パソコン版のウェブサイトを表示中です。

スマートフォン版を表示する

  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 東日本大震災を経験して思うこと(中埜良昭)

(広報誌「地震本部ニュース」平成23年(2011年)9月号)


 東日本大震災が発生したその時、私はその3週間ほど前にクライストチャーチを襲った地震による被害調査のために、ニュージーランドに滞在中でした。歴史的建造物や近代建築物の被害、都市の大規模な液状化被害などを調査していましたが、震災当日は地震発生直後に家族からのメールにより大きな地震が発生したようであることを知り、所属する大学への連絡・指示などを行うとともに、その日の調査データ整理の一方でネットや知人から送られてくるメールを見ながら遠く離れた祖国の震災情報を収集しました。しかし電話もすぐに通じなくなり、直接的な情報を得ることはできなかったため、隔かっ靴か 掻そう痒ようの感は否めませんでした。特にマグニチュードがニュースの更新のたびに大きくなり、最後はM9との表示を見たとき、何かの間違いではないかと思いました。また静岡や長野でも地震が発生したとのニュースが流れ、いったい日本列島はどうなったのか、と大変不安に感じるとともに、何か不正確な情報が流れているのではないか、とさえ疑ったことをよく覚えています。しかしながらこれらはいずれも正しいものでした。
 今回の震災では、その後これまでとは異なった地域で地震活動が活発化したり、異なったメカニズムによる地震が発生したり、と新たな経験・知見が得られています。現在、被災地の復旧・復興はもとより、その他の地域においても地震防災のあり方が見直されようとしています。もちろん今回の震災を重要な教訓とすることは必要ですが、あまりこれにとらわれすぎると、また別の「想定外」や「未曾有」を生むのではないかと危惧します。今回の地震に直接的に影響を受けて生じると考えられる地震、また東海・東南海・南海地震や首都圏直下地震に代表される次なる地震でどのような事象・現象を考えておくべきか、今回の教訓に加えさらに一歩も二歩も先んじた情報が発信されることを期待します。

(広報誌「地震本部ニュース」平成23年(2011年)9月号)

このページの上部へ戻る

スマートフォン版を表示中です。

PC版のウェブサイトを表示する

パソコン版のウェブサイトを表示中です。

スマートフォン版を表示する