パソコン版のウェブサイトを表示中です。

スマートフォン版を表示する

  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 「全国地震動予測地図2017年版」の概要

(広報誌「地震本部ニュース」平成29年(2017年)夏号)

地震調査研究推進本部 「全国地震動予測地図2017年版」の概要

1.はじめに

 地震調査研究推進本部(地震本部)地震調査委員会は、2011年東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日・マグニチュード9.0)以降、特に大規模・低頻度の地震に関する課題に重点的に取り組み、その成果をまとめて、2014年12月に「全国地震動予測地図2014年版」を公表しました。その後の2016年6月には、新たな知見として「関東地域の活断層の長期評価(第一版)」を反映させた「全国地震動予測地図2016年版」を公表しました。今回も新たな知見に基づいて内容を更新し、2017年4月に「全国地震動予測地図2017年版」を公表しました。

2.更新の主なポイント

 大きく分けて二種類の地図からなる全国地震動予測地図のうち、「確率論的地震動予測地図」に関しては、全国地震動予測地図2016年版に対して、2016年7月に公表された「中国地域の活断層の長期評価(第一版)」を反映させると共に、更新過程による地震発生確率の評価基準日を2017年1月1日に変更しました。また、新たに「確率論的想定地震」を提示して防災科学技術研究所の地震ハザードステーションJ-SHISにて公表することとしました。
 一方、「震源断層を特定した地震動予測地図」に関しては、中国地域の活断層の長期評価(第一版)によって新たに評価された活断層帯を対象に、簡便法(距離減衰式を用いた方法)により地図を作成しました。長期評価による断層長さが20km以上の断層帯では、中国地域の活断層帯のうち断層長さが20km以上の断層帯、および、新たに作成された「関東地方の浅部・深部統合地盤構造モデル」(「関東地方の浅部・深部統合地盤構造モデルの構築」に関連記事あり)を用いることが可能となった関東地域の活断層帯については、詳細法(ハイブリッド波形合成法を用いた方法)により地図を作成しました。更に、従来からの震度分布の地図に加えて、「震度曝露人口」の地図を新たに提示しました。
 震源断層を特定した地震の強振動予測手法(「レシピ」)に関しては、第2章「地下構造モデルの作成」の内容に、浅部・深部統合地盤構造モデルの作成手法を取り入れて全体を見直し、更新しました。なお、浅部・深部統合地盤構造モデルの詳細に関しては、別途、「関東地方の浅部・深部統合地盤構造モデルの説明資料」としてまとめ、モデルと共に公表しています。また、「全国地震動予測地図2014 年版」の手引編・解説編を更新した上で、別冊の「全国地震動予測地図 手引・解説編 2017年版」として独立させました。

3.更新結果

 代表例として、確率論的地震動予測地図の例を図1に、震源断層を特定した地震動予測地図の例を図2に、それ ぞれ示します。

図1 確率論的地震動予測地図の例(平均ケース・全地震)

図1 確率論的地震動予測地図の例(平均ケース・全地震)


図2 震源断層を特定した地震動予測地図の例

図2 震源断層を特定した地震動予測地図の例

 確率論的地震動予測地図では、更新過程によりモデル化された地震が実際に発生しない限りはその発生確率が年々着実に増えるため、特に海溝型巨大地震の影響を受けやすい太平洋沿岸地域を中心に地震動の超過確率も年々増加します。中でも堆積平野内の地域では、一般に地震動の増幅が大きく人口や産業が集中していることから、将来の巨大地震に備えて頂きたいと思います。なお今回は、中国地域の活断層の長期評価も反映されましたが、それらによる地図全体への影響は比較的軽微でした。更に、地震ハザードステーションJ-SHISの画面上では、各評価メッシュでの地震動超過確率に大きく寄与する上位の地震グループを、確率論的想定地震として明示出来るようにしました。工学や自治体防災で優先的に検討・対応すべき地震を抽出・判断する場面での活用などを期待しています。
 震源断層を特定した地震動予測地図では、新たに検討された関東地方の浅部・深部統合地盤構造モデルを用いて地震動予測精度を向上することが可能となった活断層や、中国地域の活断層の長期評価(第一版)によって新たに追加、見直しされた活断層についても、それぞれ周辺地域での地震動が評価されると共に、震度の分布の情報に加えて、ある震度以上の揺れにさらされる人口とその分布の情報も評価されたので、工学や自治体防災への活用可能性が一層高まったと考えています。最寄りの活断層だけでなく周辺の複数の活断層で想定される多様なシナリオによって様々な揺れや被害の分布が生じる可能性も考慮して、将来の内陸直下地震に備えて頂きたいと思います。

4.今後に向けて

 地震本部では、今後とも、新たな地震発生データや情報・知見の蓄積とそれに基づく諸評価結果に応じて、全国地震動予測地図を随時更新していく予定です。更に、新しい調査・研究成果に基づいて地震動予測手法の高度化を進めると共に、地震動予測結果の説明のわかりやすさの向上にも取り組んでいく予定です。
 本検討結果は、地震調査研究推進本部のホームページ上の全国地震動予測地図のページ https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/shm_report/ で公表されています。 併せて、その詳細なデータや関連情報は防災科学技術研究所のホームページ上の地震ハザードステーション J-SHIS https://www.j-shis.bosai.go.jp/ でも公表されています。

(広報誌「地震本部ニュース」平成29年(2017年)夏号)

このページの上部へ戻る

スマートフォン版を表示中です。

PC版のウェブサイトを表示する

パソコン版のウェブサイトを表示中です。

スマートフォン版を表示する