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宇宙からの地震・火山観測は
日本の役割
日本の役割
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地上に設置する特別な観測装置は、何も必要ありませんから、陸上であれば地震や火山噴火が世界のどの場所で発生しても、宇宙からの観測は、地震や火山活動の理解に大きな力を発揮します。
2006年に「だいち」が打ち上げられてから、平成19年(2007年)の能登半島地震や新潟県中越沖地震、また平成20年(2008年)の岩手・宮城内陸地震や中国の四川地震など、注目すべき地震が相次いで発生しました。
「だいち」のデータを他の地上観測と統合した詳細な解析結果が地震調査委員会に報告され、それぞれの地震像の解明に大きく貢献しています。
このように大活躍の「だいち」ですが、一般に人工衛星の寿命は5年程度で、残念ながら、あと数年で機能を停止してしまいます。多目的の陸域観測技術衛星として開発された「だいち」の後継として、地震・火山噴火や風水害などの災害監視に焦点を絞った衛星打ち上げの構想が進んでいます。衛星からの地球監視データは、日本だけでなく、同様の災害の危険に直面しているアジア諸国など、諸外国にとっても貴重なデータになることは間違いありません。
災害監視は、日本の世界への貢献に最も適した分野と考えられます。自国の安全安心の実現だけでなく、国際貢献の観点からも、「だいち」後も、衛星を利用した地球観測が継続的になされることが強く望まれます。
(広報誌「地震本部ニュース」平成20年(2008年)12月号)