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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 宇宙からの地震・火山観測は日本の役割(村上亮)

(広報誌「地震本部ニュース」平成20年(2008年)12月号)

宇宙からの地震・火山観測は
日本の役割

 2006年1月に打ち上げられた衛星「だいち」は、現在も地球の周りを周回しながら貴重なデータを地上に送っています。この衛星は、電波を利用するレーダーと可視光の撮像装置を搭載しており、同じ軌道を周回しながら地上の様子を常時監視しています。地震や火山活動など何らかの原因で地表が大きく変化した場合には、変動の広範囲な空間的分布が一度に計測できます。計測データを詳細に解析すれば、地下の断層やマグマの振る舞いの理解が可能となります。
地上に設置する特別な観測装置は、何も必要ありませんから、陸上であれば地震や火山噴火が世界のどの場所で発生しても、宇宙からの観測は、地震や火山活動の理解に大きな力を発揮します。
 2006年に「だいち」が打ち上げられてから、平成19年(2007年)の能登半島地震や新潟県中越沖地震、また平成20年(2008年)の岩手・宮城内陸地震や中国の四川地震など、注目すべき地震が相次いで発生しました。
「だいち」のデータを他の地上観測と統合した詳細な解析結果が地震調査委員会に報告され、それぞれの地震像の解明に大きく貢献しています。
 このように大活躍の「だいち」ですが、一般に人工衛星の寿命は5年程度で、残念ながら、あと数年で機能を停止してしまいます。多目的の陸域観測技術衛星として開発された「だいち」の後継として、地震・火山噴火や風水害などの災害監視に焦点を絞った衛星打ち上げの構想が進んでいます。衛星からの地球監視データは、日本だけでなく、同様の災害の危険に直面しているアジア諸国など、諸外国にとっても貴重なデータになることは間違いありません。
 災害監視は、日本の世界への貢献に最も適した分野と考えられます。自国の安全安心の実現だけでなく、国際貢献の観点からも、「だいち」後も、衛星を利用した地球観測が継続的になされることが強く望まれます。

(広報誌「地震本部ニュース」平成20年(2008年)12月号)

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