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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 地震調査に期待すること(国崎信江)

(広報誌「地震本部ニュース」平成23年(2011年)4月号)


 2007年10月1日に一般向けの運用が始まってから3年。緊急地震速報は、地震の発生を捉え、揺れが到達する前に教えてくれる世界初のシステムで、地震の発生前にその発生を予測する「地震予知」ではありませんが、「揺れる前に知る」という意味では国民が待ち望んでいたものであることは間違いありません。地震調査研究の成果には、ほかに「全国地震動予測地図」があります。自分の住む地域が今後30・50年以内に震度6弱や5弱以上の揺れに見舞われる確率などが表示されているほか、活断層の位置を地図上に表示し、身近にある潜在的な危険を確認できます。
 どちらも有効に活用すれば災害軽減につながると期待されています。しかし、世界が認めるほどに国民が地震調査研究の実績や成果を利活用しているかというと残念ながらそうではないようです。「地震本部の存在」も、どのような地震調査研究をしているのか知らないという人もいるでしょう。成果の周知や利活用についてはさまざまな視点から論じられているところですが、利用者(研究者・地方自治体・技術者・一般市民)のニーズや、建築防災や建物の耐震設計等の活用への期待に十分に応えられていない現状もあります。
 そこで、『わが国の地震調査研究を国民にしっかり伝えよう』というコンセプトをもってどの組織が何をわかろうとして、どのような調査研究をどこでどのくらいの期間しているのか、だれがどのような思いで挑戦しているのかについて、ひとつひとつのプロジェクトを丁寧に紹介することが重要であると考えます。世界に誇る日本の最先端の科学技術(地球深部探査船「ちきゅう」や「E-ディフェンス」など)や日々の地道な調査の積み重ねによって緊急地震速報や地震動予測地図ができるまでのプロセスには、大人も子どもも知って楽しいわくわくする科学技術が存在します。目標達成の感動を共有できるしくみがあれば、国民自らが積極的にどう活用すべきかを考え行動できるようになると思います。

(広報誌「地震本部ニュース」平成23年(2011年)4月号)

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