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本センターは、このような地学的背景にある東北日本を主な対象として、地震・噴火予知の基礎的研究を推進してきました。すなわち、地震予知や火山噴火予知のためには、島弧における地震や火山噴火の原因であるプレートの沈み込み過程と、それに伴って発生する地震や火山現象そのものをより深く理解することが必須であるという認識のもとに、観測的研究を主体にしつつも実験的・理論的研究と有機的に連携させ、総合的に研究を進めてきました。その結果、プレートの沈み込み過程を理解する上で重要な貢献となる、小繰り返し地震の発見やアスペリティモデルの検証などの多くの研究成果をあげてきました。さらに、地球内部の水・マグマ等の流体の性質と挙動の解明に基づいて、プレート境界地震や内陸地震の発生過程のモデル化、島弧火山の深部構造の解明など、地震予知・火山噴火予知研究をする上で重要な貢献となる研究成果をあげてきました。
プレート境界(プレートの表面)には大小さまざまな大きさのアスペリティが存在しています。これらのアスペリティの周辺の安定すべり域では、プレートの沈み込みによるゆっくりとしたすべりが進行しています。そのゆっくりすべりによりアスペリティに応力が集中し、やがてそれが急激に壊れることによって地震が発生することになります。小さなアスペリティは小さな地震、大きなアスペリティは大きな地震を繰り返し引き起こしますが、地震時に壊れるアスペリティの組み合わせは必ずしも毎回同一ではないこともわかってきました。
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(広報誌「地震本部ニュース」平成22年(2010年)6月号)