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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 地震時の退避行動等はどうあるべきか1

(広報誌「地震本部ニュース」平成23年(2011年)5月号)


 我が国は世界の中でも有数の地震国であり、これまでに大被害が発生した大地震を幾度も経験してきました。大地震が発生するたび、得られた貴重な教訓を後世に生かすため、「地震時における心得」がまとめられ、国民に伝えられてきました。例えば、「グラッときたら火の始末」、「あわてて外に飛び出さない」といった標語を耳にしたことがあると思います。
 しかし、現状では、震度5弱以上の揺れでのガスの停止、建物の耐震性の向上や緊急地震速報の実現など、過去とは防災に関する状況が変化しています。このように、推奨されている退避行動が最近の社会の変化や最新の知見等を踏まえて十分に検証されていないこと
が顕在化してきました。さらに、地震被害調査や実大三次元破壊実験施設(E-ディフェンス)などを用いた実験研究により地震時の状況について知見が蓄積されています。このような研究成果を活用して、住居や学校、オフィスにおいて、地震発生時に人がどのような行動をとり、どのような対策を行うべきかについて検討できるようになってきました。
 「地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会」(主査: 田中淳 東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター長)では、地震発生時の退避行動についてその有効性を検証し、課題を抽出するとともに、どのような行動をとるのが望ましいか、また、より適切な被害軽減策を導き出すため、どのような研究開発を行う必要があるかについて検討を行いました。
 ここでは、平成22年5月にとりまとめた、地震時に人命を守るための退避行動等の提言を含む報告書について3回に分けて紹介します。
 第1回目の今号では、検討方法や地震時に人命を守るための退避行動等(提言)の概要について紹介します。


(1)検討対象とした時間の範囲
 地震による揺れもしくは地震情報により人間の行動が制約される以下の時間を中心に検討対象としました。
 ①緊急地震速報を見聞きする、もしくは初期微動を感知してから主要動が到達するまでの時間
 ②主要動により揺れている時間(揺れが収まるまでの時間)
(2)検討対象とした場所
 多くの人間が日常的に生活し、また研究成果や作業部会での検討結果が防災対策へ反映されやすいという観点から、以下の場所を検討対象としました。
 ①一般的な室内空間(居室、教室、事務室)
 ②屋内から屋外に向かう空間(廊下など)


 本作業部会では、以下のとおり検討を行いました。
(1)現在推奨されている地震時の行動についての整理
(2)地震時の揺れによる人間行動と室内環境の変容等についての文献調査
(3)現在推奨されている地震時の退避行動の有効性の検証と留意点の整理
(4)地震防災研究を踏まえた現状で適切と考えられる退避行動等(提言)と今後の課題の提示


 作業部会での検討の結果、報告書にまとめられた提言の概要は以下のとおりです。
(1)事前対策
 ・建物の耐震化、家具類の固定、消火設備の設置、適切な退避行動の事前の検討を行うなど事前対策を行う
(2)主要動到達直前(緊急地震速報時、初期微動時)
 ・主要動到達までの時間が知らされた場合:周囲に声をかけ、目前の火を消す、扉を開ける、履物をはく等し、速やかに安全空間に移動する
 ・主要動到達までの時間が不明な場合:すぐに大きな揺れが来るとの想定のもと頭部を保護して安全空間に移動する
(3)揺れの最中
 ・揺れが非常に大きい場合(動けない場合):姿勢を低くし頭部を守る、無理に行動しない
 ・揺れが大きい場合(動ける場合):その場の状況を判断し頭部を守ったり安全空間に逃げ込む
(4)揺れが収まった直後
 ・火を消す、扉を開ける、履物をはく、余裕があればブレーカーをおとす

地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会報告書(概要)
1.背景
・関東大地震(1923 年)後に、「地震に出会った時の心得」が推奨され、時代とともに変遷
・時代の変遷を経た地震時の心得の普及と社会の変化
・地震被害調査等により人間の行動の変化や室内の変化等地震時の状況について知見が蓄積
1.基本的考え方
○検討範囲  ・地震による揺れもしくは地震情報により人間の行動が制約される時間
・一般的な室内空間、屋内から屋外に向かう空間
○検討手法 (1)現在推奨されている地震時の行動についての整理
(2)地震時の揺れによる人間行動と室内環境の変容についての文献調査
(3)推奨されている地震時の退避行動の検証と留意点の整理
(4)これまでの地震防災研究を踏まえた退避行動等と今後の課題
3.地震時におけるこれまでの推奨行動の分類
○地震時の心得10箇条を目的等で分類・整理
 (Ⅰ)命を守る  (Ⅱ)火を消す  (Ⅲ)近隣と助け合う  (Ⅳ)デマやうわさに惑わされない
4.地震の揺れによる室内環境の変容と人間行動に関するこれまでの研究成果
(1)地震の揺れによる室内環境の変容
(2)地震の揺れによる人間の行動への影響
(3)地震の揺れによる人間の行動と負傷の関係
5.推奨されてきた退避行動の検証
○推奨されてきた退避行動の妥当性の検討と留意点の整理
(1)「丈夫な家具に身を寄せる」行動について、丈夫な家具に身を寄せるべきという先入観が遠くの家具に身を寄せる等の無意味な行動に繋がる等、マイナスに働く場合がある。 等
(2)「身を隠して頭を保護する」行動について、頭を保護するものが近くに無い場合、それを取りに動くと危険が増大する場合がある。等
(3)「慌てて外へ飛び出さない」行動について、新耐震基準に適合した建物では、外に飛び出す行動に伴う危険性の方が高い。等
(4)「グラッときたら火の始末」行動について、大きな揺れの場合妥当とは言えないが、簡単に消せる場合には始末の方が良い場合もある。等
6.地震時に人命を守るための退避行動等と今後の課題
○地震時に人命を守るための退避行動等(提言)
 (1) 事前対策
   ・建物の耐震化、家具類の固定、消火設備の設置、適切な退避行動の事前の検討を行う
 (2) 主要動到達直前(緊急地震速報時、初期微動時)
   ・主要動到達までの時間が知らされた場合:周囲に声をかけ、目前の火を消す、扉を開ける、
    履物をはく等し、速やかに安全空間に移動する
   ・主要動到達までの時間が不明な場合:頭部を保護して安全空間に移動する
 (3) 揺れの最中
   ・揺れが非常に大きい場合(動けない場合):姿勢を低くし頭部を守る、無理に行動しない
   ・揺れが大きい場合(動ける場合):その場の状況を判断し頭部を守ったり安全空間に逃げ込む
 (4) 揺れが収まった直後
   ・火を消す、扉を開ける、履物をはく、余裕があればブレーカーをおとす
○今後の課題
 (1) 現状における課題
   ・防災機関による現段階でできる範囲での退避行動等の検証・確立、普及
 (2) より適切な退避行動の実現に向けて必要な将来の姿
   ・地震時の適切な退避行動を支援する仕組み(例:音声誘導システム)の構築
   ・安全空間を増加させる建物耐震化や家具固定等の促進
   ・これらを実現するための必要な研究の実施  等

報告書につきましては、以下のサイト(文部科学省ホームページリンク)をご覧ください。
  http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/sonota/1294461.htm

(広報誌「地震本部ニュース」平成23年(2011年)5月号)

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