30年(2018年)夏号)

地震調査研究推進本部 「全国地震動予測地図2018年版」の概要

1.はじめに

 地震調査研究推進本部(地震本部)地震調査委員会は、2011年東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日・マグニチュード9.0)の発生を受けて指摘された確率論的地震動予測地図の諸課題のうち、特に大規模・低頻度の地震に関する課題に重点的に取り組み、その成果をまとめて、2014年12月に「全国地震動予測地図2014年版」として公表しました。2015年以降は、新たな長期評価の成果を取り入れて、全国地震動予測地図を随時更新し、公表してきました。
 2017年12月には新たに「四国地域の活断層の長期評価(第一版)」(以下、「四国地域の評価」という。)および「千島海溝沿いの地震活動の長期評価(第三版)」(以下、「千島海溝沿いの評価」という。)を公表したことから、これらの新たな知見を取り入れて全国地震動予測地図を更新し、「全国地震動予測地図2018 年版」として公表しました。

2.主な更新の内容

 大きく分けて二種類の地図からなる全国地震動予測地図のうち、「確率論的地震動予測地図」に関しては、地震発生確率の評価基準日を2018年1月1日に変更し、「四国地域の評価」および「千島海溝沿いの評価」を反映して、計算結果の一部を公表すると共に、その他の計算結果については防災科学技術研究所の地震ハザードステーションJ-SHISにて公開することとしました。
 もう一方の種類の地図、「震源断層を特定した地震動予測地図(シナリオ地震動予測地図)」に関しては、「四国地域の評価」によって新たに評価された活断層帯、および「千島海溝沿いの評価」によって新たに評価された海溝型地震を対象に、簡便法(距離減衰式を用いた方法)により予測地図を作成しました。併せて、それら四国地域の活断層帯のうち長さが15km以上の断層帯については、詳細法(ハイブリッド波形合成法を用いた方法)により予測地図を作成しました。なお、中央構造線断層帯については、各区間が単独で破壊するケースに加えて、中央構造線断層帯全体が同時に破壊するケースを対象に、詳細法により地図を作成しました。
 更に、2017年版と同様に、従来からの震度分布の地図に加えて、全国地震動予測地図を利用した被害対策への橋渡しとなる「震度曝露人口」の地図も作成しました。

3.更新結果

 代表例として、確率論的地震動予測地図の例を図1に、震源断層を特定した地震動予測地図の例を図2に、それぞれ示します。

図1 確率論的地震動予測地図の例(平均ケース・全地震)

図1 確率論的地震動予測地図の例(平均ケース・全地震)

図2 震源断層を特定した地震動予測地図の例

図2 震源断層を特定した地震動予測地図の例

 「確率論的地震動予測地図」では、現時点で考慮し得るすべての地震の位置・規模・発生確率に基づき、各地点がどの程度の確率でどの程度揺れるのかを計算し、その分布を示しています。揺れの強さ、期間、確率のうち2つを固定して残りを地図に示すなど、様々な種類を作成しました。図1では、それらのうち期間と確率を固定した場合および期間と揺れの強さを固定した場合の例をそれぞれ示しています。図1の「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」の地図では、北海道南東部や仙台平野の一部、首都圏、東海~四国地域の太平洋側および糸魚川-静岡構造線断層帯の周辺地域などの確率が高くなっています。中でも人口や産業が集中している堆積平野内の地域では、一般に地震動の増幅が大きく、強い揺れに見舞われる確率が高い傾向があります。
 2017年版と比べて、今回の確率論的地震動予測地図では、「四国地域の評価」および「千島海溝沿いの評価」を反映したことによる影響が、北海道地方東部や四国地方、中央構造線断層帯の周辺地域で見られます。また、南海トラフの巨大地震などの地震の発生確率の計算には、当該地震が実際に発生するまでは、発生確率が増加し続ける性質の確率モデルを用いているため、特に海溝型巨大地震の影響を受けやすい地域を中心に地震動の超過確率が年々増加します。
 「シナリオ地震動予測地図」では、ある特定の震源断層において、地震が発生した場合に各地点の揺れを計算してその強さ分布を示しています。図2では中央構造線断層帯の東側および西側に位置する評価単位区間の単独破壊ケースのうち、大きいアスペリティが東側に位置し、断層破壊が東から西側へ進むケースの例を示しております。図2(a)で震度6強以上の揺れが計算されている地域は、主にアスペリティの直上や近傍の地域で、かつ破壊フロントの前側(破壊開始点の北西側)および表層地盤が軟弱な地域に見られます。また図2(b)では、アスペリティが海域~沿岸部に想定されているため、震度6強以上の揺れが計算されている地域は、表層地盤が軟弱な地域および沿岸部に見られます。
 図1および図2のような情報は、地震ハザードステーションJ-SHISの画面上で、お住まいの地域を拡大して調べることが可能です。揺れの強さは表層地盤などによって変わるため、同一市町村内でも、強い揺れに見舞われる確率や特定のシナリオによる揺れの強さは一律ではありません。是非詳しく調べて全国地震動予測地図を防災対策に活用して頂きたいです。
 また、地震ハザードステーションJ-SHISでは、地震動ハザードに大きく寄与する上位の地震や地震グループを、分解して表示できます(確率論的想定地震)。また「震源断層を特定した地震動予測地図」を活用した例として、ある震度以上の揺れにさらされる昼間および夜間の人口分布の地図(震度曝露人口分布図)も作成し、公開されています。

4.今後に向けて

 地震本部では、今後とも、新たな地震発生データや情報・知見の蓄積とそれに基づく諸評価結果に応じて、全国地震動予測地図を随時更新していく予定です。更に、新しい調査・研究成果に基づいて地震動予測手法の高度化を進めると共に、地震動予測結果の説明のわかりやすさの向上にも取り組んでいく予定です。本検討結果は、地震調査研究推進本部のwebサイト上の全国地震動予測地図のページ(https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/shm_report/)で公表されています。その他の計算結果や、その詳細なデータや関連情報は防災科学技術研究所のwebサイトの地震ハザードステーション J-SHIS(https://www.j-shis.bosai.go.jp/)でも公開されています。

(広報誌「地震本部ニュース」平成30年(2018年)夏号)

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