また、いつ発生してもおかしくないとされる東海地震の予知のために、関係機関と協力しつつ、前兆現象の監視を行っており、観測データに異常が現れた場合には「東海地震に関連する情報」を発表しています。
気象庁が発表した情報は、国や地方公共団体などの防災関係機関やテレビ・ラジオなどの報道機関へただちに伝達され、それぞれの機関から広く国民へと伝えられています。また、これらの情報は、国や地方における防災初動行動を起こすきっかけとなるほか、被害状況の速やかな把握にも役立てられています。
気象庁は、地震発生時に速やかに震源と地震の規模を決定するため、全国に地震観測網を整備し、リアルタイムで観測データを収集して、監視を行っています。そしてこれらのデータを使って、地震発生後ただちに地震、津波に関する情報を発表しています。東海地域においては、これらに加え、地殻岩石歪観測システム、ケーブル式海底地震計等を維持運営すると共に、関係機関のデータを収集して、東海地域の地殻変動を観測しています。
また、地震、津波発生時の迅速かつ的確な情報発表のため、全国の地震活動や津波、地殻活動を監視して情報を作成する、最新技術を取り入れた情報処理システムを導入しています。このシステムでは、地震計の観測データなど、多種多様なリアルタイムのデータを即時に処理、解析することによって、地震や津波、東海地域の地殻活動の総合的な監視を行います。気象庁では、このシステムを使って24時間体制で津波警報や注意報、地震情報などの各種防災情報の発表を行っています。
東京の気象庁本庁には地震活動等総合監視システム(EPOS)を整備し、関東・中部地方の津波警報や注意報、全国の地震情報、東海地震に関連する情報の発表に使用しています。また、札幌・仙台・大阪・福岡の各管区気象台と沖縄気象台には地震津波監視システム(ETOS)を整備し、各地方に対する津波警報や注意報、地震情報の発表を行っています。
気象庁は、全国ネットのコンピュータネットワークシステムを通じて、様々な情報を地方自治体などの防災関係機関や報道機関へ、オンラインでただちに伝達しています。そして、これらの機関を通じてただちに、国民の皆さまへの情報提供が行われます(図1)。
津波警報や注意報、地震動警報(緊急地震速報)、地震情報や東海地震に関連する情報は緊急性・重要性が高く、迅速に発表し、確実に防災関係機関や住民に伝わることが必要です。このため、津波警報や地震情報等のより迅速な発表を実現するとともに、首都直下地震など大規模災害時にも確実に地震、津波に関する警報や情報の提供業務を継続できるよう、気象庁本庁だけに整備しているEPOSの機能を強化した次世代地震津波監視システムを、大阪管区気象台に整備し、東京・大阪の二中枢体制による地震津波監視業務を平成21年3月から開始しました。平成21年10月には、気象庁本庁のEPOS も次世代地震津波監視システムに更新する予定です。
現在の地震津波監視システムと次世代地震津波監視システムの概要について図2に示します。
気象庁は、地震に関する調査研究を推進するため、地震防災対策特別措置法の趣旨に添って、各地域の大学や(独)防災科学技術研究所等の関係機関から地震観測データの提供を受け、文部科学省と協力して全国の地震データを一元的に処理・分析しています。これらの成果は、地震調査研究推進本部地震調査委員会における地震活動に関する総合的な評価のための重要な資料として利用されているほか、研究機関へも提供されています。今後ともこれら全国に展開した地震観測データの収集、整理、分析をし、より詳細な地震活動等の把握に努めます。
地震調査観測データ収集一元化システムについて図3・4に示します。
(広報誌「地震本部ニュース」平成21年(2009年)3月号)