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地震被害の軽減のためには、事前の準備と災害発生直後の迅速な対応が重要です。
このため消防庁では、事前の準備として、防災拠点となる公共施設の耐震化、地震災害発生時における円滑な災害応急対策を実施するための拠点確保、災害時の救急救助活動現場における消防機関と医療機関の連携、さらに、消防団の充実強化や自主防災組織の育成支援を通じた地域防災能力の向上に向けた取り組みを行っています。
また、災害発生直後の対応としては、消火や救助、救急に携わる消防隊員を被災地に迅速かつ効率的に投入するために、全国の消防本部と協力し、広域応援のため編成される「緊急消防援助隊」の充実強化を図っています。
本稿では、緊急消防援助隊について紹介します。
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緊急消防援助隊は、平成7年に発生した阪神・淡路大震災を契機として、大規模災害や特殊災害が発生した際に、全国規模の消防応援を迅速に行い、被害の軽減を図るため創設されました。
この緊急消防援助隊は専属の部隊があるのではなく、平常時はそれぞれの市町村において消防活動を行っている部隊が、いったん大規模災害が発生した場合には、被災地に集中的に出動し、人命救助等の消防活動を実施するという広域消防応援のための部隊です。
近年、首都直下地震や東海地震等の切迫性や、NBC(核物質・生物剤または化学剤)テロ災害発生の危険性の高まりが指摘され、それらの災害に迅速・的確に対応する体制の充実強化が必要との議論がなされるようになりました。それに伴い、平成15年に消防組織法を改正し、消防庁長官の出動指示権を創設するとともに、平成16年4月に法律に基づく組織として位置付けられました。
発足以降、緊急消防援助隊は複数の豪雨災害や新潟県中越地震、JR西日本福知山線列車事故など、現在までに22の災害に出動し、最近では、平成20年6月14日の「平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震」、7月24日の「岩手県沿岸北部を震源とする地震」に出動し、その献身的な活動が社会的に高い評価を受けているところです。
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平成20年度第1次補正予算において、
①被害状況や消防部隊の活動状況を早期に把握するため、ヘリコプターからの映像を消防庁や官邸等に中継送信するためのヘリテレ受信機、衛星地球局の整備
②ヘリコプターの位置を正確に把握し、災害現場等を特定するためのヘリコプター動態管理システムの整備
③消防車両が、燃料補給のため災害現場を離れることなく、長時間に渡り継続して活動するための燃料補給車の配備
を進めています。
これらの整備が完了すれば、全都道府県からの映像を消防庁で受信できるようになり早期情報収集体制を確立できるとともに、燃料補給体制の充実強化によりなお一層効率的な部隊活動を行うことができるようになります。
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平成7年の創設当初は1,267隊、17,000人規模の体制でしたが、平成20年10月1日現在の登録部隊数は3,961隊となり人員規模も約46,000人体制となり活動体制も強化されています。
今後も、消防庁としましては、緊急消防援助隊が、最新鋭の資機材を駆使し、災害発生時に一人でも多くの生命を救えるよう、より迅速な出動と的確な活動が行える体制の構築に努めてまいります。
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緊急消防援助隊はあらゆる災害に対応できるよう、様々な資機材を活用しています、そのなかで地震関連の資機材等を紹介します。
出 動
●簡易型地震被害想定システム
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そこで、消防庁では消防研究センターで開発した簡易型地震被害想定システムを活用し、被害想定で示される①火災件数、②家屋被害、③死者数、④負傷者数、⑤罹災者数等のデーターをもとに、被害の大きさをイメージし、緊急消防援助隊の部隊の選定や配備等の災害初動対応の判断要素の1つとしています。
活 動
●地震警報器
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活 動
●電磁波探査装置
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●地中音響探知機
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●二酸化炭素探査装置
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(広報誌「地震本部ニュース」平成21年(2009年)4月号)