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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. eコミプラットフォームの使い方1

(広報誌「地震本部ニュース」平成23年(2011年)5月号)




 防災科学技術研究所では、平成20 年度から府省連携による社会還元加速プロジェクトの一環として「eコミュニティ・プラットフォーム」(略称:eコミ)を開発しています。eコミを一言で説明すると、「人・組織と情報のつながりで防災の取り組みを支援する情報ツール」です。3回に分けてeコミのコンセプトや使い方を、実践例を交えながら紹介していきたいと思います。

 これからの防災への取り組みとして、従来の行政主導による防災対策だけでなく、個人や地域コミュニティ、NPO、民間事業者などを含社会全体が協働して自然災害のリスクを協治していく必要があると考えています。このことを「災害リスクガバナンス」といいます。これを実現するためには、人や組織のつながりが大切であることと、様々な知識や情報を使いやすい環境であることの2つが大切です。eコミはこれらを結びつける基盤(土台・環境)となるツールになることを目指して、研究開発を行っています。
 eコミは、「eコミグループウェア」と「eコミマップ」という2つのシステムによって構成されています。
eコミグループウェアは、ホームページの構築・運用・管理を行いながら、情報共有・意見交換・合意形成のための横断的な架け橋を提供します。ブログや掲示板、RSSリーダー、アンケート、ファイル共有、カレンダー、マップなどの各種機能を持つパーツを自由に配置することができます。インターネットが使えるパソコンさえあれば、Web の詳しい知識がなくても、誰でも使いこなすことができます。eコミマップは、地図の作成・共有・印刷に特化したシステムです。インターネット上に公開されている様々なマップを国際標準の方式によって取得して下敷きにし、調べた情報や集めた情報を地図の上に登録し、重ね合わせることが可能です。
そして、その地図を公開して他のグループと連携することや、グループ内での共有も可能です。携帯電話やスマートフォンによる地図の閲覧や情報の登録が可能です。
 eコミ自体はオープンソース(GPL) による公開を行っており、いつでもダウンロード可能です。つまり、eコミというシステムを使うこと自体にコストは発生しません。ただし、eコミはウェブサーバにインストールするため、サーバの維持費は別途検討する必要があります。さらに、ソースコードが公開されているので、eコミを基盤にして、さらに新たなシステムを開発することも可能です(eコミ公式サイト http://www.bosai-drip.jp/ecom-plat/)。
さらに、eコミの利用促進や発展を目指して、利用者や開発者の有志によって「eコミウェアフォーラム」と呼ばれる団体が設立されており、ユーザ間の協働も進みつつあります(eコミウェアフォーラム公式サイトhttp://ecomware.jp/)。





 eコミを活用した事例をいくつか紹介したいと思います。事例については、eコミのサイト(http://ecom-plat.jp/hp/jirei)でも紹介していますが、いくつかピックアップしたいと思います。北条ネット(http://kitajo.net)は、新潟県柏崎市北条地区内の情報共有や情報発信を、eコミで行っているサイトで、eコミマップを使った防災マップも作成しています(図1)。また、e 防災マップよこはま(http://emap-yokohama.ecom-plat.jp/)では、防災マップの作成を支援するサイトで、横浜市のハザードマップを下敷きに地域に根ざしたグループが危険な箇所や防災資源などをeコミマップに登録することができます(図2)。他にも、神奈川県藤沢市では地区のホームページを、eコミを使って構築していま
す(例えば鵠沼地区地域経営会議 http://fujisawakugenuma.ecom-plat.jp/, 図3)。他にも様々なサイトが立ちあがっています。
 eコミは、今後の展開として、より防災の取り組みに特化した機能を備えていきたいと考えています。このことを「地域防災キット」と呼んでいて、現在、e防災マップづくり、地域の被害想定、防災ラジオドラマづくりなど、様々な手法論の開発を行っており、それをeコミにツールとして組み込み、地域協働によって誰もが防災の取り組みが行えるようにしていきたいと考えています。日々の様々な取り組みについては、リスク研究グループのウェブサイト(http://risk.bosai.go.jp/)に詳しく情報が掲載されております。
第2回防災コンテスト(e防災マップ、防災ラジオドラマ)の案内もありますので、ぜひご覧ください。
 eコミの基本としている「人・組織、情報のつながり」は、平時だけでなく、災害発生後の対応においても重要なことであり、eコミが活用できます。2011年3月11日に発生した東日本大震災においても、eコミは活躍しており、当研究所では被災地の支援も行っています。次回、東日本大震災におけるeコミの活用事例を詳しく紹介したいと思います。なお、活動内容は「ALL311:東日本大震災協働情報プラットフォーム」のウェブサイト(http://all311.ecom-plat.jp/)でも紹介しています。

 

(広報誌「地震本部ニュース」平成23年(2011年)5月号)

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