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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 調査研究の成果を災害文化の定着に活かす(木村光利)

 阪神・淡路大震災から1月17日で16年。被災地の小中学生は皆、震災後の生まれとなり、震災を経験していない住民も増加し、震災の風化が危惧されています。
 しかし、神戸に住み、あの激烈な揺れを生身で体験した者にとり、あの地震は忘れることはできません。死者6,434人、全半壊家屋約25万棟、直接被害額約10兆円。
もし、あれが早朝でなく昼間の発生であれば・・倒壊するビル、崩れ落ちる外壁、モノが飛び交う室内、繁華街には空からガラスやコンクリート片が降り注ぎ、折れ曲がり垂れ下がる鉄軌道、隆起と陥没を繰り返す道路。そこには、多くの老若男女が活動し、多数の車やバスが行き交い、乗客で混み合う電車や新幹線が通過していたはずであり・・・。そうした想像の光景に、今も目に焼きついて離れない地震直後の廃墟じみた被災地の有り様が二重写しになると、戦慄は禁じ得ません。
 あれからの年月、強大なる自然の営みである地震の調査研究は、ITなど観測技術の進歩もあり、まさに秒進分歩で進化を遂げています。地震研究先進国日本の英知は頼もしいかぎりです。こうした進歩が、地震をより詳細に分析し、発生の予知や被害の予測、そして防災・減災に繋がっていることは論を待ちません。
 しかしながら、残念なことに被災地兵庫でさえ、もう地震は来ないという根拠のない安心感が幅をきかせています。家庭での備蓄率や家具転倒防止の取り組み率等にもそれが表れています。世界の地震(M6以上)の約2割が発生するという地震国日本の住人であることや、東海、東南海、南海地震は遅くとも孫・子の時代までには必ず発生するとの自覚も含め、人々の防災・減災力の向上、災害文化の定着に「地震調査研究推進本部」の優れた活動成果がより一層活用され、日本の安全・安心に貢献することを期待しています。
 天災は忘れた頃にやってくる、忘れなくてもやってくる、来るなといってもやってくるのですから。

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