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(広報誌「地震本部ニュース」平成30年(2018年)春号)
地震本部では、今後10年間の地震調査研究推進の基本的施策をまとめた「新たな地震調査研究の推進について―地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策―」(以下、「新総合基本施策」という。)を平成21年4月に策定しましたが、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震において地震調査研究に関する多くの課題等があったことから、平成24年9月に改訂しました。
この新総合基本施策は、平成30年度末で終了することから、平成31年度から実施予定である次期の総合基本施策(以下、「次期総合基本施策」という。)の検討に先立ち、新総合基本施策の実施期間中の取組をレビューするとともに、次の10年間に取り組むべき今後の課題を整理するため、政策委員会のもとに「新総合基本施策レビューに関する小委員会」(以下、「レビュー小委員会」という。)を設置しました。
このレビュー小委員会では、関係機関における新総合基本施策の実施期間中の主な実績等を確認するとともに、地震調査研究の推進のあり方や地震本部の役割等、次期総合基本施策を策定するにあたり、留意すべき今後の課題について議論を行いました。
新総合基本施策で設定された基本目標ごとの主な実績の一部を示します。
「①海溝型地震を対象とした地震発生予測の高精度化に関する調査観測の強化、地震動即時予測及び地震動予測の高精度化」については、南海トラフ沿い及び日本海溝沿いに、大規模かつ稠密な海底地震・津波観測網を整備しました(図1)。また、過去の地震履歴調査、海溝型地震の物理モデルや発生予測手法を活用して海溝型地震の長期評価を見直しました。
図1 海底地震・津波観測網のイメージ図
左:地震・津波観測監視システム(DONET)、右:日本海溝海底地震津波観測(S-net)
「②津波即時予測技術の開発及び津波予測に関する調査観測の強化」については、前述の実績に加え、海域観測網やGNSS観測網等を活用した津波即時予測技術の開発及び社会実装が進みました(図2)。
図2 DONETを用いた津波遡上即時予測システムの表示イメージ
「③活断層等に関連する調査研究による情報の体系的収集・整備及び評価の高度化」については、より短い活断層の評価や地域単位でM6.8以上の地震の発生可能性を評価する「地域評価」を実施しました(平成29年末時点で、九州、関東、中国、四国の4地域を公表しています)(図3)。
図3 四国地域における活断層の地域評価
「④防災・減災に向けた工学及び社会科学研究との連携強化」では、地震観測データや地震調査研究の成果情報の提供が一層充実しました。また、理学・工学・社会科学分野の研究者が一体となって参画する体制が構築され、様々な研究プロジェクトが実施されています。
地震本部の設置から20年以上が経ちましたが、地震調査研究の進展状況やその成果が活用されるべき社会の環境も大きく変化している中で、地震本部の方向性や役割を改めて見直すべきとの意見が多く示されました。
以下に、今後の課題の一部を示します。
地震本部は、今回取りまとめた報告書で示された今後の課題を踏まえつつ、平成30年度に次期総合基本施策を策定していきます。なお、報告書全文については、以下のURLをご参照ください。
https://www.jishin.go.jp/main/seisaku/hokoku18d/sksr_report.pdf
(広報誌「地震本部ニュース」平成30年(2018年)春号)
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